番外パイオニアで遊んでみた

そもそも番外パイオニアってなに?

番外パイオニア(以降番パ)とは300/256のような番号のカード、例えば《運命のきずな/Nexus of Fate(M19)》などのボックス特典や構築済みプレインズウォーカーデッキに入っているよくわからないカードのみかつパイオニアでのカードプールで使える範囲のものでデッキを構築するというまったくもって意味不明なゲームである。もともと番外フロンティアという名前だったのだがフロンティアが消え去ったため名称が変わった(範囲は増えたが残念ながら使用可能なカードは0枚しか増えなかった)

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番外パイオニアの魅力

旧枠モダン(旧枠で再録がされているカードでさらにモダンプールで使えるカードのみ構築)の場合、あの懐かしい《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》が使える!がその魅力だったがこの番パは少し違う。どちらかといえばリミテッドで活躍した《発射/Open Fire(HOU)》よりさらに弱い《正確な稲妻/Precision Bolt(GRN)》強い!すごい!みたいなほのぼのとした感覚を楽しむゲームである。普段使わない、むしろほとんど知らなかったカードにスポットを当てているのがとても良い。パワーも割と均衡をとれている(プレインズウォーカーデッキ出身のカードが多いからか?)のでゲームとして成立しやすく肩の力を抜いて遊ぶフォーマットとして優秀といえるだろう。今回やったのはこの息抜きゲームに対して真剣にデッキを4つ作って戦ったらどうなるか?ということだ。なお、ブロールセットは使用可能だが、エルドレインの拡張枠カード(番号違い)と運命のきずなは例外的に禁止とされた


出会い

旧枠モダンの大会があり、その時に旧枠モダンの考案者である双木湊(@Minato_Namik)氏が持ってきていた番外フロンティアを触ったのがはじまりである。

この時とても面白いと感じてしまい自分でもデッキを組んでDCGの大会みたいに4デッキBO3、1Bでやるか~wとか冗談みたいな話をしていたら私の友人であり中野の危険因子、アゼチという男が「真剣にデッキを組め!カードが無い?じゃあまずはプレインズウォーカーデッキの購入だ!俺は既に購入した!」などと支離滅裂な発言をしてきた。結果このゲームをかれこれ20年近くやっているにもかかわらず、なぜかアジャニの顔が写っている冊子に「始めよう!マジック!」や「プレインズウォーカーとは?」などの今さら学ぶことの無い説明書つきのキットを買うはめになってしまった。



とは言え始めてしまえばゲーム性自体は中々に面白く、よしデッキ4つ作るか!となったのだった。リストを知らべ、大量の枠外カードを購入。《大気の精霊/Air Elemental(_BR)》など枠外だからと言って勢いで買ってしまったものもあるがなんとか完成。その後、双木氏にいろいろ交渉し、おそらく全世界初であろう番パデッキ4つによる勝負が実現した!


デッキ紹介

松田デッキ
1 黒単


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番パ中唯一のインスタント確定除去、《肉は塵に/Flesh to Dust(M15)》を使えるアグロ寄りミッドレンジ。《さえずる魔女/Chittering Witch(ELD)》と《ゴルゴンの陰謀家、ヴラスカ/Vraska, Scheming Gorgon(RIX)》で盤面を支配して《屍術師、リリアナ/Liliana, the Necromancer(M19)》でアドバンテージをとっていくデッキ、、、のはずがリリアナがなんと売っておらずまさかの沼30デッキと化した(失敗)

2 緑単

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番パ最強の低マナカード、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(10E)》を使ったアグロ。番パ版《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion(M20)》こと《エリマキサンドワラ/Frilled Sandwalla(M20)》や《節くれ背のサイ/Gnarlback Rhino(M20)》と《狂気の一咬み/Rabid Bite(M20)》のコンボも搭載されているフライデー2-1レベルのパワーを持つ強デッキだ

3 白青

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あのミシックチャンピオンシップでも採用実績のある《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King(ELD)》を使ったコントロール。《法を築く者、ドビン/Dovin, Architect of Law(RNA)》、《謎かけ達人スフィンクス/Riddlemaster Sphinx(M20)》
等の優秀なフィニッシャーを持つが序盤を守れるカードの少なさが難点

4 赤単

赤単

赤のありったけの除去をつみ、《炎の憤怒、チャンドラ/Chandra, Flame's Fury(M20)》で徹底的に除去するコントロール。《正確な稲妻/Precision Bolt(GRN)》、《怒り火/Ragefire(RNA)》といったリミテッドなら仕方なくピックするカードで盤面を支配するぞ

双木氏のデッキ

1 白青黒

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《寓話への消失/Banish into Fable(ELD)》《騎士の突撃/Knights' Charge(ELD)》のシナジーに注目。他にも《死の味/Taste of Death(ELD)》や《作業場の古老/Workshop Elders(ELD)》等ブロール感満載の楽しいコンボデッキだ

2 白単

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基本は《銀嘴のグリフィン/Silverbeak Griffin(M19)》等によるビートダウンだがサブプランとして《ギデオンの中隊/Gideon's Company(WAR)》と《情熱的な扇動者/Impassioned Orator(RNA)》のコンボで巨大サイズマンを作ることもできる

3 緑青

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ラノエルをアグロには組み込まずランプ戦略の方面に舵をとった。Angler TurtleRampaging Brontodonなど令和にもなって日本語訳の無いカードがフィニッシャーに取られているのでとても初心者にやさしくないデッキ

4 黒赤

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《炎の憤怒、チャンドラ/Chandra, Flame's Fury(M20)》だけでなく、《ミノタウルスの海賊、アングラス/Angrath, Minotaur Pirate(RIX)》までとっている除去コントロール。特に《アングラスの憤怒/Angrath's Fury(RIX)》はアングラスを呼べるだけでなく確定除去したうえ尚且つプレイヤーに3点ダメージを与えられる構築クラスの除去だ

対決方式


メインのみ1戦、勝ったほうがデッキをチェンジし、4回勝利したら終了という勝ち抜けBO4対決となった。デッキに入れられるカードは名前が被ることの無いようにし、4つすべて同じデッキが作られないようになった。
またゲームの先行後攻をきめるのはダイスではなくアイスクラッシュゲーム(ペンギンが落下したら負けゲーム)での勝敗で決めるという斬新なやり方がとられた

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ペンギンが落下してないが倒れてしまう珍事が発生したが、先行はなんとか自分となった

ゲーム1
黒単vs白青黒 ✖
《甦ったゴルゴン/Arisen Gorgon(M19)》でのビートダウンでライフを4まで追い詰めるが《寓話への消失/Banish into Fable(ELD)》で3体バウンス、3体トークン発生という番パとは思えないアドをとられてしまいそのまま負け
ゲーム2
黒単vs白単 〇
序盤こそ不利な盤面になるが《さえずる魔女/Chittering Witch(ELD)》で徐々に押し返し、《ゴルゴンの陰謀家、ヴラスカ/Vraska, Scheming Gorgon(RIX)》で除去しながら攻撃し、ギデオンとアジャニを全て倒し切って勝ち
ゲーム3
緑単vs白単 〇
《ギデオンの中隊/Gideon's Company(WAR)》と《情熱的な扇動者/Impassioned Orator(RNA)》とコンボが揃うも《狂気の一咬み/Rabid Bite(M20)》で除去に成功。《エリマキサンドワラ/Frilled Sandwalla(M20)》で押し切って勝ち

ゲーム4
青白vs白単 ✖

初動《銀嘴のグリフィン/Silverbeak Griffin(M19)》からの激しい飛行ビートで攻撃され、地上を《鉄覆いのクロヴァド/Ironclad Krovod(WAR)》で守るも《捨て身の突進/Desperate Lunge(WAR)》でまさかの飛行をつけられてしまい負け

ゲーム5
青白vs緑青 〇
《うろつくカラカル/Prowling Caracal(RNA)》と《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King(ELD)》でひたすら攻撃し、《茨のマンモス/Thorn Mammoth(ELD)》の格闘を《分散/Disperse(SOM)》でよけて勝ち。(この分散ってカード《厚かましい借り手/Brazen Borrower(ELD)》の左半分しかないのか)


ゲーム6
赤単vs緑青 ✖
《怒り火/Ragefire(RNA)》で序盤をしのぐもこちらの土地が伸びず、この間に《自然の職工、ニッサ/Nissa, Nature's Artisan(KLD)》で手札を増やされ、さらにAngler Turtleが着地して負け。番パ唯一の呪禁持ちはやはり強い


ゲーム7
赤単vs赤黒 ✖
《炎の憤怒、チャンドラ/Chandra, Flame's Fury(M20)》を先に着地させて勝ったと思ったら《炎の鞭打ち/Flame Lash(KLD)》からの《炎の憤怒、チャンドラ/Chandra, Flame's Fury(M20)》でこちらのチャンドラが落ちる。なんとか相手のチャンドラを除去したが《紅蓮の巡礼者/Pyromantic Pilgrim(DOM)》が走ってきてライフを削られ負け

結果3-4で負け。双木氏のデッキはどれも大変に練りこみがあり、感服。負けたとは言え大変満足する内容だった。なによりお互いにこのフォーマットへの真剣さが伝わり、戦いの後は得も言われぬ感動がそこにあった。また次のフォーマットが出たらぜひやりたい

余談

このフォーマットは見た目より面白いのだが新規参入が難しい。やはりカードの入手のしにくさが最大の原因だろう。
例えばプレインズウォーカーデッキのカードは基本それのみでしか入手できず、カードの専門店で注文しようとしても在庫が限られているものが多い。しかもこれがかなり弱いものばかり。そんなものをあえて買わなければならない(まあやっているプレイヤーならうれしく買うのだが)。
だがこんな奇特な人たちにも手に入れにくいものがある。それは通常購入できないカードがなんと存在するからだ!
例えばウェルカム・デッキにのみ入っているカード。このウェルカム・デッキとは主に初心者がルールを学ぶティーチングキャラバンで配布されるもので30枚の構築済みデッキなのだがこの中に番外カードが含まれている。当然カードパワーは低いものばかりだが《飲み込む噴火/Engulfing Eruption(M20)》(4マナ5点。ソーサリー)などこの環境なら悪くないものが入っているのだ。ティーチングキャラバンでしかもらえないので自分も初心者のふりをしてキャラバンに参加しようと試みたがあえなく失敗した(あたりまえ)


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またSpellslinger Starter Kit (基本セット2020)というものもある。これもまた初心者用セットだがこの中にも番外カードがありこの中にしか無いものもあるのだ。《敏捷な鳥突き/Nimble Birdsticker(M20)》は3マナ2/3、到達の平凡なスペックだが番パなら貴重なブロッカーとして採用可能。キャラバンと違ってSpellslinger Starter Kit (基本セット2020)を買えばついてくるのだが、大概新品なのでだいたい5000円くらいと高い。しかも封入枚数はわずか2枚!4枚揃えるには2つ買う必要があるのだ!1万円使って3マナ2/3、到達を4枚手に入れる。はたしてそんな異常な行動に出る人間が何人いるのだろうか?


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ということで番外パイオニアについて長々と語ってしまったが、ハッキリ言ってMTGプレイヤーの99%が時間の無駄と感じる内容だっただろう。1%(そんなにいないか)の興味を持ったプレイヤーはぜひ番外カードを検索してほしい。

また番パは新エキスパンションごとにカードが増えていくが、ウィザーズの方針でプレインズウォーカーデッキの廃止が決まったらしくいきなり存亡の危機となった。M21まではあるらしいがそこからカードが増えるか不明。番外カード自体なんで存在するか不明なレベルだったので仕方ないが消滅してしまうのは何とも悲しいものだ。それでは番外プレインズウォーカーズの雄姿を最後にのせておわりにしよう。次のエキスパンションでまた会おう!

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