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訃報を受けて、コロナ禍中で第2子妊娠9か月の私が準備したこと

 先生の訃報を受けて、私はすぐに行動に移った。胸にはぽっかり穴が開いたけれど、ほとんど冷静だった。私がしたことは、次の3点である。


1 【実家へ】娘の預かり依頼

 先生のお葬式に参加できるのは親族のみだった。新型コロナウイルスが猛威を振るっている現在、想定通りのことだ。しかし、お焼香はさせてもらえるという。それだけは、絶対に行きたい。しかし、お焼香ができる日は保育園が休みだ。2歳の娘を連れていくわけにはいかない。たとえ、娘を連れていく許可を得ても、妊娠9か月で体力がなく運動制限まで受けている私ではパワフルな2歳児を葬儀に連れて行くのは不可能である。そこで実家の父母に電話をかけ、娘を預かってくれるよう頼んだ。父母は快く引き受けてくれた。


2 【葬儀場へ】供花の依頼

 次にしたのは、葬儀場へ電話し、お花のお供えをお願いすることだった。お香典を出したかったが、葬儀の知らせの文書には「香典の儀は辞退申し上げます」とある。それでも、何かしたかった。父が花をお供えしてはどうかと教えてくれた。葬儀場に電話するとすぐに対応してくれた。供花の価格は1対(両側に並べる。つまり2基。)につき以下の3種類あった。すべて税込みだ。後で調べたところ、だいたい相場はこのくらいらしい。

16,500円

23,000円

33,000円

1基であれば、その半額だという。友人と相談した。1基にすると片一方になり、見栄えが悪い。高価なものだと遺族に気を使わせてしまうかもしれない。一番安価な1対16,500円を選び、友人と連名でお願いした。


3 喪服の試着

 最後にしたのは喪服やお葬式用かばん、お数珠、黒パンプスの準備だった。最後にお葬式に出席したのは去年の春で妊娠前だった。また、パンプスは妊娠してからは履いていない。お葬式用かばんやお数珠は出せば済む。靴のサイズも特に変わっていないので、こちらも出すだけ。(ママ友の中には妊娠時にむくんで靴が2サイズ上がった人もいる。)

 問題は喪服が着られるかどうか、である。9か月時点で体重約6キロ増だった。主な増量ゾーンはお腹周りだ。最悪の場合は喪服をあきらめて黒づくめの普通の服で行くプランも練ったが、できれば正装でお焼香をしたい。恐る恐る、喪服に袖を通した。お腹部分がぱつんぱつんだったが、着れた。「よっしゃあ!」と心の中でガッツポーズした。しかし、背中のチャックが閉まらない。そっと上げてみるが、イブニングドレス並みに背中が開いている。下に黒いカットソーは着るが、これではまずい。ここで付属の上着があったことを思い出し、着てみた。後ろ姿の確認のために夫に写真を撮ってもらう。なんとか背中は開いていない。ただし、肩パットの位置が横にずれているので逆三角形の体形になっている。また、上着の前ホックは当然止まらない。前側は全開である。肩や前が閉まっていないのは情けなかったが、いちおう着ることができたので、これで良しとした。

逆三角形の喪服姿

 以上の3点が、お焼香に行くために、コロナ禍中の妊娠9か月の私が準備したことだ。

 妊娠中に必ずしも葬儀があるとは限らないし、あっても妊娠を理由に欠席することもできただろう。ましてや、まん延防止等重点措置期間中だ。ご遺族は私が妊娠中であることをよくご存じだったため、来なくてもいい、と言ってくれた。しかし、私はどうしても最後に先生に会いたかった。お焼香させてもらえて本当にありがたく思っている。

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