背すじをピンとしてたら二度も怒られた

子供の頃、毎日のように母から猫背やめろ猫背やめろと言われ続けたせいか、大人になるころには姿勢がいいと褒められる程に猫背が改善した。改善。そのはずだった。

今年の2月頃、体がもう全部だめ、助けてくれと悲鳴をあげていたため近所の整骨院でマッサージしてもらった。

先生「お客さん、全身パンパンに張ってますけど特に背中ひどいですよ。普段背すじよくしようと力入れすぎてませんか?」
私「子供のころ親に猫背がひどいと言われ続けたから確かにそうかもしれませんね。」
先生「一旦背中の力抜いてみましょう。ハイ!」
いや、ハイ!とか言われても、抜けんのだが。
私「すみません、長年こうなので力の抜き方がわからないのですが…」
先生「そんなことあります!?一旦ギュッと力いれてみてフッと抜く感じですが…」
ギュッと力を入れてみた。
つった。
私「いででででで!つったつった!」
先生は一生懸命さすってくれながら言った。
先生「あのね、いくらパッと見姿勢よく見えてもこんなん体に悪いの!ちょっとずつ猫背にしていきましょ!姿勢良く見える方が絶対いいわけじゃないの!!」
そんな、長年頑張って姿勢よくしようとしてきた努力はなんだったんだ…あとリラックスしに来たのに怒られるのも腑に落ちなかったのでその後その整骨院にもいかなかったし背すじは伸びたままだった。

夏頃、今度は服屋で怒られた。
私は共同生活が苦手なくせに稀に克己心が芽生えて「もしかしたら結婚した方がいいのでは?わからんが…」と思うことがあり、見合い写真を撮ろうとしていた。
写真を撮るのにモテそうな服を全く持っていなかったので服を買おうとしていたのだが、そんなに金があるわけではない。そんな折にインターネットで「東京駅に婚活にぴったりの服を安く取り揃えておりかつ婚活アドバイスができるおばちゃんがいる店があるらしい」との情報を得た。確かな場所の情報もなく、なんなんだろうと思うくらい噂レベルの情報しかなかったが、逆にそこが都市伝説のようで気になってしまい行ってみることにした。

その店は寂れてなんとなく不安になる道を歩いていたら突然現れた。
見るからにモテそうなかわいいワンピースをおばあさんがトルソーに着せているところだったので、「すみません、お見合い写真を撮るための服が欲しくてどんなのがいいのか…」と声をかけたらかぶせ気味に「あなたもお見合いなの!うちの店はそういう人いっぱいくるのよ!ちょっといいのがあるのよ!」と中に連れて行かれて「これ大丈夫かな?」と思いつつ中に入った。
勧められるがままに3着のワンピースを「これとこれとこれ着てみなさい!これなんか公務員狙いならいいのよ!」と渡され、試着することになった。「結婚した方がいいのかもな、わからんが…」くらいのほぼ結婚の条件面ノープランでやってきたところに「公務員狙い」というフレーズが生々しくてビビりつつ一着目を着て出てきたら「あなたちょっと背も高めなのにそんなに背すじピーンとしてたら威圧感がすごいのよ!もうちょっとこう、柔らかい感じに肩を丸めるのよ!こう!」とダメ出しされ、威圧感ならさっきから私の方が絶対感じてると思いながらもちょっと肩を丸めてみた。なんか肩の肉が強調されて太ってみえるような気がして「本当に背すじピンとしてないほうがいいのでしょうか…?」と小さい声でつぶやいた。
「猫背で自信なさそうな子なら伸ばせって言うけどあなたは自信ありすぎに見えるからだめよ!」。自信満々に断言された。

今年だけで二度も怒られたので、「もしかして本当に背すじを伸ばすのはいいこととは限らないのかな…」という気持ちと「せっかく猫背を克服したのに」という気持ちがないまぜになった。
しかし、本当に?本当に背すじ伸びてないほうがいいの?

本当に……………?

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