大和大学が西の早慶になれない理由

「東の早慶、西の大和」を目指すというCMで話題になった学校法人西大和学園が開設した大和大学。大阪府吹田市に出来た大学で、開学から10年で文理6学部を持つ総合大学になっています。

1.大和大は小学校教諭就職者数と看護師国家試験合格率で一定の成果を出している


大和大は、小学校教諭就職者数と看護師国家試験合格率で一定の成果を出しています。内訳は、小学校教諭就職者数で98人、看護師国家試験合格率と人数が99.1%(110人)です。
大和大の他の就職状況は有名企業400社就職率が摂神追桃と変わらないので、小学校教諭育成と看護師育成の大学として考えておくと良いでしょう。

2.大和大学は西大和学園中学・高校からの進学者がいないので学閥を形成出来ない

大和大学が早慶のようなブランド大学になる可能性は限りなくゼロです。
早慶・MARCH・関関同立・成成明学独國武・日東駒専・四工大・産近甲龍・外外工佛・摂神追桃・西南学院・南山大・北海学園大・東北学院大・名城大などの日本の私大の有名校は、学校法人内に附属高校・併設校が内部進学する事が多いです。これは、学閥を作るのには有効であり、一般入試組・推薦入試組と合わせる事で、OB・OGの活躍度に応じて、新卒者の就職先の開拓にも繋がってきます。特に、早慶・同志社・関学などはOB・OGの結束力が高く、財界に広い人脈を築き上げています。
内部進学はネットなどで揶揄されがちですが、学校法人から見ると確実に学閥を形成する人材として将来を見込めます。

大和大は学校法人西大和学園が運営する大学であり、学校法人内には東大・京大などに多数進学している西大和学園中学・高校があります。しかし、大和大が人気実力私大と異なるのは、西日本有数の進学校である西大和学園中学・高校の生徒から進学先として認識されていない事です。これでは、学閥を作る事が出来ず、財界に人脈が出来ないので、将来的には大学の成長は止まってしまいます。
西大和学園中学・高校の生徒は現実を理解出来ているという見方が出来ます。

今年の西大和学園中学・高校から大和大学の合格者は新卒16人、既卒9人の計25人。実際には入学していない可能性があります。

仮に25人全員が大和大学に入学したとしても、とても学閥を形成出来る人数とは言えません。早慶の強さは、東大などに進学出来なかった層が入学してくるだけではなく、高難度の入試を突破した附属中高の生徒が内部進学している事です。大和大が早慶と肩を並べたいなら、学閥形成は避けて通れない道と言えるでしょう。

3.理工学部に大学院を設置せずに、国立大院進学予備校にした為に研究面での成長は見込めない

早稲田大と慶応義塾大は、特に東大・東工大と併願する人が多い大学である為、非常に優秀な人が集まり易い環境です。科研費の金額が国立大並に膨大であり、大学院の研究レベルも国内トップレベルとなっています。
一方で、大和大は理工学部に大学院を設置せずに、国立大大学院進学を重視した教育にしています。その結果、東大大学院や大阪大大学院などへの進学者が出ていますが、人数的には産近甲龍・大阪工大よりも少ないです。産近甲龍・大阪工大は、独自に大学院を持っており、科研費をもらえる研究を多数行っています。また、これらの大学は産学共同研究も盛んです。独自の研究が出来ない大和大理工学部にわざわざ進学するメリットはありません。
受験生にとっては、国立大院進学予備校としては大和大は魅力に見えるかもしれませんが、西大和学園中学・高校の生徒が大和大を相手にしていない現実について考えておかないといけないでしょう。

4.大和大の研究用外部資金を獲得する力はかなり低い

日本の研究.comというサイトで大学の研究費や主な研究内容を調べる事が出来ます。これで大和大の5年間の研究費を調べると、3745万円でした。そのうち、工学分野が857万円、理学分野が824万円です。大和大の研究用外部資金を獲得する力は、関関同立・産近甲龍・大工大よりも、かなり低い事が分かります。(2桁ぐらい違う)

https://research-er.jp/institutions/4781



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