灰東京、焚き火

 逆巻くさまを聴いている。旋回し、外れ、舞い上がりながら落ちる。白いビニール袋が、何かの実のようにして浮かんでいる。

たとえば、ある時代、国ということがあって、中に高円寺という街があったとして。
そこは他から見ると何をしなくても生きていられる森があり、昼間から酒を飲み、道ばたに寝る人々があった。
高円寺を包んだ東京という大きな都市は、いつも細胞を新陳代謝させ、成長していなければならない。
その星には東京以外に数え切れないほど都市があって、彼らとは常に綱引きをし続け、勝ち続けなければならない。

電車に10分ほど乗ると出る、東京の中心部の大きな公園。いくつもの競技場、大きな社と隣り合っていた。
週末になると、ピクニックシート、楽器、サンドイッチを持ってやってくる。歌い、踊り、散歩したら、いびきをかいて、勧誘や練習をし、青いシートで家をこしらえて住んでいる人。
公園の中にある野外ステージを潰し、サッカー競技場が建設されるという。中心のないその国のサッカーの、中心になろうということだろうか。
なぜだかオリンピックが始まるという。50年以上前のお祭りを、もう一度催すのはなんでだろう。何かの中心になろうということだろうか。

中心になろう。綱引きの力は決して抜けない。
生きる。それ以上に、生きさせない。
赤い点が揺らいで滴り、不揃いの灰白が円形に組まれる。
焚き火をしていると集まってくるものがある。
それらと見ている。

『VS?Collective』は、現在の世界から押し付けられた選択肢に対して、もう一つの選択肢(=オルタナティブ)を実践・提示するイベント・翻訳・映像等の制作集団。 ただし、仮想敵を作ることで結束を図るような「二項対立的発想」=「VS」に対しては、積極的に「?」を掲げて。