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特別展「毒」

毒を以て毒を制す
毒にも薬にもならない

そんな言葉が存在するように、
特別展「毒」に行くまでも私達にとっては毒は遠い存在ではなかったはず。
だけど、特別展「毒」に行くとよりそれを感じられる。毒とは何か、から始まり、様々な毒があること、毒に耐えること、毒と共存すること、あらゆる面から「毒」を考える。
とてもボリュームのある展示だったので正直物凄くエネルギーを消費した。

個人的には毒そのものも勿論ロマンだが、毒の研究のためにホルマリン漬けにされた生き物たちや、採取され標本にされた昆虫たちがグロテスクであり美しくもあり、また、命を削って毒を研究する人々の狂気と熱意に胸を打たれた。

想像がつくと思うが、植物はともかく、毒を持つ生き物については見た目がまず強烈であることが多い。しかし標本や剥製を見て思ったことは、その造形すら唯一無二で「美」であること。
傷も何もなくまっさらな状態だけが「美」ではない。
私が常々思っているのは「気持ち悪いは美しい」「グロテスクは美しい」である。毒は勿論危険で死をもたらし兼ねないが、危ういからこそ美しい。
例えばトリカブトなんかは紫色の花を咲かせるし、
今日初めて知った、オレンジ色の花を咲かせる「ゲルセミウム・エレガンス」に至っては猛毒を含むのに名前に「エレガンス」を持つ。狂気でしかない。
何とも言い表し難いが、恐怖と美しさは隣り合わせで、毒と薬は紙一重なのかもしれない。

薬でも食べ物でも摂り過ぎれば毒だし、毒による健康被害が出た事例もあれば、殺人毒なども存在するので、毒のすべてを肯定するのは難しいが、毒には美しい側面があると私は思う。
そして命を削って日々毒を研究する人たちもまた美しい存在である。

そして私は毒にも薬にもなる存在でいたい。




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