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物事は、締切があるから生み出される。

創造主は7日で世界を作ったと言われているが、
よくそんな短期間で英断出来たものだ。
恐らく、納期があったのだ。

クリエイティブのような、正解がないものはいつまでも向き合っていられる。
あぁ、付け合わせがあったほうがいいか?いや、前菜と被るから違うものにしよう、
おもてなしの心と満たしたい欲望は終わりがない。

そこに包丁を入れることが出来るのが、
「締切」である。
ここ数年コミケに類するイベントが行われなかった事で、同人誌の制作数が激減したと言われているが、
仕事でもないのに作品をとんでもアクロバティックに作り上げられる常人ならざる神々ですら、やはり締切がなければ、創造が捗らないのだ。

今でも覚えてる母親から言われた言葉に「あんたはいい感じにまとめるのが得意」と言われ、
往々にしてあぁその通りだなぁと感じることがある。
発散させる事も好きだが、収束させる事に大変興味がある、
妄想する事で息をしてるが、具体化する事が栄養源で生きている。
そのため、出口を決める事が私にとっては想像を始める事と二律背反なのである。
悲しい事にこれが私がクリエイターになれずプロデューサーたらしめている最たる理由であると思う。

まずは外堀から埋めて自分を追い込む

本作も、大枠の流れでどうにか出来そうな目処がたったタイミングで、まずは外堀を埋めた。
物事はやりたいと思っている人8割、一歩踏み出せる人3割、最後までやり切れる人は一割以下、というのが定説だが
この法則をぶち破る唯一の方法は「外堀から埋める」だと思っている。
内容半分の時点で、積極的に外の人を巻き込み、自分の作業じゃない所を埋めにかかるのだ。そうすると、巻き込むにはそれ相応の土台がないといけない、なのでその人に迷惑をかける前に済ませようとするのだ。

残された時間は二ヶ月。

本作では、キャストが無事決まった時点で、タロットを用いた占い講座のレクチャーの期間があるため、
分かりやすく「二ヶ月」というのがタイムリミットとして設定された。
そこから逆算して大体かかる時間(と、裏に持っておくバッファ)をカレンダーに入れ込んでいき、外枠を作っていく。
この時点でまだ「何を作るべきか」は全てはまとまっていない。
ある程度過去事例があったり経験があるものは、何をやればいいかの流れが分かるが、
新規事業や未経験の物は、まずは「何が必要なのかもわからない。」ので、
ひとまずスケジュールを組み、どんどんとオープン時点のイメージを膨らませていく。
経営者の視点的には、1年後、3年後、5年後のビジョンが見えないといけないのだが、
私個人的には、過去の経験から
「撤退ラインだけ引いて、そこに抵触しないように走る」
というラインしか引けないのだ。
昔、VR元年あたりにVR事業の立ち上げに携わらせて頂いたことがあったが、会社からはもちろん長期的な計画と投資回収を計画しろ!と言われ、
私はこれを云々と唸りながら当時の上長と日夜詰めていたが、
サービスin3日前ぐらいにその上長は「まぁ一応数字は出すけど、もうどうなるかなんて前例がないもの、やってみないとまったく分かんないよ。」
と、プロジェクトで試算を預かる唯一の理性の要であった上長ですら言った夜があった。

あぁ、その通りだなぁと今改めて思う。当時はそれでも会社から金を引っ張り出すためにあの手この手で数字や弁論を捏ねくり回す職務を担っていたが、
心の中では「まぁ、知らんけど」以外の何者でもなく、
つくづく変な横槍ではなく作る人達を最後まで信じ、向き合いそこにお金と後ろ盾だけを用意出来るほどの力があればと年若かった己に後悔するばかりである。

嵐のように走り抜けるのみ

なので、今私に見えているのは「サービスイン」のタイミングまでがギリギリで、
そこから一ヶ月、三ヶ月、半年後ぐらいまでを必死に回せるか否かしか考えられていない。
超えられそうだったらその先で考えよう、でもまずは超えるために今全力で目の前の事だけをまとめ上げよう。

そのため、本プロジェクトに残された期間は突然の二ヶ月、
その中で嵐のように走り抜ける事だけを決めて、
周りの人にどんどん締切を伝える事で、自分の締め切りを切る。

神様はきっと脳みその血管が切れてきっとハイだったのだろうな、と自分で自分の首を絞めている現状に笑いが止まらない。

#運命ボイス #締め切り

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