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日本語

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日々の授業のことや学生のことなど、日本語に関する記事をまとめました。
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#仕事について話そう

留学生

授業中Sさんが、ノートに一生懸命何やら書いている。 熱心だなぁと思いつつも、何か違和感を覚え、机間巡視するふりをしてSさんの席に近づく。 背後からそっとノートに目を向ける。 ん?んん? これって・・・ ノートの下にメニューらしきものが見える。 「Sさ~ん、今、それ書かないでください。授業中です。」 「先生、すみません」 ♢ 休み時間。 「先生、焼き鳥の名前、わかりますか? 難しいです。  ぽんじり・かんむり・せせり・・・」 「むずかしいですね。アルバイトですか?

卒業式の呼名

普段、出席を取る際、学生の名前はフルネームでは呼ばない。 ファーストネームに「さん」付けして呼ぶことが多い。 卒業式での呼名はフルネームで読み上げる。 昨年の卒業式の10日ほど前だったと思う。 呼名の呼び方の確認と練習として、クラスで一人一人の名前を読み上げた時のことだった。 「先生~、そんな発音で呼ばれても誰のことかわかりません。ちゃんとベトナム語の発音で読んでください!」 いつも、私に厳しい要求(半分冗談が混じっている)をつきつけてくる学生が真顔で言う。 「え~~

聴解問題から得たご当地スイーツ情報

この前の土曜日(3月2日)にこのような記事を書いた。 今日は、聴解問題の授業準備をしていたら、とても面白い情報をゲットしてしまった。 「変わった味のソフトクリーム」という内容だった。 果物を使ったソフトクリームはよくあるが、その土地の食材を使った変わった味のソフトクリームとして、四国のうどんそっくりなソフトクリームというのが紹介されていた。しかも、ネギまでトッピングされているという。 ソフトクリーム好きの私としては、気になって仕方がない。 検索してみると、出てくる出てく

読解問題に教えられたこと

先週、読解授業で扱った文章を読んでいてハッとさせられた。 他人と比べるのではなく、少し前の自分と比べる・・・。 これは、学生のみならず自分にも必要なことだと思えた。 ♢ 長文の日本語を見ただけで嫌悪感を持つ非漢字圏の学生は多い。 中には「どうぜ読んでもわからないから」と言って最初から諦めモードになる学生や頑張って読もうとするも、漢字や語彙が分からず読み進められなかったり、眠気に襲われたりする学生もいる。そんな彼らにいかに興味関心を持ってもらうか、どのように解説していくか

作文コンテスト

私が勤めている日本語学校では、大きなイベントの一つとして「作文コンテスト」というものがある。 全校の学生が2コマ(90分)使って決められたテーマで作文を書く。 テーマは当日3つ提示され、その中から一つ選んで書く。 規定の字数が書けていればいつもより少し早く帰ることができるので、早く帰りたい学生は必至だ。 中上級以上のクラスともなると800字以上1200字の作文を書かなければならない。作文が苦手な学生にとってはとても大変だ。 字数を増やすために学生がやりがちなのは・・・

餃子は餃子でも・・・コピペ作文より

日本語学校で作文の宿題を出すと、どこかで仕入れた(たいていはネットで)あるいは、本などで調べたものからコピぺ作文を提出する学生がいる。 コピペのパターンは3つある。 ・全文コピペ (コラーっ!) ・一部分コピペ (一部分だけ妙に読みやすい) ・組み合わせタイプ(文体が混ざる、段落ごとに違う空気になる) 中には手が込んでいて、3つくらいの違う作文から、いい具合に文章を抜き取り、それを組み合わせて一つの作文に仕上げる学生もいる。そこまでの読解力とまとめる力があるなら、君は十分

授業準備に使うツールはnoteで記事を書くときにも役立つという話

noteの記事を書いていて、ふと、この言葉の後ろには何がくるのが相応しいのだろうと思うことはありませんか。または、他の言い回しはないだろうかというときです。 そんなとき、私がよく使うのは筑波大学のウェブコーパスです。 ライターさんのように書くお仕事をされている方は知ってるよ!という方も多いかもしれません。 初めて!という方で、ご興味があればお付き合いください。 では、さっそく行ってみましょう! 使い方です。 ①利用規約に同意する  利用規約を最後まで読んで赤丸に☑をし

「エレガント」の使い方が完璧な留学生の話

毎年1月期は、中上級レベル以上のクラスでプレゼンの授業がある。 自分の好きなことや物をテーマに、スライドを作り一人10分くらいのプレゼンをする。 昨日は上級クラスで、その準備のための時間があった。 Yさんは、オタマトーンというおたまじゃくしの形をした楽器について発表するようだ。 私は、この楽器の音色も演奏方法も演奏するときに変形するおたまじゃくしの顔の部分も大好きだ。そして、思い通りの音を出すのが難しい楽器であるが故、演奏者も変顔になりがちで、演奏する姿を見るのも楽しい

語源を知る、沼にはまる。

日本語学校の授業準備は多岐にわたる。漢字・文法・読解・聴解・作文・グループ活動の準備などさまざまだ。 語彙の授業準備は危険だ。 どこまでやっても足りないような気がする一方、やりすぎだと思ったり、自分の知りたい気持ちに負けてどんどん深みはまったり、やめどきがわからなくなる。 そうやって授業準備に時間をかけすぎて、一人ブラック企業を展開している。 なかでもはまりやすいのは、語源だ。 授業で語源まで紹介することはめったにないが、上級クラスだとちょっと紹介することで「へぇ~」