【ネタバレ有り】南杏果さん出演、いなくなれ群青

「いなくなれ群青」の舞台を観てきた、感想記です。

著名作品の舞台化ということで、大きな舞台でのお芝居かと思っていたのですが、小劇場サイズの箱に、客席が舞台を挟むように配置され、正面というものが存在しない形態で、座る位置で見え方がかなり変わる造りになっていました。

この業界に通じたお客さんだと、座る位置を変えて複数回観たりするんだろうな、と思いつつ、一段高い位置の客席の最前列が幸いにも空いていたので、そこに陣取りました。

開演を待ちつつ、スマホをいじっていると会場内が暗くなりほどなくスタートです。

今回、ストーリーに関する情報は一切頭に入れずに観に来たのですが、人によっては難解と評している方もいらっしゃったので、役者さんのセリフがきちんと聞き取れるよう、多少緊張気味に観ていました。

ネタバレ有りと断っているので、書いてしまいますが誰かから捨てられた人が集まると言われる、階段島。ここに来た人は、皆なにかを失くしており、それが何かを突き止めることができると、島をでることができる。とはいえ、島は魔女によって管理されており、生活はほぼ保証されるし、学校も存在する。通販も可能で、外界からの品を手にすることができるという都合の良さで、島を出ようとするモチベーションが高まらないように調整されている感満載。

そこに、少々の事ではモチベーションの下がらない、主人公の幼馴染みが登場し、世界を引っ掻き回し始め、この幼馴染みを島から脱出させたい主人公も行動し始めます。それによって、この世界の真の姿が明らかになっていく過程が、周囲の人々の群像劇も交えながら綴られていくというストーリーでした。

#途中から 「うる星やつらビューティフルドリーマー」を思い出してたと言うと、年齢がばれますね(^^;

#あと閉じ込められがちな某界隈にも 、喜ばれそうな設定です。

こうなると、主人公と幼馴染みのお互いが相手の失くしたものというパターンか、もしくは自分自身が自分の失くしたものというパターンなんじゃ?と思いつつ観ていると、正解は後者でこの島は、成長の過程で斬り捨てた人格の一部が集まるところだったのです。

とか、淡々と書いてますが、その上で想いをぶつけあう主人公と幼馴染みのピュアな言葉の応酬に、すっかり涙腺ゆるんでましたのでしっかりのめり込んで観させて頂いてました。素敵な物語なので、原作も読んでみたくなっております。正直、おススメです。

で、ここまで書いてきて、ようやく本題。

このお芝居は、以前、ラストクエスチョンで活動していた南杏果さんが、女優としての活動に専念するとしてグループを卒業して挑んだ作品で、彼女の作り上げる世界を見せてもらうのも目的の一つでした。

で、観終った結果としては、南さんがすごく大切にされているし上手に使ってもらえていて安心したという、なんとも親目線な感想(笑)

南さんの役どころは、堅物で融通の利かない学級委員長で、融通が利かない頑固者という属性では、ヒロイン(幼なじみ)と重なります。ただヒロインが、自分の正義に頑なにこだわるのに対して、委員長は世界の正義にこだわるという対照設定で、いわば裏ヒロインという重要な役でした。

主人公に対する淡い恋心を呈して、ヒロインに相対する女子生徒も別に居たりするので、短い芝居の中ではそこまで表に出ては来ませんでしたが、ヒロインを太陽とした時に、月のポジションとも言える役柄だったので、引き立て役ではあるものの、大事な役を任されているなぁと。

で、演技そのものも、実にうまくはまっていました。こういうとご本人に怒られそうですが、南さん自身は多少、舌足らずな話し方をする癖があり、それを消して委員長らしい固い話し方をしていらっしゃいました。そこで、一語一語をかなり意識しつつ口に出している様子が、委員長役の頑なさと重なって見えて、見事なはまり役に見えたのです。

邪道に思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、上手にいい演技を引き出してもらえているなぁと、私自身はシンプルに喜んでました。

とまあ、偏った思い入れを持ちつつも、素晴らしい舞台を楽しませて頂けて、素敵な時間を過ごせました。南さんをはじめ、キャスト、スタッフの皆さん、ありがとうございました。

さて、次はどんな物語をみせてくれるのか、彼女の次の活躍を楽しみに待ちたいと思います。

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