Iceman♡愛すまん -番外編 もやしと好珍、そして GATEワンワン -


ここまで2枚のアルバムを順におさらいしてきて、次は順当に行くとGATEシリーズに入るのだけど、少し脇道にそれたいと思います。

Icemanを語る上ではおおいに外せない、彼らの愛すべきキャラクターについて、思いの丈を語らせていただこう。

SweetJank, SweetGap

Icemanは音と見た目とキャラのギャップがでかい。
いやちょっとあまりにもでかいのだ。

今後ご紹介する予定のGATEシリーズは、内容も背景もとがりまくったコンセプトアルバムの連作にして歴史に残したい傑作なのだが、そこに至るまでもなく、すでにデビューから2枚のアルバムの時点で Icemanの音楽性の高さは保証されている。

ヘビーな音も取り入れたデジロックでありながらキャッチーで美しいメロディ。担当パートにとらわれない自由さ、超新鮮な歌詞の世界。てらわない真っ直ぐなカッコよさ。既存のものとはどれをとっても違うし、ヒットチャートを賑わしたいだけの人たちではないニオイがギンギンに充満している。つまり彼らは、彼らのやりたい音楽に対してめっちゃ本気である。

ところがインタビューとかFC会報とか、彼らのキャラが見えるサイドに着目すると、かつてないレベルでふざけ倒しているのだ。

ビジュアルはといえば、ひと目でわかる、カッコいいデジタルでロックでサイバーな人たちである。GBの表紙になる人たちである。絶対無駄口とか叩かなそうな、機械のような、ため息しか出ないキチリキチリの隙がない美形ぞろいである。

黒田はパッと見ジャックナイフで、とにかくストイックな肉体が美しい。ステージでは期待通り、音に負けないキレキレのアクションを見せてくれる。個人的にはこの世の生物の中で一番男前なのが黒田だと思っている。こんなにカッコよくて大丈夫だろうか。触るもの皆落としまくるに決まっている。

伊藤は長身に赤い髪だけですでに圧がすごいし、表情の作り方は天性のパフォーマー。彼のオリジンであるUKロックでグラムな雰囲気を、独自の浮遊感で纏う。Icemanをやるために誕生したクレイジーでマッドなアンドロイドに決まっている。

そして説明の必要もないが、Iceman時代のDAを見ておくれよ。すでに半分神の領域に踏み込んでおり、どのアー写も光り輝いている。クルクル変わる奇抜な髪と目の色、3人の中で一番ちいちゃいのに一番不敵な微笑み。主食は絶対に宇宙食とケミカル色の水に決まっている。

そんな人間離れした彼らは美しいお顔のまま、キメにキメた衣裳のまま、一分一秒を惜しむよう互いをイジり、やられたらやり返し、小ネタを仕込み、あらゆる手段でふざけ倒す。

そこのギャップがどこまでもツボすぎてたまらない。
なんなら笑いとはなんぞやというのを Icemanで覚えた人さえいるはずだ。

OH Yeah! Mr.D

具体的にいくつか、俺の好きなエピソードを振り返ってみようか。

ーメンバーが会報でコンビニパートのおばちゃんの物語を連載している

ー会報でお互いのあることないこと書きまくり、メンバー内で訴訟(という名の茶番)を起こす

ーPVにオフショットが入っているが、じゃんけんに負けたらお互いの足やら尻やらを叩く謎ゲームで、音楽との関連性皆無

ーだいたい毎回インタビューの2/3はふざけている
犬の服を着ようとしていたり、遅刻にまつわるヤンヤヤンヤだったり、妄想ユニットだったり、ただの最近見た映画の感想だったり、絶対実現しないトンチキなファンクラブ企画だったり、内容はきわめて多岐にわたる

いっぱい書こうと思えばそれだけで8万字ぐらいになるから、シンプルに思いついた順に絞ってこれだけになった。

「もやし」というのを聞いたことがおありの方もいるだろう。伊藤が各所で披露していたオリジナルキャラの総称である。簡単に言うと、手足が生えたもやしの形をした謎の生命体のイラストだ。ときに血まみれだったり宇宙ぽかったり七変化する。シュールでキモいので最初こそ異彩を放っていたが、慣れるとメンバーのみならずファンの間でももやしは市民権を得すぎてしまい、最終的にライブのグッズになった。

また、2つのスタジオに分かれてレコーディングしているとき。相手側スタジオのスピーカーからリモートで音を流せるのだけど、DAは相手を笑わせるため、 SIREN'S MELODYをエンドレスにリピートしたという。
え?そういう曲でしたっけ?セイレーンて。俺の知ってるセイレーンとちがう?
あのDAが自分のソロボーカルデビュー曲をネタにしてまでも笑いを狙いに行く。結構な衝撃ではないか。Icemanとはつまりそういう戦場である。

ファンクラブ会報が主ではあったが、一般に発売されている雑誌でもわりとお笑い要素は濃かったので、機会があったら古い切り抜きなど見返してみてほしい。笑いに走ろうとしつつもまだぶりっ子している雰囲気も感じ取れるようになってきたらIM上級者である。

タイトルに入れたワードは、彼らが生み出したおもしろの中から引っ張ってきた。なんのことだろうと思った方はアルバムを聴いてみてください。答えは出てきません。エヘッ

ちなみにライブでもおもしろ要素はちょこちょこ取り入れている。単発ライブイベントがわりと多かったこともあって、しばしば一度きりの企画モノアレンジがあったりしたようだが、音源などはほぼ日の目を見ていない。おちゃめなドラキュラ達がステージではしゃぐ Mr.Dは市販のDVDにも残っているのでぜひ見ていただきたい。

Dear My Friend

とにかく何をするにも笑いがいっぱいで、3人が楽しそうに全力でふざけているのをたくさん見てきた。

元はDAが主導して始まったユニットではあったけれど、時間が経って3人の関係はどんどん変わった。決して主従や影と光ではなく、フラットで対等な関係性になっていく。3人が好きにやればやるほど、彼らの関係が深まっていくしあわせをそこに見出すことができた。

DAがサービス精神旺盛な人で、楽しいことや驚かせることが大好きなのは知っているけど、そういう面を音楽以外でも包み隠さずファンにも一緒に楽しませてくれるようになったのは、Iceman3人の時代の功績がとても大きかった気がしている。

ワチャワチャやっている3人は、かっこよく言えばバディ感、たぶん女子が想像するところの男子校ノリにも近い。なんというか、大ちゃんにこんなおもしろいバカをやれる友達ができた、みたいな。

まるで無邪気にただただ友達と笑うみたいな大介を見たのは、Icemanが初めてだった。

その嬉しさが忘れられなくて、あの頃の3人の笑顔を見ると、今でもキュンとしてしまうのだ。


次からはGATEシリーズで、Icemanの後半時代へと突入していきます。


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