いよいよ腹キメて、エレロマと結婚しようと思う

タイトルのとおりである。

いや何がやねん。とお思いでしょうが、ヲタクの愛は自己申告。

俺もいろんなDA曲と恋に落ち浮名を流した。それぞれみんないい子で、どれも本気と書いてマジなの。全員のことが心から好きなの。
しかし、ちぎれるほどモテ倒したバンドマンでさえ、売れない時代からずっと陰で支えてくれた彼女と最終的には結婚することになっているだろう。まぁそういうアレだ。

俺はDA暦30の年にしてようやく、本腰据えてエレロマと幸せになる決断をした。これからはどんな新曲ちゃんのことを好きになろうが、家に帰ればエレロマがいる既婚のヲタクとして生きていくので、もう終電まで飲み会にいられないかもしれない。エレロマを泣かせたくない。よろしくお願いしたい。

つまりこれは俺なりの、DAソロデビュー30周年に捧げるエレロマへの愛の詩、あるいはオンライン婚姻届、公開プロポーズである。

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エレロマ、正式名称 ELECTROMANCER は1995年7月12日に発売された、DA3作目のソロアルバムである。正式デビュー前のおうかがいといった色も濃かった全2作とはだいぶ目先の違った、まさにソロアルバムたるソロアルバム。DAが自分の名刺になる一作と宣言した、誉れ高きアルバムである。

解説というのもおこがましいので、1曲ずつ、簡単に思い入れとマイ聴きどころを語りたい。

1.  THE ELECTROMANCER
オーケストラをバックにエレキギターがソロを取る強烈な世界観。今でこそこういったゴリゴリ×キラキラの異分子ミックスはDAらしさのひとつではあるが、やっぱりここが始まりでしょう。しょっぱなから神への階段一歩登った感。

2.  BLACK OR WHITE?
説明不要の名曲ですけども、やっぱDAのプロデュースの才能って好きだなぁとしみじみ感じる。

3.  KARMA FOREST
わりとアダルティなダンスチューンで、発売当時はけっこう刺激的に感じた記憶がある。エレロマ曲にしては珍しく、部活で復活しましたね。

4.  SPACE PARADISE
これを自分のために自分で書いて自分で歌う、そんなDAが好き。

5.  RAINY HEART〜どしゃ降りの想い出の中
概念としてのイケメンたる葛山信吾のバックでピアノを奏でながら遠くを見つめる、あの頃DAはまぎれもない貴公子であった…(今どうとは言っていない)

6.  BEAT OF DREAM
数年前ロサンゼルス、いやL.A.に初めて行ったとき、この曲を聴きながら街を歩いた。俺の夢はこれだったと思えた。気持ちだけはチビT✌着用であった。

7.  MAGNETIC SPRING
キラキラの泉からドッカンドッカン湧き出るDAサウンド。アサクランドができたら、真ん中の広場にある噴水から聴こえてくるのはこの曲ではないか。

8.  WHISPER CITY
単純にかっこよくて好きなんですけど、ちょっと背伸びした感じもかわいくないですか?

9.  SIREN'S MELODY
俺はこの曲がソロデビューシングルだったこと自体が本当に好きでたまらないのだ。90年代日本で、天使がこんな催眠みたいな曲でデビューしたの、めちゃくちゃパンクだと思う。

10.  ATLANTIC WEAVE
俺が世界で一番好きな曲です。再生すれば吹き抜けるエキゾチックな熱風。砂漠の中に突如現れる、蜃気楼のような美しい古都。音の吹き抜けた跡をたどって隠された秘宝を探す。曲が終われば、今感じていた風が確かにそこに残る。これほどに想像の街の空気をリアルにはらんだ、旅に出たくなる曲を俺は他に知らない。

11.  THE ELECTROMANCER(KANASHIMINO KAWAWO YOROKOBINO OKAWO)
いやぁ...いい曲ですね。ここぞというときにDAが流す大事な曲でもありますが、DAの優しさや強さがギュッと詰まっている。

12.  VINTAGE
あんまり言うと怒られるが、この曲を葬式で流してほしいというのが俺の唯一の遺言です。

コンセプトアルバムではないのだけど、一曲一曲が世界を持っていて、まるでDAが仕掛けた壮大な魔法の絵本をめくっていくよう。あぁ終わった...と聴き終わったときの気持ちは、楽しみにしていた遊園地を後にするときの、夕暮れ時の心地よさと寂しさに似ている。

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このアルバムを聴くときはいつも、なぜか当時の自分と今の自分が一緒に曲を聴いているような、ふしぎな思いがする。アクセスの大ちゃんではなくなった大ちゃんを初めて知った、当時のドキドキキュンと昂りが新鮮に蘇るのにくわえて、今でもエレロマって最高だよねってしみじみする感慨のようなものが、併存しているように思う。このような視点の交錯はエレロマ以外の作品を聴く時に意識することはない。だがこれは懐古の気持ちではない。

歳を重ね、当時のDAの年齢を追い越し離れていくほどに、このアルバムのすべてがよりどんどん愛しく、輝かしく、まぶしく思えてくる理由。これは、DAが超現役選手で、しかもバリバリにブレない人だということが、とても重要ではないかと思う。

エレロマのまぶしさは切り離された過去ではなく、今に至る軌跡のスタート地点として濃密に現在までのつながりを保っており、虹の始まる場所のように、いきいきと輝き続けている。キラキラの好奇心旺盛で夢見る音をいっぱいに詰め込んだあの頃の細胞を少しも失わないまま、DAは50何歳になっているからだ。今のDAがすばらしい音を新しく世間に送り出せば出すほど、でも当時からすでにこんなクオリティの作品を作ってたんだよね、今聴いても最高だね、という感動を相対的に再生産する、永久機関がそこに発生している。DAの曲はどれも古びるということがないけども、エレロマの世界観はもうずば抜けてその曲や音の性質だけでなくいたずら心、冒険心、楽しませようという心、無限の想像力、そういう "DAっぽさ”においてダンチにブレがない。

若きDAが送り出した渾身の一作としての、純粋な作品的魅力。
その後のDAの音を吸収した今の自分が感じるすべての根源としての尊さ、生命力と想像力の輝き。
どこを切り取ってもブレないDAを今も見守り続けていられる奇跡のような幸せ。
これらのよろこびが重層的にギュンギュン迫ってくる。

エレロマを聴くと、当時の大ちゃんと今のDAを一緒に愛するような豊かな幸せをおぼえる。DAと出会って、いろいろ回り道して、またこうしてDAとともに俺の人生はある。それを一番誇らしく感じられるアルバムが俺にとってのエレロマである。本当にこのアルバムを生み出してくれてありがとう、愛と感謝はとても言葉では伝えきれないが、だからこのアルバムと結婚することにしたので、お察しいただきたい。

ではこのへんでそろそろ帰ります。エレロマが待ってるので。(BGM:VINTAGE)



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