OSSと「無償労働」について思うこと。

論文の締切が近いが、あんまりにもあんまりな話が出てきた。faker.jsとcolors.jsの話だ。
自分の考えを記録しておきたい。今日はテクニカルな話題に寄っていて、結構ドライな文章を書く。

大まかな流れは「OSSの金銭的な扱いに対する不満を持っている、有名OSSの開発者が、反旗を翻すための活動として悪意あるコードを仕込んでリリースした」というものである。
詳細な背景や状況などは既に経緯が示してくださっている記事を紹介しておきたい。

無償労働は「罪」なんだろうか。

最近は世間一般的に、「プロフェッショナルに仕事を無償で依頼することは正しくない」という認識が広まっていると思うし、私もこれには賛同する。プロフェッショナルは対価を受けるべきである。
また、「アマチュアであれ格安や無償で仕事を受けるのはダンピングで、その市場自体に対して望ましくないものである」と言われる。これも概ね同意できる。

OSSはどうなんだろう。OSSの自由の側面ばかり目立つが、負の側面が大きく、faker.js/colors.jsの作者もそこを主張したいのだと思う。
多くのcontributorはボランティアである。ボランティアの成果物が世界の経済活動を支えている。その成果物が他者の富を生み出している。

かくいう私もB1の頃などにElectron.jsのドキュメントまわりのコントリビュータをしていたことがある。translator(翻訳者)およびproofreader(校閲者)である。

その他、オープンソースソフトウェア、オープンデータ系プロジェクトに些末ではあるがcontributionがある。ドキュメント中心だったりするけど。

こういった「無償労働」ダンピングだったりするのかな。でも今のところ、OSSの「正しい」やり方はこれなんだよね。
でもめっちゃ悩んでる。「ダンピングはプロフェッショナルの仕事を奪う」という話も分かる以上、折り合いがつかない。答えが出ない。

反旗の翻し方は良識を持った方がいいだろう

議論の真っ最中だ、OSSのあり方について、私の結論はまだ出せない。考え続けないといけない。

もちろんOSSへのフリーライドに対して抗議する運動は理解できるし、開発者の地位向上には必要なことなのかなとも思う。ただ、その手段として悪意あるコードを仕込むことに対しては、他の開発者は明確にNOを示さないといけないのではないかと信じている。

たとえばライセンスの変更などは理解が及ぶ良識的な戦い方だと思う。
これは一例だが、もっと良い「やり方」があると私は考えている。

今日はこのへんで。

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