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「おでかけティップス」~神戸観光コース vol.003~

※〈ちょこっと倶楽部・おでかけコース〉メンバー向けの限定記事です
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「灘の酒」と聞いてどんなイメージが浮かぶだろうか。

全国の地酒を集めた居酒屋へ行ってメニューを見ると、〈近畿地方〉の欄に「灘の酒」が載っていないことが多い。
灘の酒は兵庫県の酒であり、また酒造量日本一を誇るにもかかわらずだ。

そんな居酒屋は、酒通の店主が全国の蔵から思い入れをもって集めた地酒を揃えていることが多いが、灘の酒はみごとに外されるのだ。
なぜ?

大きな理由に、灘の酒の大衆化があげられるだろう。
CMでもよく見かける、どこのスーパーでも置いている、そういう有名な酒造メーカーが多いうえ、大量生産で味を落としたものがあるのも確か。
カップ酒も灘が発祥だが、そうした手軽さがマイナス要因ともいえる。

知り合いに、ある灘の酒蔵の社長がいる。
そこはまじめな手仕込みの蔵なのだが、一部のメーカーが添加物で調整した代物を造っていることを嘆いていた。
あんなメーカーがあるから、灘全体の評判が落ちるのだと。

歴史を見れば、灘は酒造好適のコメ、水、気候が揃ううえ、港が発達していたために江戸へ下されて「くだり酒」として人気を博した。
粗悪なものを「くだらない」というのはここから来ているほどだ。

それほどまでに絶賛された灘の酒だが、今は「全体として」品質が下がっているのは確かなことなのだろう。
でもそれはあくまで「全体として」のこと。
研鑽を積み、むしろさらに旨い酒を醸すようになったメーカーもある。
もう何年もノーベル賞の公式行事の提供酒として、六甲山系の湧き水で仕込んだ灘の酒が選ばれているのを見れば分かる。

全国の地酒を集めた居酒屋も、そろそろ灘の酒を十把一絡げにしてダメと烙印を押すのではなく、きちんと吟味すべき頃合いではないだろうか。
〈近畿地方〉の欄に灘の酒を一つでも選んでいる店こそ、店主の慧眼に触れてゆっくり味わってみたいと思うものである。

さて今日の「おでかけティップス」は、この灘の酒に触れる旅だ。
現地に立って、江戸時代から続く酒造りのDNAを肌で感じられるコースを用意した。
そしてもちろん、最後は灘の酒で乾杯だ!

11:00 阪神神戸三宮駅

今回の旅の始まりは三宮だ。
三宮は、JRが「三ノ宮」、阪急と阪神が「神戸三宮」、地下鉄西神山手線・ポートライナーが「三宮」、地下鉄海岸線が「三宮花時計前」と、ほぼ同じ場所にあるのに各社各線で表記がバラバラ。
今回は、海沿いを走り、灘の酒蔵を巡るのに適した阪神を使う。

昭和8年の開業当時から残る地下ホーム天井のアーチは必見。

電車・徒歩 30分

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