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「場合分け」の威力。

場合分け。算数で聞いたことがある単語だって思う人は多いのではないだろうか。場合分けとは、一気にまとめて扱うことが難しい事柄を、いくつかのグループに分けて考えることを言う。今日は、物事を考える際に、場合分けをすると、とても効果的であることを実感してもらうことにする。

例として、あるお題について、総合的に「良い」のか「悪い」のかを考えるケースを想定する。今回はこのお題。「女性の管理職の割合が高い会社には政府が補助金を出す」という政策の是非を考えるとしよう。簡単にかみ砕くと、次のように言い換えると理解しやすいだろうか。

会社のお偉いさんにたくさん女性がいれば、その会社にはお金あげますよ。

おそらく、肯定側、否定側のそれぞれの言い分がある。

肯定:女性の活躍の場が増えて良い。
否定:実力が伴わない女性が起用されると悪い。

しかし、この意見をそのまま述べてしまうと、次のように解釈されることが考えられる。

肯定側は「女性にとってよい」という意見に対し、否定側は「会社にとってい」と聞こえ、どちらのほうが結局良いのかは結論がつけられない。

こうなると、女性にとってのメリットと、社会にとってのメリット、どちらをとるべきなのか、判断を下す人の主観に任せることになってしまう。
物事を判断する際に、場合分けをすることができるとより鮮明に理解し、伝えることができる。ここでは、肯定側の「女性の活躍の場が増えて良い」という意見を深めていくことにする。

1)まずはこの政策があったら何が起こるのか考える。

女性管理職の高い会社に補助金を出すとどうなるか。ここで考えられるのは、3つのタイプの会社しかない。

A:政策に影響されて女性管理職の割合を上げる会社。
B:政策に影響されずそのままの運営を行う会社。
C:政策に逆らって女性管理職の割合を下げる会社。

この3つしかないわけだが、このうち2つは議論する価値が非常に低い。その一つはBだ。肯定する側にしても反対する側にしても、影響がない会社について述べても、変化がないなら+ともーとも言えないから。もう一つはC。政府の許可・協力のもとに成り立つ企業が、政府に反発して真逆の行動をするという、「非常に稀」なケースだからだ。(もちろん稀であっても議論の価値が高いケースは存在するが、今回はその説明は省くことにする。)

対して、Aは政策による利益を根拠として変化をするという極めて自然な行動に基づいており、その変化の結果を評価することが可能だと考えられる。
場合分けによって、どのような会社について言及することが最も適切か見えてきただろうか。

2)誰にとってメリットがあるのか考える。

女性管理職の割合を増やした会社(つまりA)を考えるとしよう。その結果誰にメリットがあるのだろうか。適当に並べてみると、こんな感じだろうか。

会社の制度に女性の意見が反映されやすく、女性にとってよさそう。会社も女性への潜在的な差別を意識して改善するだろう。より多くの女性が管理職として活躍できる会社が増えて、社会全体が良くなる。

たくさんあることは分かったが、少しポイントが散らばっているため、このように述べてしまうとなかなか全てを受け取ってくれる聞き手はいない。より伝わる述べ方を「場合わけ」を使って次のように整理してみた。

A:該当会社の女性個人にとって
 i) 女性がいることで生理休暇や育児に対する理解など女性にとって安心できる労働環境が達成されやすい。
 ii) 目指すべき女性ができて、モチベーションが上がり、成績UPしやすい。

B:女性にとって(該当会社以外の女性を含む)
 i) 女性でも管理職を目指す環境がより自然化され、上記の女性と同様のメリットを被る。 
 ii) 世の中に女性の存在に重点をおく組織があることを知り、自信や自己肯定を感じたり、生きにくさを感じにくくなり、不幸が減る。

C:該当会社にとって
 i) 女性ならではの視点が役員会議の中できちんと吟味され、商品やサービスの向上、ひいては会社の利益につながる。
 ii) これまで女性管理職が少なかったがゆえに応募してこなかった優秀な女性層がより多く応募してきて、人材の質が上がる。
 iii) 男性社員はさらなる競争に勝つため努力をし、会社の利益に貢献する。

D:社会にとって
 i) 女性の視点も取り込まれたより良い商品・サービスを受けられる。
 ii) 男女格差の次は、ほかのマイノリティというように、比較的ハンデを負うグループに対して目が向きやすくなる。

いかがだろうか。ここでは、「該当会社の女性・女性全体・該当会社・社会全体」という4つに分けて、分類し、それぞれに異なるメリットがあることが分かって頂けたのではないだろうか。

3) まとめ

このように「場合分け」は考えを整理し、建設的に述べるにおいて絶大なる威力を発揮する。場合分けを効果的に使うことができれば、考えるスピード、スピーチの質を確実に向上させることができる。今回は肯定側の意見に絞って考えを膨らませてみたが、同様のことは、否定側でも当然可能だし、世の中のあらゆることを考える際に使うことのできる思考方法なので、ぜひ、トライしてみてほしい。

頭の中の絵を、ピースに分け、それらを組み合わせる、そんなスピーチの美しさを常に追求したい。そんなRubinのつぶやきでした。

Rubinより♪

(※あくまで場合分けの効果的な使い方を伝えるために書いた文章で、女性登用政策を促進するためや反対するために書いたものではないことを断っておきます。)

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