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現実より面白い世界を★ミ

 VRChatの世界に来て初めての冬。
 この身体(みなほしちゃん)にも慣れてきて、感度も生えてきたこの頃。   

 いつも通りVRChatにログインして、行きつけのBARにjoinした。

 ※VRChat内では毎日何かしらのイベントが行われており、みんなで集まってだべったり写真を撮ったり撫であったり発狂したり養命酒を飲んだりしている。ここでいうBARもVRChat内イベントの一つだ。(集会ともいう)

 その日は、BARのマスターと二人きり。そんな時間が長く続いて、マスターがぽつりと独り言ちた。

 「今日は人こないかも。裏でVketとサンリオやってるから」

 私はマスターが作った80点のカクテル片手に、そういやまだVket行ってなかったなぁ……と思い立ち、マスターに訳言ってBARを出た。
 1分後に私はVket会場の一つ「パラリアル秋葉原」にいた。
 秋葉原お前・・・変わっちまったなぁ・・・。

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 そう、「パラリアル」とは何か。株式会社HIKKYによると、

”「パラレルワールド(並行世界)」+「リアル(現実世界)」を合わせた造語で、リアルとメタバースに並行して存在することを指します。”
引用:PRTIMES「メタバース上で開催される世界最大のVRイベント『バーチャルマーケット2021』会場&出展企業第1弾を発表!!」

 となっている。現実で見たことのあるけれど、どこか現実ばなれした世界。あのロゴや例のモノがバーチャル的な演出や空間と融合する世界。とても奇妙だけれど、私はとてもわくわくしていた。    

 目の前に広がっていた世界は、既知の「秋葉原」とは似ても似つかない。文字が空中に浮き出て、虹色に光る歩行者ロード、ぺらぺらのモブとでっかい初号機。会いたい参加者や場所に一瞬でテレポートだってできる。
 東京マルイのブースでエアソフトガンをぶっぱなしていたら、声をかけられた。

 「一緒にワールド回りませんか?」

出会い

 声をかけてくれたのは「きりながれ@kirinagare_vrc」さん¹)だった。ちょうどVket散策ツアーをスタートするところだったらしい。正直、そんな散策ツアーのことなんてこれっぽっちも知らなかったが、ものはついでにと一緒についてくことにした。きりながれさんが最初に案内してくれた場所は、もう一つの企業ワールド、その名も「パラリアル渋谷」だった。

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1)( ˘ω˘)スヤァの化身。はにゃ目の優しい人。Vket期間中はCOMPブースに通い、写真を撮ってキャンペーンに応募しているようだ。先日はありがとうございました。

 我々ツアーメンバーはまず、大きなお姉さんがいる場所に向かった。二階に上るとボタンがあって、それを押すとお姉さんがいろいろ表情を変えて前のめりに迫ってきてくれるのだ。控えめに言って最高だったのでおすすめ。

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 一階に降りてすぐそばに、ミニゲームがあった。雪玉を投げて的に当てるゲームだ。一定点数以上のポイントを獲ると、無料で「鹿の角のアクセサリー」がもらえる。最初はコントローラーでイメージした投げかたができず、雪玉の着弾点が予測しずらかったが、二回ほど挑戦したところ無事にGETできた。初心者でもなれればできるイイ感じの難易度であったと感じた。今度、friendsに会うときはこの鹿角を装着していこうと思う。
 このように、無料でもらえる3Dアクセサリーや現実の商品がタダでもらえるかもしれないキャンペーンなどがあるが、とある同行メンバーからは「毎回更新される情報に気づきにくい」との意見もあった。公式のTwitterでは最終日近くに無料配布専用ダウンロードURLのまとめを直接貼って投稿していたが、これがちょー助かった。

 次に、大丸松坂屋百貨店ブースを案内してもらった。いろんなご飯の3Dがオブジェクトとして置いてある。2Dで見るより、3Dで見たほうがなんかいい感じがするのが不思議だ。

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 また、Vket内ではAR体験もできてしまう。以下の写真のように、でっかいVketちゃん1号をタブレット越しに見ることだって可能だ。

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 本当にでかい。いままでで一番でかいってさ。

 我々は無事にパラリアル渋谷巡りを終え、ハチ公前で記念写真を撮った。

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(画像出典:https://twitter.com/kirinagare_vrc/status/1469579707536789504)
(※ポムポムプリンの*に手を突っ込んでいるのが筆者)

 あぁ、ちなみに。「note株式会社」のブースもあった。でも、このブースの前できりながれさんが一言、

 「ここはnoteのブースです。が、何もないので飛ばします」

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 そういったのはきりながれさんですからね!? 

 数日後。
 VRChatに舞い戻ってきた私は、「ヤギ福」(@yagifuku)さんにVketを案内されていた。ヤギ福さんはVket2021公認配信者の一人だ。

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(画像出典:https://twitter.com/yagifuku/status/1471839350975774720) (私は途中退出したため、この場にはいません)

 さて、パラレル秋葉原で興味深かったブースは二つあります。

バウヒュッテ本気の二階スペース

 Bauhutte(バウヒュッテ)とは、ゲーミング向けの家具ブランドだ。

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 その二階には、バウヒュッテ製品の3Dモデルたちを自由に組み合わせて、自分だけの最強ゲーミング環境を作ることができる『デスク秘密基地化計画体験』コーナーが用意されている。一つ一つの家具を自分の好きなように配置することができるため、理想的なデスク環境をイメージしやすいという利点がある。椅子に座って確認できるため、座った時の視点からのイメージもしやすいというのは何気にありがたい。

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↓ はしゃぐ散策ツアーメンバー。

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ヤギ福さんいわく、「モニターは上に置く!視線をあげて背もたれをよく使おう!背もたれもったいないよ!」とのこと。だからモニターがやたらと高い位置にあるのかーと目からうろこでした。

あぁ~からあげくんの音~♪

 この秋葉原にはローソンのバーチャル店舗が存在する。そこで、からあげくんを作ることができた。トングで鶏肉を持ち、油にいれると「ジュッ」といういい音がする。それを箱に詰めると完成だ。

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 その場で撮影した写真をパッケージに載せることもできる。

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 そして途中、再びあのブースの前を通りかかった。

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 思い出されるあの一言。「あぁ、このブースは・・・」。
 ヤギ福さんがどんな紹介をするんだろうかと耳を傾けた。

「ここは皆さんお世話になっているnoteのブースです!これと言って何もないんですが、中にカフェっぽいものがあるので適当にくつろいでください」

 適当にくつろげと言われましても。皆は数分たたずして次のブースへ向かいましたとさ。Vket観光レポートはこれでおしまい!


僕が考える最強のメタバース

 さて、そもそも「メタバース」とは何を意味する言葉なのか。番匠カンナ氏(@Banjo_Kanna)は以下のような表を製作し、メタバースをめぐるキーワードをまとめている。

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 (画像出典:https://twitter.com/Banjo_Kanna/status/1470359419896856576)

 以上で述べたVketは、「VR+VRSNS」に分類されている。他には、どうぶつの森やポケモンGOといった「GAME」や仮想通貨やNFTといった界隈もメタバースと一種であることが確認できた。素人の私でも確かにわかることは、界隈によってメタバースの土俵で成し遂げたいことが異なっているということだろう。現状、界隈によって奪い合いの状態になっているようにみえる。

メタバースと消費
 今回のVket(企業ブース)で興味深かったブースの一つ、大丸松坂屋百貨店のブースでは、ブース内のアイコンをクリックするとWebページに飛ぶかどうかを聞かれて、YESを選択すると商品が購入できるサイトがブラウザで開くようになっていた。このような仕組みで、VR空間内からURLを開いて実際に購入する人は意外といるらしい³)。ツアーガイドのきりながれさんも実際に購入したそうだ。後日、この松坂屋ブースに集まって購入した商品を一緒に雑談しながら食べるイベントもあったらしい⁴)。
 うまい感じにオーディエンスを誘導できているなぁと驚いた。現実ではこう簡単にいかないだろう。チラシを叩いたところでURLは開けない。
 その点このメタバース空間は、消費者が意欲を持ってから購入するまでの距離がかなり近い。あとはサプライズ(割引情報やキャンペーンなど)で背中を一押ししてやれば、購入してくれる可能性はさらに近づくはず。Vketはそのキャンペーンや割引といったサプライズをうまいこと活用していると感じた。また、年に数回のイベントということもあり、せっかくだから買ってこうという気分の面で消費が生まれているということもあるだろう⁵)。

3)noteのYouTubeチャンネル「VRとメタバースで変わるビジネス〜企業はなぜVRに進出するのか〜」を参照。
4)VRSNSに生きる人たち(VRChatterとも呼ばれる)はなにかと集まりがち。購入した戦利品をみんなと共有するのは意外と楽しいのだ。
5)これは行動経済学の分野で言われているサンクコスト効果(またはコンコルド効果)が強く働いているのではないか。VRChatterの財布の紐が緩いのは、VR環境を整えるにあたり多額の出費をしており、「今までの投資がもったいない・・・」「もうここまでやったし」といった背景があるからではないだろうか。

 少し話がそれるが、ご当地VTuberとして活躍している「茨ひより」は自身のチャンネルで”イバネットひより”を配信し、茨城県のご当地産品をオーディエンスに紹介していた。こちらも概要欄にアンテナショップのURLを記載しており、直接オンラインショップへ誘導させる構造のコンテンツだ。こちらでは見ていた人だけ割引が適用されるようなしかけをつくっており、視聴者の背中を押す手助けをした。サプライズは、訪れたユーザーの消費を促進するのだ。あるメタバース環境は、購買意欲を促進しうるのかもしれない。

 ここで私のアイデアを紹介したい。その名も。

●ピザデリバリーinVket。
 これは、ピザ屋がVketに出店(出展?)したらどうなるだろうという私の妄想である。

【購入までの流れ】
 1.Vketでおなかを空かせた参加者はピザ屋を見つける。
 2.自分だけのオリジナルピザをつくる。
 3.写真を撮って投稿する。
 4.自宅にそのピザが届く。

ポイントその1!
 ・材料をまぶしたり窯に入れたりする体験を用意すること。写真映えするように。
ポイントその2!
 ・出前館やウーバー、ピザ屋公式HPなどと連携できること。
ポイントその3!
 ・撮った写真を現物として印刷し、ピザと一緒に届けてほしいこと。
 (印刷費のことはよくわからないが、これができればVR空間から物が届 き、所有感などが満たされると思われる。Skebの”印刷してお届け”から着想)。

 どう? 面白そうじゃない?
 渋谷にバスが走ってたので、ピザ屋のバイクを走らせたら広告にもなるかもしれないし・・・。
 あ。今日ピザにしようみたいな。VRしてる人はたぶん皆家にいるでしょ。
 

Vketが与えてくれたもの

 こうやって写真を振り返っていると、それぞれの場所で感じた想い出を確かに感じることができる。Vket2021の公式サイトに、バーチャルマーケットのミッションとして、以下のような一文がある。

バーチャルマーケットの機能とは「きっかけ」です。(引用:バーチャルマーケット2021|ABOUT|バーチャルマーケットのミッションhttps://winter2021.vket.com/about 2021年12月18日閲覧)

 いろんな人と出会い、知らないことを知り、そんな「きっかけ」を運んでくれる。それが私が考えるメタバースだ。企業や出展者だけでなく、その空間に参加する者がみな、「面白い!」と思える世界。メタバースはそうあってほしいと私は思った。

 もしVketがなかったら、きりながれさんやヤギ福さんに会えなかったかもしれない。この「きっかけ」はすごく大事だと思う。他にも少し、例をあげてみる。

「メイ」の衣装、小柄なアバター所有者に好評。
 アークシステムワークスが1998年より展開している対戦型格闘ゲーム『GUILTY GEAR(ギルティギア)』のキャラクター「メイ」。その衣装の3Dモデルが販売され、小柄なアバターの持ち主から好評を受けているようだ。

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(画像出典:https://twitter.com/phio_alchemist/status/1471444071659216898)

また、VRプレイヤーの間でGUILTY GEARのコスプレ集会が行われた。

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 (画像出典:https://vr-lifemagazine.com/guilty-gear/)
 Twitterで突発的に開催の呼びかけが行われたのにも関わらず、30名を超えるユーザーの参加で賑わっていたらしい。
(参考:バーチャルライフマガジン「GUILTY GEAR(ギルティギア)のVRコスプレ集会に行ってみた」https://vr-lifemagazine.com/guilty-gear/ 2021年12月18日閲覧)。


 自分に合うサイズ感の衣装を見つけられたことも、同じ衣装を買って集まれたことも、Vket内での「きっかけ」から生まれている。

 私は、バーチャルマーケットプロモーションMVのキャッチコピーが好きだ。だから紹介する。

「楽しい方が、現実ってことで」

 「現実より面白い世界を」。こういう意見を度々目にする。個人的に大賛成である。メタバースはそうであってほしいと私は思っている。もしかしたら私以外の人だって、そう感じているのかもしれない。

 「メタバース」。その単語を取り巻く環境は刻々と変化している。だか、私にとってのメタバースとはきっかけを与えてくれるものであるとわかった。どんな未来になろうとも、メタバースを愛する全ての人類へ、きっかけを届けてほしい。


 数日後、なんとなく渋谷に行ってみると、

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(画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000140.000034617.html) 

雨が降っているでないか!!! この前は降ってなかったのに!!!

 どうやら、天候が現実とリンクしているらしい。

 ・・・思い出した。

 どうぶつの森をプレイしていたあの頃、現実世界で雪が降った時、もしかしたらうちの村でも雪が降るのではないかと、わくわくしながらこたつにはいって、虫網で住民を叩いて怒らせたあの日々を。

 今は、HMDがほんのりあったかい。

 また、行ってみようかな。

 次は雪がみたいな。

追記:2021年12月17日 「雪降っとるやんけ!」(一日だけ雪を降らせる演出だったそうです)

追記:Vket2021で何を買ったらいいかわからない?そんな人はサウンドトラックを買え!(Byヤギ福)。会場で流れているBGMの公式サウンドトラック 限定受注販売で再販される可能性は低いからだそう。おすすめです。

追記:富士葵さんにも会えたぞ!ありがとうVket!よくやったぞMyPCと回線!やったああああああああああああああああああああああああああああ。

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 お読みいただきありがとうございました!



 


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