初のディフェンディングチャンピオンとして

レアル・マドリーU19(フベニールA)が2020年8月25日にUEFA Youth League の舞台で初のチャンピオンに輝いてから実に391日の日数が経とうとしている。
当時のLa Fabrica (レアル・マドリー・カンテラの愛称)史上初の快挙はコロナウイルスによる影響やジネディーヌ・ジダンが率いるトップチームが初めてUEFA Champions League で敗退した出来事の傷を多少なりとも癒し、多くのマドリディスタに歓喜をもたらした。
その後も、チャンピオンに輝いた選手の中にはアントニオ・ブランコやミゲル・グティエレス等が定期的にトップチームに招集され、出場機会を得るなど、彼らのマドリーでのキャリアに少なからず良い影響を及ぼした大会になったといえる。

昨季の2020−21シーズンは新たな大会フォーマットと共にレアル・マドリーU19(フベニールA)の連覇が期待されたが、ヨーロッパ全土がコロナウイルスによるパンデミックの影響のため、2021年2月17日にUEFAから正式に大会中止が発表された。

今季の2021−22シーズンは無事に大会が開催されることが決まり、大会フォーマットも2015−16シーズンから採用されている従来のフォーマットに戻ることが決定した。
今季、大会に登録できる選手の年齢は2003年1月1日生まれ以降の選手が対象になっており、その中には日本の中井 卓大も含まれる。
また、従来のフォーマット通りOA枠として、2002年1月1日〜12月31日生まれの選手も最大5名まで登録、1試合最大3名まで起用可能となっている。

今季のフベニールAは2003年生まれが中心でありながらも、2020年6月4日から育成部門のフットボールディレクター(事実上育成部門トップ)として就任したマヌ・フェルナンデスが積極的な飛び級によるチームの底上げ及び上下世代の熾烈な競争をテーマに掲げ、黄金世代と呼び声の高いレアル・マドリーU18(フベニールB、2004年世代)、レアル・マドリーU17(フベニールC、2005年世代)の複数名の飛び級起用によるポジション争いが展開されることも期待されている。


今後の La Fabrica 全体の育成方針に大きく関わる世代をより楽しむために、僭越ながら、UEFA Youth League に登録されたレアル・マドリーU19の選手名鑑を作成いたしましたので、興味のある方は楽しんでいただけたら幸いです。
紹介選手による順番はポジション→背番号ごとになっており、各選手の紹介内容は写真(埋め込み)→名前→今季の登録カテゴリ()内→生年月日→在籍年数→紹介文とする。DF、MF、FW陣に関してはメインポジションも()内に記載する。


UEFA Youth League 2021-2022 登録メンバー

GK

1. ルーカス・カニサレス
(Lucas Cañizares Conchello)  
今季の登録カテゴリ(カスティージャ)
2002年5月10日生まれ
在籍8シーズン目   (OA枠)

カニサレスと聞いてピンと来る方もいるだろう。
そう、彼の父はかつてLa Fabrica及びマドリーのトップチームに在籍し、その後はバレンシアでレジェンドGKになった名手サンティアゴ・カニサレスの長男である。
サラブレッドが多く在籍しているLa Fabrica内において、彼も将来を嘱望される選手の一人であり、2002年世代における頼れる守護神である。
安定感は父親ほどではないものの、チームが窮地に立たされた時ほどビッグセーブを連発しチームを盛り立てる。
ビッグマッチになるほど、その傾向が強まることでも知られる。
また、課題であった足下のスキルも年々向上している。
前回大会は出番こそなかったものの、優勝メンバーの一人でもあり、その経験が今大会に強く活かされることも期待される。

13. ホセ・ルベン・トーレス
(José Rubén Torres Ponce)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年5月24日生まれ
在籍3シーズン目
  

貫禄のある風貌だが安心して欲しい。彼は2003年生まれの18歳である。
2003年世代の熾烈を極める正GK争いにおいて、半歩ほどリードしているのがこのルベン・トーレスである。
貫禄のある風貌が説得力を持たせるほどの落ち着きや冷静さを、試合中常に保っており、同世代の中でも“安定感”という面では屈指の実力を誇る。
今季はフベニールAカテゴリのリーグ戦において2試合連続でゴールマウスを託されており、開幕戦となったマドリー・ダービーではその抜群の安定感で見事クリーンシートを演出している。

25. リサルド・サンチェス
(Lisardo Antequera Sánchez)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年1月21日生まれ
在籍4シーズン目 

開幕2試合こそ連続で先発の座をルベンに譲ったが、このリサルドも2003年世代で屈指の実力を備えたGKであり、昨季はゴールマウスを託された試合数はルベンの8試合に対し、リサルド7試合と開きはほとんど無い。
彼は安定感という面ではルベンにリードを許すが、ビッグマッチにおけるセーブ確率は世代NO.1との呼び声も高く、今夏のプレシーズン、マジョルカ島で行われた『COPA LA SALLE 2021』では幾度となくビッグセーブでチームの窮地を救った。またPKストッパーとしての評価も非常に高い。

33. ディエゴ・ピネイロ
(Diego Piñeiro del Álamo)  

今季の登録カテゴリ(フベニールB)
2004年2月13日生まれ

在籍8シーズン目 

ディエゴは黄金世代との呼び声が高い2004年世代において、その実力が保証された有望株である。同い年のGKであるギジェ・アロンソやブルーノ・イリバルネ(両名ともフベニールB)といった実力者が揃う中で、唯一今季のユースリーグメンバー登録を勝ち取った。
おそらくユースリーグでの出番はほとんど無いという見方が強いものの、先週の代表ウィーク、フランスで行われた『LFA2021』においてU18スペイン代表に選出され、優勝決定戦となった第3戦・U18フランス戦に先発、試合は2−2と引き分けたものの、前半の内に退場者を出したスペインを盛り立てる好セーブを披露し、優勝に貢献。大会最優秀GKにも選ばれた。

38. ダニエル・ビセンテ
(Daniel Vicente González)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年2月6日生まれ
在籍1シーズン目 

今夏、ラージョ・バジェカーノのカンテラから加入したダニ・ビセンテは出場機会こそ未だに無いものの、彼は2003年世代と同リーグ内において何シーズンにも渡って鎬を削ってきた名の知れたGKである。
『昨日の敵は今日の友』といった諺があるように、頼もしいGKが加入してくれた。出身はマドリードであり、フエンラブラダやヘタフェといったマドリード州のクラブのカンテラにも在籍経験があり、過去にはマドリーの入団試験の落選経験もある。今季念願のLa Fabricaに入団が決まった。
恐らく、フベニールAでは3番手、ユースリーグでは4〜5番手の序列になるだろうが、僅かなプレータイムの中で爪痕を残し、レギュラー争いを掻き乱してもらいたい。


DF

2. フェラン・ルイス
(Ferran Ruiz Martí)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年4月26日生まれ
在籍4シーズン目(右サイドバック、RSB)

日本のマドリディスタにとって2003年世代は中井 卓大世代として注目されることが多い中で、フェランのプレーを目にした事がある方も多いのではないだろうか?
フェラン・ルイスは2018年にジローナのカンテラからLa Fabricaに加入後、常にハイレベルなプレーを見せてきた。右サイドバックのポジションは各世代ごとにチームの核となるタレントが在籍するが、その中でも攻守共に抜群の安定感を誇り、2003年世代の世代別スペイン代表にも選出経験がある。
今夏は病気のため(病名は公表されていない)プレシーズンを全休したが、9月13日に自身のSNSで無事に回復した事を報告。
彼がベストフォームに戻せるかはレギュラー争い延いてはチームのタイトル争いにも影響を及ぼすだろう。

3. ダビド・デ・ラ・ビボラ
(David de la Víbora Bonilla)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA)
 2003年1月3日生まれ
在籍11シーズン目(左サイドバック、LSB)

日本のサポーターの中でLa Fabrica2003年世代で中井 卓大に次いで有名なのが、このデ・ラ・ビボラかもしれない。
インパクトのあるボンバーヘッドと攻守において躍動する彼のプレーを映像もしくは、平塚と茅ヶ崎で開催された『U15キリンレモンCUP2018』で生観戦した方も中にはいるのではないだろうか?
当時の彼のプレーを見て、同じポジションと似ている風貌から将来のマドリーにおける『NEXTマルセロ』と呼ぶ人間も多かったはずだ。
そんなビボも現在は非常に伸び悩んでいるというのが率直な意見だ。
ここ3シーズン本職だったLSBからLWG、LSH、LWBの左一列は勿論のこと、RWGやDMF等複数のポジションで彼のポテンシャルを伸ばそうと様々な試みがなされたが、便利屋としての一面が強くなってしまい、メインポジションが迷子になっている状態だ。
昨季はフベニールBにおいて、加入したばかりのラファエル・オブラドールにLSBのポジションを奪われたが、一つ前のLSHやLWGで起用されたことにより好調を維持、トップフォームが戻ったかのように思えたが、今季からフベニールAの指揮官に就任したエルナン・ペレスは今季のビボを再びLSBで起用する旨を伝えており、縦関係で相性のよかったオブラドールとの定位置争いに挑む。
プライベートでは中井 卓大と仲が良いことでも知られている。

4. アルバロ・カリージョ
(Álvaro Carrillo Alacid)  
今季の登録カテゴリ(カスティージャ)
 2002年4月6日生まれ
在籍7シーズン目(センターバック、CB)(OA枠)

アルバロ・カリージョはLa Fabrica2002年世代のエースディフェンダーであり、有望なCBが多いLa Fabrica内においても1.2を争うほど足下のスキルに優れたCBだろう。カスティージャでのポジション争いも控えているため、ユースリーグの序盤戦は招集を受けない可能性も高いが、チームのDFリーダーとしての役割も期待されている。
前回の優勝メンバーの1人であり、控えCBながら守備固めの要因として準決勝と決勝に途中出場。歓喜の瞬間をピッチ上で味わった。
2019年10月27日〜11月17日までブラジルで開催された『U17ワールドカップ2019』のU17スペイン代表にも選出されており、守備の要として4試合に先発出場。バルセロナのぺドリ等と共にチームのベスト8進出に貢献した。
余談だが、私は彼についてnote『いま、一番この選手について話したい』で『NEXTナチョ』として紹介しているのでそちらの方もよろしければ是非。

5. ハイメ・カジェハ
(Jaime Calleja Sánchez)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年1月2日生まれ
在籍11シーズン目(センターバック、CB)

カジェハはビボラと共にベンハミンB(9歳〜10歳)カテゴリからLa Fabricaに在籍する2003年世代のチーム最古参であり、チームキャプテンである。
優れたリーダシップとアグレッシブなディフェンスを持ち味とし、チームの土台を支えてきた。
また、状況によっては右サイドバックを務める試合もあり、その経験が生きて現在は足下のスキルも向上している。
チャンピオンに輝いた『U15キリンレモンCUP2018』では彼がトロフィーを掲げたこともあり、日本のマドリディスタにも少なからず認知されている存在だろう。
彼のポジションは同い年にも、上下のカテゴリにも優れたライバルが多いため熾烈なレギュラー争いは必至だが、その優れたリーダーシップを評価され、今季からフベニールAの指揮官を務めるエルナン・ペレスからの信頼は厚い。
余談だが、日本のサッカーフリークが一度は目にしたことがあるであろう中井 卓大がマルセロに足技を披露する動画内において、卓大にボールを渡したのがこのカジェハである。

12. ダビド・ヒメネス
(David Jiménez Corredor)  
今季の登録カテゴリ(フベニールB)
 2004年3月14日生まれ
在籍9シーズン目(右サイドバック、RSB)

黄金世代と呼び声が高いLa Fabrica2004年世代のキャプテンであり、不動の右サイドバックであるダビド・ヒメネスは同年代では圧倒的なパフォーマンス披露してきた。
攻撃的な右サイドバックとして攻め上がりのタイミングに優れ、高精度のクロスや利き足の右とは逆の左足でも高精度のシュートを放つことができる。
2020年2月13日〜24日まで行われた『ALKASS INTERNATIONAL CUP2020』では代表合宿のためチームの主力を4名も欠く中で、彼を中心にチームは団結し、5試合で22ゴール奪う圧倒的な攻撃力を披露して優勝。
キャプテンとしてチームを引っ張り、大会ベスト11にも輝いた。
今夏はフェランの離脱もあり、プレシーズンからフベニールAのRSBファーストチョイスとしてアピールしており、開幕節及び第2節の勝利に貢献。
また、カスティージャのプレシーズンマッチでも3試合に出場した。

15. ラウール・アセンシオ
(Raúl Asencio del Rosario)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年2月13日生まれ
在籍5シーズン目(センターバック、CB)


ラウール・アセンシオという名前のインパクトもあり、多くのマドリディスタから溺愛されそうな名前だが、彼は決して名前負けするタイプではない非常に優秀なディフェンダーだ。
2003年世代ではもっとも評価の高い(高かった)DFであり、過去数シーズンに渡って彼がDFラインを統率する役割を多く担っていた。
上背があり、エアバトルも強く、長短織り交ぜた精度の高いキックからビルドアップも安定している。また、時折見せる持ち上がりから、強烈なミドルシュートを叩き込むこともできる攻撃的なCBである。
本来であれば、彼の実力は層の厚いCBの中でもファーストチョイスになってもおかしくはないのだが、今夏は家庭の事情及び自身の左膝の回復が遅れているため、プレシーズンマッチを全休。早期の復帰が待たれている状況だ。

27. ラファエル・オブラドール
(Rafel Obrador Burguera)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA)
 2004年2月24日生まれ
在籍2シーズン目(左サイドバック、LSB)

ラファエル・オブラドールはLa Ligaを好むサッカーフリークの間では少なからず知られた存在である。
その理由は2019−20シーズン、彼の前所属であるマジョルカに在籍していた頃の出来事にある。
2020年7月20日に行われたプリメーラ第38節・マジョルカVSオサスナ戦において出場時間は僅か3分ながら、当時16歳だった左サイドバックの有望株は故郷のクラブで念願のトップチームデビュー並びにプリメーラデビューを果たした。
非常に感慨深い出来事であり、オブラドールは当時セグンダ降格が決まっていたマジョルカの希望としてスペインでも話題に上がっていた。
しかし、私が驚いたのはそこから3ヶ月後の出来事である。なんと彼は新天地としてLa Fabricaを選択したのだった。
当時、La FabricaのLSBの台所事情は混迷を極めていた。
2003年世代のチームの核でレギュラーLSBだったアルバロ・カレーラスが7月16日にマンチェスター・Uユースへの移籍を決断し、退団を表明。
8月5日には2004年世代不動のLSBになりつつあったディエゴ・フラドが退団を表明し、翌日にはビジャレアルのカンテラへの入団を発表するなど、有望株のLSBが2人も引き抜きにあっていた。
そんな背景もあり、2004年世代のスペイン代表の常連であったラファエル・オブラドールを射止めることができたのは大きな出来事だった。
加入後、自身の世代よりも一つ上のフベニールBに飛び級登録された彼はすぐ様チームにフィットし、攻守に圧倒的な存在感を見せつけた。
今夏のプレシーズンはカスティージャにも参加。4試合に出場し、内2試合ではフル出場を果たすなどしている。
今季のフベニールAではビボラとのレギュラー争いが繰り広げられるが、恐らくビッグマッチでは彼がファーストチョイスになるだろう。
その証拠に開幕節のマドリー・ダービーでは先発フル出場を果たし、勝利に貢献している。

31. アレハンドロ・ヒメネス
(Alejandro Jiménez Sánchez)  
今季の登録カテゴリ(フベニールC) 
2005年5月8日生まれ
在籍10シーズン目(右サイドバック、RSB)

もう一つの黄金世代と呼び声が高い2005年世代から今大会2名が登録された。
その内の1人であるアレハンドロ・ヒメネス(通称アレックス)は現在、2005年世代でもっとも高い評価を受けている選手だろう。
プレベンハミン(6歳〜7歳)からLa Fabricaに在籍し、各カテゴリでその才能を遺憾なく発揮してきた右サイドバックは二つ上のフェランや一つ上のダビドと才能あふれる先輩右サイドバックを差し置いて、『Most Promising RSB』(最も有望な右サイドバック)として海外のマドリディスタから評価を受けている。
かつてはウイングで起用されていた過去から超攻撃的なプレースタイルだが、球際の強さや1対1にも定評があり、『NEXTカルバハル』に一番近い選手とされている。
また、2018−19シーズンには当時のインファンティルA(U14)でシャビ・アロンソ監督のもと指導を受けている。
2005年世代のスペイン代表の常連であり、8月19日と22日に行われたU17フランスとの親善試合にも招集され、2試合とも先発出場し勝利に貢献。
特に第1戦の逆転勝利には大きく貢献した。
因みに一つ上の同じポジションのライバルであるダビドとはセカンドネームが同じだが、兄弟ではないので混同しないように。

32. マーヴェラス・アントリン
(Marvelous Antolín Garzón)  

今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年1月7日生まれ

在籍6シーズン目(センターバック、CB)

マルヴェルの愛称で親しまれる2003年世代の大型CBは強靭なフィジカルとスピードでチームのディフェンスを支える頼りになる男だ。
チーム内における貴重な左利きCBでもあり、年々課題だったビルドアップ能力やロングフィードは現在では彼の強みになりつつある。
また、パートナーを選ばない柔軟性も秘めており、同じ2003世代のカジェハともラウール・アセンシオとも愛称の良さが伺える。
今季のフベニールAではプレシーズンから好調を維持しており、開幕2試合ではカジェハと共に好パフォーマンスを披露しいる。
5シーズンに渡って守備の大黒柱として君臨しているこの男には、今季のユースリーグにおいてもDFリーダーとして、もう一皮向けることが期待される。
2003年世代では卓大と同様に外国籍(モロッコ)の選手でもある。

32. マヌエル・セラーノ
(Manuel Serrano Salazar)  
今季の登録カテゴリ(フベニールB)
 2004年3月20日生まれ
在籍4シーズン目(センターバック、CB)

マヌ・セラーノは2004年世代の燻銀CBであり、クレバーなDFを披露する。
同世代は個性的な選手が多いため、あまり目立つ場面は少ないが、安定感と左足での正確なビルドアップでチームのリズムを生み出すこともできる。
この世代はCBの層が厚く毎シーズン熾烈なレギュラー争いが繰り広げられるが、その中でも彼の信頼は厚い。
また精度の高い左足を活かして左サイドバックとして起用されることも多く、そこでも高い戦術理解力を駆使して、ハイレベルなプレーを披露している。
恐らく、よほどのことがない限りはユースリーグでの出番はないが、彼が後ろに控えているという安心感を提供してくれるのも強みだ。

37. エドガル・プホル
(Edgar Climent Pujol Portoreal)  
今季の登録カテゴリ(フベニールB)
 2004年8月7日生まれ
在籍3シーズン目(センターバック、CB)

エドガルは黄金世代である2004年世代で、最も評価を受けているDFである。
2019−20シーズンにエスパニョールのカンテラからLa Fabricaに加入した彼はすぐ様チームにフィットし、2004年世代のDFリーダーになった。
対人の強さ、スピード、エアバトル、左右両足から放たれるロングフィード、DFライン統率力等、CBに求められる能力を満遍なく備えている。
2004年世代スペイン代表の常連でもあり、先週の代表ウィーク、フランスで行われた『LFA2021』においてU18スペイン代表に選出され、初戦のU18ポルトガル戦でこそ5分の出場に終わったが、続くU18スイス戦では先発フル出場し2ー1の勝利に貢献。最終戦のU18フランス戦にも後半から出場しチームの優勝に貢献した。
今季のプレシーズンではカスティージャでも4試合に出場し、レオネサ戦ではCBながら精度の高いクロスで同い年のゴンサーロ・ガルシアのカスティージャ初ゴールをアシストした。
ユースリーグにおいても2003年世代の3名とハイレベルなレギュラー争いを繰り広げてくれることだろう。


MF

6. ネストール・ルーカス
(Néstor Lucas)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA)
 2003年1月5日生まれ
在籍10シーズン目(ディフェンシブミッドフィールダー、DMF)

ネストルはカジェハと並び、2003年世代の頼れるリーダーの1人だ。
La Fabricaの各カテゴリではゲーム内に特定のキャプテンを定めずに約3〜4名の選手がシーズン中にキャプテンマークを交代で巻く機会が多いのだが、この世代で最もゲームキャプテンに任命されることが多かったのがこのネストルだ。
アンカーとしてもDMFを2枚並べる形でも柔軟に対応してプレーすることができ、的確なポジショニングと球際の強さで相手の攻撃の芽を摘んでいく。
足下のスキルにも優れ、状況を見ながら禊パスやサイドに散らすこともできる。また、チームの台所事情によってはインサイドハーフやCBでも高いレベルでプレーすることができる非常に器用な選手でもある。
かつては世代別スペイン代表の常連であり、コロナウイルスによって中止となった『U17欧州選手権2020』予選ラウンドのメンバーにも選出され、その大会ではイライシュ・モリバ(現・ライプツィヒ)とコンビを組む予定であった。
今季はこの中盤の大黒柱がもう一皮向けるかによってチームの出来も左右されそうだ。

7. ピーテル・フェデリコ
(Peter Federico González Carmona)  
今季の登録カテゴリ(カスティージャ)
 2002年7月25日生まれ
在籍7シーズン目(ウイング・サイドハーフ、WG・SH)(0A枠)

ピーテルは本来ならばウイングの選手であるため、FW登録になることが多いのだが、今回はMF登録である。
2002年世代の変幻自在のドリブラーも昨シーズンから苦戦が続いている。
昨季はフベニールA登録ながら、シーズン序盤からラウール監督に認められてカスティージャで先発する機会が多く、その緩急織り交ぜた変幻自在のドリブルでチームの起爆剤になることが期待されたが、線の細さからセグンダB独特の荒さへの順応に苦しみ続けた。
今季はプレシーズンから不慣れなLWBやLSBで起用されているが、目ぼしい結果は残せていない。
前回大会のユースリーグでは優勝メンバーであり、出場時間は僅かながら決勝にも途中出場し、歓喜の瞬間をピッチ上で味わった。
今季のユースリーグでは本職のウイングでの起用が濃厚と見られているため、トップフォームを取り戻すキッカケとなることを祈る。

8. ブルーノ・イグレシアス
(Bruno Iglesias Lois)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA)
 2003年5月1日生まれ
在籍7シーズン目(オフェンシブミッドフィールダー、OMF)

恐らく、ブルーノ・イグレシアスは海外のマドリディスタから最も人気が高く、将来を嘱望された選手だろう。
2003年世代の王様は、La Fabricaの情報を扱っている海外系のメディアからの評価が高く、とりわけ、かつてカンテラ時代からマドリーで将来を約束されながらも度重なる怪我のため27歳の若さで現役を退き、その後も18−19シーズン途中までLa Fabricaの優秀な指揮官としてアリーバス等を指揮したアルバロ・べニート(彼はそのシーズンにフベニールBの指揮官として優秀な成績を残しながらもトニ・クロースとカゼミロを公に批判しクビになった)から『将来はカカのような選手になれる』と太鼓判を押されるほどだ。
La Fabrica2003年世代では中井 卓大とインサイドハーフを組むことが多いことや『U15キリンレモンCUP2018』でMVPを獲得したことから日本のファンからも認知されていることが多い。
昨季は2003年世代から同い年のサラと共にフベニールAに飛び級登録を勝ち取り、シーズンを通して7G7Aとまずまずの成績を残した。
現代型のOMFらしくスピードに乗ったドリブルと長短織り交ぜた正確なキックの持ち主である。またウイング、インサイドハーフ、シャドーでもプレー可能。
しかし、彼の支持の高さのとは裏腹に明確な課題がたくさん残されている。
まず逆足の左足を全く使わない右足偏重のプレースタイル。
守備意識の低さやボールを欲しがってすぐに降りてきてしまうこと、球離れの悪さを指摘されることも多い。
ディフェンサ・セントラルのLa Fabrica担当記者のマテオは自身のPod Castにおいて『ブルーノは絶大な可能性を秘めていると同時に彼のウィークポイントに目を瞑り続ければ、海に水を投げ捨てることになるかもしれない』とスペインの慣用句を用いて釘を刺した。
ただ、これらの課題に目を瞑ってでもロマンにあふれ、マドリーらしい”一発”を持ち合わせた選手であることも確かである。

10. ダビド・ゴンザレス
(David González Ballesteros)  
今季の登録カテゴリ(カスティージャ)
 2002年6月22日生まれ
在籍3シーズン目(オフェンシブミッドフィールダー、OMF)(0A枠)

2シーズン前にヌマンシアのカンテラから加入したダビド・ゴンザレスはマドリディスタの期待に大いに応えてくれた選手である。
本職はOMFでありながらDMFやインサイドハーフ、シャドーとしてプレーすることも可能である。
昨季はフベニールAにおいて、様々なポジションで起用されながら21試合に出場し15Gを挙げるなどチーム内得点王に輝き、ストライカーとしても非凡なものを見せた。
左足から繰り出される高精度なパスと強烈なミドルは試合の流れを一変させるほどであり、また『Copa de Campeones Juvenil de Futbol 2021』でのマドリー・ダービー等、ビッグマッチで決勝点を挙げることも多く、ここぞという場面において頼りになる選手でもある。プレースキックの精度も非常に高い。
今季のカスティージャではアリーバスとのポジション争いに挑むことが予想されるが、ラウールは彼の得点力を買ってトップで起用することも示唆している。
前回のユースリーグでは登録メンバーには入っていたが、招集を受けることはなく、実質的に今季が初めての参戦となる。

14. ミゲル・サンチェス
  (Miguel Ángel Sánchez Mantecón)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA)
 2003年2月17日生まれ
在籍3シーズン目(インサイドハーフ、IH)

ミゲル・サンチェスは2003年世代の中でも非常にポリバレントな選手であり、本職のインサイドハーフに加え、SMF、OMF、DMFの一角でも起用可能な万能戦士である。
La Fabrica2003年世代の中でもあまり話題に挙がることは少ない選手だが、チーム内に1人は絶対に欲しい選手であり、戦術理解やチームをコントロールする面においても優れている。
キック精度もそれなりに高く、昨季はフベニールBにおいて18試合に出場し4Gをあげている。
便利屋としての一面が強いため、その高い戦術理解力を活かして一皮剥ければ、よりチーム内で大きな役割が与えられるだろう。

16. ロドリゴ・ゴメス
(Rodrigo Gómez-Elegido Tenés)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年6月7日生まれ
在籍1シーズン目(ディフェンシブミッドフィールダー、DMF)

誠に申し訳ないが、筆者はこの選手のプレーを見たことがない。
今季パタコナから加入したこの青年について知っていることは、愛称がロドリであるということ、本職がアンカータイプのDMFであるということ以外全く未知数な選手である。
今季、チームに新しい風を吹かせてくれることに期待しながら、彼の紹介を終える。

18. ディエゴ・パラード
(Diego Parrado Olmos)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年4月28日生まれ
在籍5シーズン目(サイドハーフ・ウイング、SH・WG)

ディエゴも2003年世代の中では非常にポリバレントな選手であり、ジョーカーとしての役割も担う。
近年ではSBやWBとして途中投入されることもある。
よく言えば万能、悪く言えば器用貧乏な選手であるため、チーム内での序列は決して高くはないが、時折見せる強気なドリブルや持ち前のスピードでチームに活力をもたらす。
今季は限られた出番の中で爪痕を残してくれることに期待したい。

21. ハビエル・ビジャール
(Javier Villar del Fraile)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年3月15日生まれ
在籍1シーズン目(ディフェンシブミッドフィールダー、DMF)

恐らくハビ・ビジャールは今季のフベニールAにおいて最も効果的な補強の一つだろう。
彼の兄は現在ASローマに所属するゴンサロ・ビジャールであり、兄譲りのテクニックと正確なパスでゲームをコントロールし、献身的な守備でチームのバランスを整える。
今夏はプレシーズンから効果的なプレーを披露し、カスティージャでもデビューを果たした。
本職はDMFだが、インサイドハーフでも質の高いプレーが可能であり、ネストルや中井 卓大とのポジション争いが予想されている。
また代表ウィークではブルーノ・イグレシアスと共にU19スペイン代表に選出され、U18メキシコ代表との2連戦で質の高いプレーを披露した。

22. 中井 卓大
  (Takuhiro Nakai)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA)
 2003年10月24日生まれ
在籍8シーズン目(インサイドハーフ、IH)

日本のマドリディスタのみならず、日本のサッカーフリークがマドリーにおける彼の飛躍・成功を期待していることだろう。
日本のサポーターの期待を背負っている若きサムライはLa Fabricaでの生活が8シーズン目に突入しようとしている。
卓大は安定したテクニックと的確なポジショニングでチームのバランスを支え、時折り見せる持ち前の華麗なテクニックとダイナミックな攻め上がりでゴラッソを叩き込むことができる。
スタミナには、まだまだ改善の余地があるが、それは彼が試合中どんな場面においてもサボることはない献身的な選手だからである。
彼は憧れの選手として『ルカ・モドリッチ』を挙げているが、憧れの現役レジェンドに相応しいプレーモデルを披露してくれる。
昨季はフベニールBを主戦場としながらも定期的にフベニールAにも招集され、1月24日のYSB戦では後半83分にミドルレンジから放ったシュートが美しい軌道を描いてゴールネットに突き刺さり、フベニールAでの初ゴールを記録した。
昨季のフベニールBではチームの心臓と言っても過言ではない中盤を締める活躍を披露していたと同時に、度重なる細かい負傷から戦列を離れることが多かったのは唯一の気がかりな点である。
今季は彼にとって最大のターニングポイントでもある。
基本的にマドリーは17歳を迎えた時点で多くのカンテラーノとプロ契約を結ぶ。しかし、結んだからと言ってマドリーでの将来が約束されるわけではない。
レアル・マドリーU19までは順調に昇格すれば、カンテラーノ(ユース選手)として在籍することができるが、その一つ上のカテゴリであるレアル・マドリード・カスティージャはプロ契約が適応されるため、ここで選手登録を勝ち取れなければ、他クラブへのローン及び移籍の選択を迫られる。
一つの世代で約半数以上のカンテラーノが篩に掛けられるため非常に狭き門となっている。
『ローン先で活躍すればカスティージャに帰還できる可能性もあるのでは?』と思う方もいるかも知れないが、ローンに出されたカンテラーノのキャリアを見れば、『カスティージャにストレート昇格できなかったカンテラーノがローン先から帰還して選手登録を勝ち取る』確率は実に7%と厳しい数字である。
もちろん、セルヒオ・レギロンのように直接カスティージャに昇格できず、ローンを挟んでからカスティージャやトップチーム登録を勝ち取った前例もあるが、そのような事例はごく稀である。
卓大は現在のところ、海外のマドリディスタのみならず、カスティージャの指揮官であるラウールからの評価も高い。
その証拠として今夏のプレシーズンで卓大はカスティージャの2試合で起用され、シーズンが開幕してからのフベニールA登録の選手の中でカスティージャにベンチ入りしたのは卓大とサラの2名だけと考えるとラウールからの期待も伺える。
今季の卓大はユースリーグを含めたフベニールAで健康体を維持しながら、激しいポジション争いを制し、自身の役割・存在をアピールすることが重要になってくる。
そして、シーズン中に活躍の場を広げるかの如く、虎視眈々とカスティージャでのセグンダBでのデビューも狙えれば自ずと道は開けてくるだろう。
今季、私たちは歴史の見届け人になるためにも中井 卓大の活躍を見守りながら、彼の更なる飛躍・成功を祈り続けることが大切だ。

26. ゴンサーロ・ガルシア
  (Gonzalo García Torres)  
今季の登録カテゴリ(フベニールB) 
2004年3月24日生まれ
在籍7シーズン目(ウィング・サイドハーフ、WG・SH)

黄金世代の呼び声が高い2004年世代において、ゴンサロのカンテラでのキャリアは少し特殊である。彼はアレビンB(10歳〜11歳)からLa Fabricaに所属しているが、2018−19シーズンの1年間は故郷のマドリードを離れ、マジョルカのカンテラに在籍。その後、再び、La FabricaのカデーテA(U16カテゴリ)に戻ってきた。
2004年世代の彼のポジションは錚々たるメンバーが揃っているため、一度クラブを離れた彼が輝けるか疑問に思う者もいたが、そんなことは杞憂だった。
恐らく、昨季に関してはLa Fabricaの中で一番伸びた選手と言っても過言ではないだろう。
昨季はフベニールC登録ながら一つ上のフベニールBで開幕から左ウイングで先発の座を確保。その後も左右のウイングで起用されながら、緩急のあるドリブルでスルスルと相手を抜き、高精度のクロスやミドル、果敢な飛び出しによるヘッドなどで攻撃を牽引した。
昨季のフベニールAの最終節では先発デビューを飾り、ゴラッソ2発で自身のデビューを祝った。
今季はフベニールB登録ながらプレシーズンからフベニールAで起用され、カスティージャでも2試合に出場し、レオネサ戦では果敢な飛び出しよるヘッドでカスティージャ初ゴールも記録した。奇しくも昨季にフベニールAで初ゴールを挙げた相手がレオネサU19だったため、『レオネサキラー』の異名もついた。
リーグ第2節のマハダオンダ戦ではブルーノのコーナーからヘディング2発を叩き込むなど好調を維持している。

28. ジュレン・ジョン・ゲレーロ
  (Julen Jon Guerrero Landabaso)  
  今季の登録カテゴリ(フベニールB) 
2004年4月14日生まれ
在籍5シーズン目(オフェンシブミッドフィールダー、OMF)

特別な才能が集い、黄金世代の呼び声が高い2004年世代には『二大巨頭』と呼ばれる2人の選手が存在する。そのうちの1人がこのジュレン・ジョン・ゲレーロだ。
ジュレン・ゲレーロと聞いてピンとくる方もいることだろう。
彼の父はかつて90年代初頭から2000年代半ばまでA・ビルバオでワンクラブマンとしてプレーし、『バスクの貴公子』の愛称で親しまれたレジェンド及び現U17スペイン代表の指揮官『ジュレン・ゲレーロ・ロペス』である。
父が首都マドリード近郊ラス・ロサスに本拠地を置くスペインサッカー連盟(RFEF)で働くことを機に、2017−18シーズン、マラガのカンテラからLa Fabricaに入団したジュレンは瞬く間にチームの中心として君臨し、その才能をいかんなく発揮している。
本職はOMFだが、その時のシステムによってIHやCFとしてもプレーすることが可能だ。
基礎がしっかりしているテクニック、広い視野、左足から放たれる繊細なパスや強烈なシュート、185cmの長身を活かしたヘディングと武器が多い。
また線は細いが身のこなしが柔らかく、相手のタックルを受け流すようなボディバランスも持ち合わせている。
昨季はフベニールC登録ながら開幕からフベニールBに呼ばれ、3試合目に定位置を確保すると、4試合目には初ゴールを挙げ、シーズン通して17試合11ゴールと一つ上の世代で完全にエースとしての地位を確率した。
昨季のフベニールBには『ジュレン合流前の4−3−3』と『ジュレン合流後の4−4−1−1』の二つのメインシステムが存在しており、ジュレンが合流してからスランプに陥っていた数名の選手が調子を取り戻すなど、周りに与える影響力の高さも伺える。
彼もまた2004年世代スペイン代表の常連でもあり、代表ウィークにフランスで行われた『LFA2021』においてU18スペイン代表に選出され、キャプテン・10番として3試合全てに出場。
本調子とは程遠かったものの、第一戦のU18ポルトガル戦、第三戦のU18フランス戦は先発出場。途中出場だった第二戦のU18スイス戦では終了間際の90分に相手GKと相手DFに挟まれながらヘディングで押し込み決勝点を挙げるなど優勝に貢献した。

30. マヌエル・アンヘル
  (Manuel Ángel Morán Ibáñez)  

 今季の登録カテゴリ(フベニールB) 
2004年3月15日生まれ

在籍4シーズン目(インサイドハーフ、IH)

2004年世代『二大巨頭』のもう1人がこのマヌエル・アンヘルだ。
2018-19シーズンにセビージャのカンテラからLa Fabricaに舞い降りたこの小さな魔術師は、抜群のセンスと左右両足から放たれる正確なキックを武器にピッチ上でチームのタクトを振るう。
素晴らしい戦術眼と小気味よい長短を織り交ぜたパスでゲームコントロールをしながら、時折りスルスルとドリブルで持ち上がりフィニッシュにも絡む。
本来は司令塔として本職であるインサイドハーフや2枚並べたDMFの一角でプレーすることが多いが、OMFやWG等のポジションでも臨機応変に良質なプレーを披露することができる。
線が細く身体が小さいため、フィジカル面での課題は残すが、ボディコントロールを駆使したフェイントやアングルで的確にパスコースをつくるなど身体の使い方は非常に上手い。
昨季はフベニールC登録ながら、年明け早々にフベニールAに呼ばれ、2段階飛び級でデビューを果たした。(卓大がフベニールAで初ゴールを決めた試合でもある。)
今季のプレシーズンではラウール監督からカスティージャに呼ばれ、4試合に出場。そのうちレガネス戦、フエンラブラダ戦の2試合では先発フル出場を果たした。流石にセグンダのクラブとの試合ではフィジカルの差が明確に表れ、やりたいことがほとんどやらせてもらえなかったが、マヌにとって重要な経験になったことは間違いないだろう。
また、8月22日にはカルロ・アンチェロッティからトップチームのトレーニングに呼ばれ、トップチームの面々と共に汗を流した。
彼もまた2004年世代スペイン代表の常連でもあり、代表ウィークにはフランスで行われた『LFA2021』においてディエゴ、ジュレン、エドガルと共にU18スペイン代表に選出され、第一戦のU18ポルトガル戦では途中出場。第二戦のU18スイス戦では先発出場を果たしている。
全くどうでもいい話だが、私の友人はマヌのプレーを見て若き日のヴィッセル神戸の8番に似てると豪語し『マヌエスタさん』という異名をつけた。
全くどうでもいい話である。

34. アダム・アルベロ
  (Adam Arvelo López)  

  今季の登録カテゴリ(フベニールC) 
2005年5月31日生まれ

在籍2シーズン目(ウイング・サイドハーフ、WG・SH)

もう一つの黄金世代と呼び声が高い2005年世代から2人選出されたうちのもう一人がこのアダム・アルベロである。
本来なら彼も本職がウイングであるためFW登録のはずだが、今回はMF登録になっている。
昨季、ビジャレアルのカンテラから加入したこの技巧派ウイングは軟体動物のようなヌルッとしたドリブルと抜群のトップスピードで相手を抜き去り、鞭のようにしならせた強烈な左足で相手ゴールを陥れる。
今回、共に2005年世代から登録されたアレックス・ヒメネスとはアダムがLa Fabrica加入以前のU15スペイン代表からRWGとRSBの縦関係でコンビを組んでいた仲であり、彼も持ち前の戦術理解力と右サイドの相棒の助けもあってLa Fabrica加入後はすんなりとチームにフィットした。
今季はフベニールC登録ながら、すでにフベニールBの開幕節からスタメンの座を勝ち取っており、積極果敢なチャンスメイクからチームの4ー1の勝利に貢献している。
恐らく、今季のユースリーグではこの2005年世代最高の至宝二人に出番が回ってくる確率はさほど高くはないと思うが、来季以降のユースリーグ制覇も見据えるとすれば、早期にこの二人を試す価値はあると私は思っている。

36. ニコラス・マルティネス
   (Nicolás Paz Martínez)  
  今季の登録カテゴリ(フベニールB)
 2004年9月4日生まれ
在籍6シーズン目(オフェンシブミッドフィルダー、OMF)

ニコの愛称で親しまれるこの青年は、同じ2004年世代『二大巨頭』のジュレンやマヌに引けを取らないほどの才能を秘めていることは確かである。
左足から放たれる良質なクロスやシュート、ラストパスの精度・判断力等、現代型のOMFに求められる要素を高いレベルで兼ね備えながら、WGの位置でもプレーの質が変わらない万能型アタッカーである。
ジュレンやマヌが代表合宿で不在だった『ALKASS INTERNATIONAL CUP2020』では背番号10を背負い、攻撃の要としてチームを牽引。
チームを優勝に導く立役者の一人となった。
大会期間中のU16スポルティングCPとの一戦では大会ベストゴールの一つに選出された35メートルフリーキックを沈めるなどプレースキックも彼の武器の一つである。
今季はフベニールBの開幕節に左ウイングで先発出場し、1ゴールを奪うなどチームの快勝に貢献した。
世代別代表の経験はないが、La Fabrica2004年世代攻撃の要の一人として『二大巨頭』に全く引けを取らない貢献度とポテンシャルを兼ね備えているため、いつか世代別代表に呼ばれ、二人と共演してほしい。

40. マルク・クカロン
  (Marc Cucalón Pina)  
 今季の登録カテゴリ(フベニールB)
 2004年11月16日生まれ
在籍6シーズン目(ディフェンシブミッドフィルダー、DMF)

これは私の個人的な意見だが、マルクは黄金世代と呼び声が高い2004年世代の中でも最も過小評価を受けている選手だろう。
『ALKASS INTERNATIONAL CUP2020』優勝の立役者の一人であり、影のMVPとも呼ばれるマルクはそばかすの目立つ可愛らしい見た目とは裏腹に中盤の番人としてチームを引き締め、的確な読みと巧みな駆け引きで相手の攻撃の芽を潰す。クレバーな判断力と派手さは少ないが、確かな足元の技術力で丁寧にボールを繋ぐことや細かいタッチでボールを運ぶこともできるDMFだ。
状況判断が的確で頭の回転が早く、彼の咄嗟の判断でチームのピンチを救いう場面も度々見られる。
小さい身体からは想像がつかないほど体感が強く、ボディバランスの良さや身体の使い方の上手さが目立つ。
また、殺人タックルを喰らってもピッチから退くこともなく、PK戦まで出場するなど精神的にも肉体的にも驚くほどタフな選手でもある。
最近ではカバーエリアの広さやディフェンス時の鋭い読みを買われ、CBでも起用されるなど益々頼りになってきた印象だ。
可能であれば、彼の中盤を締める守備力やピンチの芽を摘む能力が今季のユースリーグで拝めるとありがたい。


FW

9. イスラエル・サラザール
  (Israel Salazar Piriz)  
 今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年5月10日生まれ
在籍7シーズン目(センターフォワード、CF)

サラの愛称で親しまれる2003年世代最高のストライカーは2015−16シーズンにLa Fabrica加入以降、現在までに通算137試合出場・164得点と驚異的な数字を残している。
英・ガーディアン紙が選ぶ『2003年生まれの有望選手』では同じLa Fabricaから中井 卓大、ブルーノ・イグレシアスと共に期待の60名に選出された。
天性の得点嗅覚とオフボール時の動き出し・動き直しの質・瞬発力は一級品であり、オンボール時には電光石火のようなトップスピードと巧みなコース取りドリブルも持ち合わせている。
177cmと身長は決して高くはないが、激しいボディコンタクトを厭わないポストプレーやチームの球出しが停滞した時には左右に流れてボールを引き出し、中に飛び込んだ味方にラストパスを提供するなどチャンスメイクの面でも大いにチームに貢献してくれる。
また前線でも積極的にチェイシングやプレスを仕掛ける献身性も持ち合わせており、PKやフリーキックのシュート技術も高い、まさに万能型ストライカーだ。
昨季は同い年のブルーノ・イグレシアスと共にフベニールAに飛び級登録され、開幕早々にCFの定位置を勝ち取ると、三戦目に早速ゴールをする等、結果を残した。その後も、リーグ戦でのマドリー・ダービーの先制ゴールやU19マハダオンダ戦でのハットトリック等、コンスタントに結果を残していたが、シーズン最終戦となった『Copa de Campeones Juvenil de Futbol』準決勝・デポルティーボ・ラ・コルーニャU19戦で膝を負傷し交代。
以降、今季のプレシーズンもカスティージャ初戦のXER戦で再び同じ箇所を負傷し、その後のプレシーズンは全休。
今季のフベニールA開幕戦のマドリー・ダービーでは後半から途中出場し戦列復帰、続くマハダオンダ戦には先発フル出場しブルーノのゴールをアシストするも未だ本調子とは程遠い状態だ。
前回のユースリーグでは最年少メンバーとして優勝を経験しているだけに、サラが2003年世代最高のストライカーとしてトップフォームを取り戻せるかは今季のタイトル争いにおいても重要なターニングポイントとなるだろう。

11. オスカル・アランダ
  (Óscar Aranda Subiela)  
 今季の登録カテゴリ(カスティージャ) 
2002年4月29日生まれ
在籍4シーズン目(ウイング、WG) (OA枠)

La Fabrica2002年世代のエース格であり、『Halcon」=『核弾頭』の異名を持つオスカル・アランダが満を辞して今季のユースリーグにも参戦する。
La Fabrica屈指のウイングストライカーであり、テクニカルで豪胆なドリブル突破を持ち味とする。
右足での強烈なシュート力を備えるが、左足でのフィニッシュも精度が高く、チームが苦しい時間帯に得点を奪える勝負強さも兼備する。
時として、持ち前の度胸が仇となり、強引なドリブル突破を図ってロストする場面や球離れの悪さを露呈することもあるが、彼がボールを持つと『何かやってくれるのでは』という期待感を抱かせてくれるプレーヤでもある。
今季はプレシーズンから好調を維持し、カスティージャで左ウイングの定位置をすでに確保しており、セグンダBプロ第2節のサン・フェルナンド戦では早速利き足とは逆足のシュートでゴールを記録した。
ラウール監督からの期待も非常に高く、2シャドーの一角やCFでの起用も検討されている。
2019年10月27日〜11月17日までブラジルで開催された『U17ワールドカップ2019』のU17スペイン代表にもアルバロ・カリージョ等と共に選出されており、先発したのはGL第3戦のU17カメルーン戦のみだったが、その他3試合に途中出場し、チーム内で攻撃のジョーカーとしての役割を確立していた。
前回のユースリーグでは先発出場はなかったが、準々決勝から決勝までの全てで途中出場を果たし、歓喜の瞬間をピッチ上で味わった者の一人だ。
今季のユースリーグではその経験を存分に活かして、チームの攻撃を牽引してもらいたい。

17. ダニエル・バジェステロス’’ピーリ’’
  (Óscar Aranda Subiela)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年7月10日生まれ
 在籍1シーズン目(ウイング、WG) 

今季トライヴァル・ヴァルデラスのカンテラからLa Fabricaに加入したピーリの愛称で呼ばれる彼は現在、非常に難しい立場に置かれている。
フベニールAのプレシーズンマッチ第2戦のCDモストレスでは後半から右ウイングでLa Fabricaデビューを果たし、投入直後にゴールを奪うなど上々のスタートを切ったかに思われた。しかし、その後すぐに左膝を故障すると、ライバルポジションの選手達も彼の離脱期間にアピールに成功しているため、現時点ではそれ以降ほとんど出番がない。
今季はウイングのポジションが飽和状態となっているため、激しいレギュラー争いは必至。
また、ユースリーグではOA登録枠5選手のうち2選手がウイングの選手であるため、彼は国内リーグ戦での限られた出番の中でアピールするしかない状況に置かれている。

19. ルイス・カルボネル
  (Luis Carbonell Artajona)  
 今季の登録カテゴリ(フベニールA)
 2003年4月27日生まれ
在籍1シーズン目(センターフォワード、CF)

今季の前線及びストライカーのレギュラー争いを掻き乱すであろう選手が9月11日、レアル・サラゴサU19(正確にはデポルティーボ・アラゴンというレアル・サラゴサのリザーブチーム)からLa Fabricaに上陸した。
それが、このルイス・カルボネルである。
ルイス・カルボネルは2019-20シーズンにサラゴサU19に若干16歳で飛び級登録を果たし、その年のUEFAユースリーグでもデビューを果たしている。
ユースリーグ・アポエルU19戦ではハットトリックを達成する等、チームを牽引した。
2020年12月10日にはセグンダ・アルメリア戦でレアル・サラゴサトップチームデビューも果たしている。
先々週の代表ウィーク期間中にブルーノやビジャール等と共にU19スペイン代表に招集されており、その期間中、正式にLa Fabricaに加入することが発表された。
フベニールAの第2節・マハダオンダ戦でチームに初合流し、後半74分にLa Fabricaデビューを果たすとその15分後には挨拶代わりにデビュー戦初ゴールを決めるなど強烈な存在感を示した。
彼の鮮烈なデビューは今後のレギュラー争いにおいても熾烈を極めることを予感させる頼もしい前触れであり、現在チーム内における序列やシステムも彼の存在によって変わっていく可能性も大いに考えられるほどのポテンシャルを秘めている。

20. パウ・フェレール
 (Luis Carbonell Artajona)  
 今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年10月17日生まれ
在籍2シーズン目(センターフォワード、CF)

昨季、CDカステジョンのカンテラからLa Fabricaに加入したこの大型CFは素晴らしいサプライズ選手になってくれた。
昨季のフベニールBは絶対的ストライカー不在の中、パウは少ないチャンスをモノにし、年明けからはCFのファーストチョイスとして君臨した。
ワンタッチでのゴールを得意とし、オフボール時のポジショニングは非常に巧みである。
ゴール数こそチーム2位タイの6ゴールと突出した数字ではないが、線の太い強靭なフィジカルでのポストプレーから2列目の選手がエリア内に侵入することを容易にするなど泥臭いことを厭わない潰れ役としてのプレーも披露。
また、マドリー・ダービーではホーム&アウェイ共にゴールを挙げるなど勝負強い一面も見せてくれた。
今季はプレシーズンマッチで3試合連続でゴールするなど好調を維持していたが、現在は足首の怪我のため戦列を離れている。
彼も今季のフベニールAでの熾烈な定位置争いに加わってくることが予想されているが、まずはしっかりと怪我を治して無事に復帰してもらいたい。

23. ビクトル・ムニョス
  (Víctor Muñoz Villanueva)  
 今季の登録カテゴリ(フベニールA)
 2003年7月13日生まれ
在籍1シーズン目(ウイング、WG)

ビクトル・ムニョスは今季CFダムのカンテラからLa Fabricaに加入したテクニカルなドリブラーである。
重心の低い、緩急を織り交ぜたドリブルから相手を抜き去り、味方のチャンスを演出するチャンスメイカー型ドリブラーであり、クロッサーとしても非常に優秀で、良質なクロスを試合中に何本も味方に供給する。
ビクトルは11歳〜14歳までLa Fabricaの宿敵である La Masia(FCバルセロナのカンテラの愛称)で過ごした経歴の持ち主でもある。
今季はLa Fabrica加入後、即座にチームにフィットし、プレシーズンからアピールに成功。現在では右ウイングのポジションでファーストチョイスに躍り出るなど益々存在感は増している。
恐らく、今季のフベニールAのリーグ戦ではファーストチョイス、ユースリーグではバックアッパーとしての位置付けになると思われるが、このまま好調を維持して、ユースリーグにおいても熾烈なレギュラー争いを巻き起こしてくれることを期待したい。

24. アイトール・マニャス
  (Aitor Mañas Buenadicha)  
 今季の登録カテゴリ(フベニールA)
2003年1月5日生まれ
在籍7シーズン目(センターフォワード、CF)

La Fabrica2003年世代の古株ストライカーも現在は決して楽観視できる立ち位置にはいない。
マニャスは2003年世代ではサラの次に控える長身ストライカーとして存在をアピールしてきたが、昨季はサラがフベニールAに飛び級登録されたため、マニャスがサラに変わるフベニールBのエースストライカーとしてシーズン開幕前には期待されていた。
フベニールC時代には2番手のストライカーとしてシーズン16ゴールの活躍を披露していた彼だが、昨季は11試合6ゴールと結果的に周囲の期待を大きく裏切る形となってしまったのだ。
昨季はフベニールAのベンチに座る機会が多かった点も考慮しなければならないが、フベニールBの大一番では先発の座を外されるなど信頼は決して高くなかったことが伺える。
今季のプレシーズンマッチではカスティージャで2試合の出場やフベニールAでも開幕戦のマドリー・ダービーでは先発出場などアピールの機会に恵まれてはいたものの決定機を逸する場面も散見され、直後に強力なライバルも加入するなど厳しい状況が続いている。

29. ディビー・ケイタ
  (Diby Keita Kone)  
  今季の登録カテゴリ(フベニールA) 
2003年7月8日生まれ
 在籍6シーズン目(ウイング、WG)

ディビー・ケイタの出身はスペインのトレドだが、アフリカのマリにルーツを持ち、マリのサッカー協会も将来の動向を注視しているLa Fabrica2003年世代快速ウイングも現在は非常に厳しい立ち位置に置かれている。
ディビもフベニールCまではチームの核として左右の両ウイングで起用できる柔軟性とサイドを上下動できる豊富な運動量、一瞬の加速でトップスピードに乗るドリブルを武器にチームの攻撃に有用なアクセントを付け加える存在として輝いていた。
しかし、昨季は一つ下のゴンサーロ・ガルシアにレギュラーポジションを奪われると、途中出場やベンチを温める機会も多くなり、終盤では完全にスーパーサブのような扱いになってしまった。
今季は同じポジションにはゴンサーロ・ガルシアを筆頭に2人の新加入選手、下からの底上げ、ユースリーグではOA枠のウイング2人と強力なライバルとのレギュラー争いやスーパーサブとしての争いも待ち受けている。
現状を打破するために今季のディビはどのように奮起して、チームに活力をもたらすのか?
そして、将来的にはスペイン、マリどちらを選択するのか?
今後も目が離せない選手であることは確かだ。

39. ロレンソ・サンチェス
  (Lorenzo Sánchez Martínez)  
今季の登録カテゴリ(フベニールA)
2003年2月14日生まれ
  在籍1シーズン目(センターフォワード、CF)

今季、バレンシアのカンテラからLa Fabricaに入団したロレンソは元々マドリード出身で13歳〜16歳まではヘタフェのカンテラーノとして過ごした。
バレンシアでの2年の挑戦を終え、故郷のマドリードに帰還した彼が次なる挑戦場所として選んだのがLa Fabricaである。
今季のプレシーズン、マジョルカ島で行われた『COPA LA SALLE 2021』ではCFのファーストチョイスとしてアピールタイムに恵まれたが、大きなインパクトを残すことはできず、現在はCFの序列では4〜5番手として見られている。
シーズンはまだ始まったばかりなので、今季、彼がどのようにチームに順応して、数少ないチャンスをモノにできるのか?
それとも1シーズンだけで忘れ去られてしまう選手になるのか?
彼の挑戦は始まったばかりである。


最後に

今季のUEFAユースリーグにおいて、レアル・マドリーU19の選手として登録された総勢40名のダイヤの原石達を一挙に紹介した。
今季のレアル・マドリーU19の主軸となる2003年世代には冒頭にも紹介した通り、日本の中井 卓大が中心選手として在籍している。
彼らの中には卓大と共にレアル・マドリーU15、U16の選手として『キリンレモンCUP』に参加するため2018年、2019年と来日した経験があり、日本のマドリディスタのみならず、日本のサッカーフリークにも馴染みのある選手や認知されている選手も多数在籍している。
私にとっても、この2003年世代を筆頭に今回登録されている2002〜2005年世代の選手達は試合を目にする機会も多く、非常に思い入れのある世代だ。

恐らく、今回紹介した40名のうち約半数は、武者修行や完全移籍等、様々な形式はあれど、来シーズンはレアル・マドリーのエンブレムに袖を通すことはない。
たとえ、来シーズンもレアル・マドリーのエンブレムに袖を通すことが確約されている選手がいるとしても、必ずしも将来的にトップチームへの挑戦権を得られるわけではない。
この世界最高のクラブでカンテラーノが生き抜いていく難しさでもあり、彼らの挑戦や成長を促してくれる要素でもある。
幼き日からこのクラブで育っていったカンテラーノが将来的に他所のクラブのエンブレムに袖を通す場面を見るのは1マドリディスタとしては寂しいものがあるが、一つの門出を見届けられる瞬間でもある。
これらはLa Fabricaの育成理論の一つである『世界に通用する選手を輩出する』はマドリー以外の厳しい環境でもフットボーラーとして生きていけるカンテラーノをマドリー自らが育てることを示している。

今シーズン4つの世代が融合したレアル・マドリーU19は新たなる指揮官にエルナン・ペレスを迎え、チームとして始動したばかりである。
選手達はお互いをより理解するために鎬を削り、新指揮官はシーズンの序盤、チームの最高の形を探り続けるために様々な実験やリスクを試みるだろう。
チームとしての完成形がどれほどのポテンシャルを秘めているのかは予測が付かないが、今シーズン、コンテンダーとしてのメンタルを重要視しながら、選手一人、一人が自身のポテンシャルをどれだけ開花させることができるのか、チームとしてどれだけ成熟することができるのか?
La Fabrica史上初のディフェンディングチャンピオンとして事実上の大会連覇に臨むUEFA Youth League 2021-22シーズン。
その先に答えが待っている。





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