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樋口楓さんの一連の配信とイメソン「Brand New Day」について

 やりました。

樋口楓さんの一連の配信について

 2020年4月末から5月初頭にかけて連続して行われた樋口楓さんの配信は、自分が彼女に注目しはじめた動機を久々に思い出させるものでした。

 現在の樋口さんが未来の樋口さんへ手紙を書き、本当に未来に届いてしまったというものでした。それだけならよくあるネタなんですが、自分が心打たれたのは時や世界観を超えたという表面的な問題よりも、2025年の樋口さんの有様が否応なく受け手自らの人生を直視することを迫ってくるという部分でした。これは完全に「人間を描いた配信」だと思いました。

 自分が見る限り、Vtuberが注目されだした頃は、彼らはあくまでアニメなどのキャラクターとほぼ変わらない存在であるという印象がありました。動画がメインコンテンツだった事も関係しているとは思いますが、やがて配信がメインのにじさんじが現れて、それが徐々に変わってきた。その一端を担ったのが樋口さんだったと自分は思っています。「これは人間だ」と感じました。もちろん人間なのは当たり前なんですが「人間が人間をやっている」という妙な感覚がありました。この辺の理由を掘り下げるとちょっと触れづらい部分に踏み込まなければならないのでアレなんですが、樋口さんと他との違いを語るなら、自分としてはそこに尽きると考えます。様々なVtuberやライバーが現れて、今やその方向性も多様化しまくっていますが、樋口さんはバーチャルの世界で一つの発明をした人だなと感じて、今に至るまでその行く末を注目しています。

 件の配信の話に戻りますが、正直言ってかなりニッチな内容であるのは否めないと思います。あれはエンターテインメントとして完成されたものではなく、一人の人間の生き様を観察している様な実に生々しいもので、個人のネット配信というジャンルが他の追随を許さない部分であると再確認させられました。そして驚くのが、バーチャルというフィルターを通しているにもかかわらず、あからさまな「現実」を受け手に叩きつけてくる事。「努力してもより優れた他人には敵わない」とか、「だったら頑張っても無駄なんじゃないか」という多くの人間にとって身に覚えのあるであろうネガティブな感覚をめちゃくちゃに投げつけてくる。樋口さんは元々そういったマイナス思考を配信でも漏らしていましたが、彼女の人生においてその感覚が大きなものであるのがより明確になったし、ライバーとしての活動が大きな救済になっていた事を改めて伝えたかったのかも知れないと思いました。また、2025年の樋口さんの配信の(現段階での)最後に、少しの希望を見出す部分でとりあえず安堵した視聴者も多いんじゃないかと感じています。久々に樋口楓を観たな~、という心持ちになりました。

曲の制作について

 ああいう配信をやられて久々に樋口さんのイメソンを作ろうという気持ちになりました(実際は2周年記念の企画で短いものを作ってはいましたが)。樋口さんに関しては先ほど長々と書いた事や、初めてイメソンを作ったライバーさんという事もあって思い入れが大きいです。動画として投稿するのが丁度2年ぶりくらいで、もうそんなに経ってしまったかという気持ちになりました。自分の場合、イメソンって歌詞を書くための題材を見つけるのが一番大変で、何かしら起きないとできないんですよね。しかもそれが自分の音楽性に合わないとできない。単純に好きだからやろっかな、は自分には無理です。それは不誠実だからとかそういう意味ではなく本当にやる気も出なければ言葉も出てこないからです。

 今回は、一連の配信が始まった時にすぐに制作に取り掛かりました。いつかやりたかったSynthwaveのイメソンをやれそうなタイミングでもあったので、やる気に満ちていました。なんせ「未来」「時間超越」の要素がからんでいるので、やるしかない、という思いだけでやり、やり終えました。Synthwaveが一番かっこよくフューチャー感を演出できるんだ、という強い信念を抱いて。他のジャンルではダメです。たとえ神が許しても俺が許さない────という情熱を背負って。

 とは言え、ただのSynthwaveの構造では「やりたかっただけやん」感が出すぎて軽いものになってしまうし、歌入りなのに歌の部分が弱いというゴミみたいな出来になってしまうので、そこのバランスを取るためにどうしよっかな~って多少悩んで、Synthwaveと90s J-Popと達郎のクロスオーバーになりました。樋口さんはメジャーデビューも果たし、今後は今までのようにマイナス思考ばかりではよろしくないのかもしれない、という意識が芽生えてああいう配信でケジメをつけにいったのかも、という個人的な解釈もあり、それを踏まえてイメソンもポジティブな内容にしたかったので、90sのビッグめなサウンド・歌メロに寄せたのが理由です。達郎は単なる趣味です。コーラスの感じとかに若干入ってます。「コーラス入れるなら達郎っぽくしたいだろうが!」と半ギレでやりました。

 ミックスは、本当のSynthwaveであればもっと太い音にしても良かったと思うんですが、まだまだコツがいまいちわかってないのと、これもまたやりすぎると歌が浮くかもしれないという気持ちから大分ポップよりになりました。あくまで自分の基準では(最初はもっと薄かったけどあまりにも古臭くなったので若干イキりましたが)。ベースがわからんな~、高音がうるさいな~、などと悩みながらやりました。もしかしたらチャンネル・ストリップはSSL系の方がよかったかもな~と若干心残りはなくはないです。

 あと動画ですが、今回はじめてAEを使いましたがそこが一番大変でした。ちょっとしたことをやるのにも割と面倒で分かりづらく、発狂しながらやりました。が、今まで作ったものの中では一番好きな感じに仕上がったので良かったです。イラストは9さんが仕事がなくて暇だと騒いでいたのでお願いしました。なるべく早く出したくて急ぎの案件だったけど、やってくれて感謝です。

 聴いてくださった皆さんありがとうございます。そして樋口さんにも感謝。あの配信がいつか多くの人々に良い影響を与える事を願います。

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