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牛丼キングに挑んだ話

僕は父と二人暮らしなんですけどその日はたまたま父からの帰宅の連絡が遅くなったんですね。21時40分頃に電話で「今日は帰れないから飯買って食べてくれ」って言われたんですよ。連絡は早めにしてくれとは常々伝えてるし、お腹もペコペコだったのでもう完全にプッツンして、食うなら普段食えねえようなもん食ってやろうって気になっちまったんですよ。で、家の近くでなんかそういう食べ物ないかなーと思った時に、すき家の牛丼キングが思い浮かんだんですね。
牛丼キングっていうのは、すき家の裏メニュー的なヤツなんですけど、めちゃくちゃ量の多い牛丼ってだけです。ただしその量は通常メニューで最大とされるメガ牛丼(ご飯大盛り肉3倍、1468kcal)の2倍とされています。牛丼キングは持ち帰りできない商品なので、今回はメガ牛丼を2つ買って実質牛丼キングという扱いにしました。ちなみにこれ書きながらカロリー調べて卒倒しました。

すき家から家まで10分くらい歩くんですけど、まさか牛丼家に持ち帰るだけで重量を感じるとは思いませんでしたね。何となく嫌な予感は食べる前からしてたんですけど、それでは早速いただきます。

僕は幼い頃から牛丼チェーン店はすき家を食べて育ってきたので、すき家の牛丼が大好きです。一番好きなトッピングは明太高菜なんですけど、トッピングなしでも普通に好きです。とはいえこの量をそのまま食べ続けるのは飽きが来ると思い、自宅でトッピングを用意しました。かけるチーズ、生卵、キムチ、七味唐辛子、きゅうりのキューちゃんです。今考えれば食べ切れるか全く未知数のチャレンジでチーズをトッピングに用意するのは愚の直行ってやつでしたね。ネタです。
滑り出しは非常に良好でした。食べ始める前は「大食いチャレンジするならもっともっとお腹空かせておけば良かったかな……」とか後悔してたんですけど、いざ食べ始めると意外とGuts!ガツガツ食えるもんなんですよね。ちなみに腹の減り具合は普段よりちょっと減ってる程度でした。シンプルに牛丼ウメェのが良かったです。序盤はあっさり目なトッピングを活用し、キューちゃんとキムチで勢いよく食べ進めてました。
そしてメガ牛丼の1杯目が残り1/3というところで七味唐辛子をぶちまけて、ピリ辛を楽しみながら1杯目を完食です。確か1杯完食するのにかかった時間が15分くらいだったかな。普通の食事くらいの時間ですね。一般人ならここで「ふうお腹いっぱい」っつって終わる訳ですが(デブなので一般人がメガ牛丼でちょうどいいと思っている)、僕の戦いはこれからです。もう一度メガ牛丼と戦わなければならないのです。
とは言うもののこの時点で満腹感はほとんどなく、感覚としては腹6分目くらいでした。単純計算では全然足りてないんですけど、食指の動く速度から考えるに勢いのままいけるんじゃね?wって考えがあって、思いの外意気揚々と2杯目の蓋を開けました。

そして僕は過ちを犯す。

2杯目に突入し、ここで何を血迷ったかかけるチーズをぶっかけます。メガ牛丼およそ1/2程度の量。そう、この男、完全に己の実力を見誤っていたのです。チャレンジの後だからこう判断できるんですけど、食べてる時はマジでいけると思ってチーズかけたんですよね。普通にチーズ牛丼は好きだし、トッピングとして用意したんだから、折角ならこの味も楽しんでおこ〜wとか考えてたんですよね。呪い殺すぞ。
ちなみにその時の自分は「残りの1/2は生卵で、勢いでかきこめるから余裕w」って言ってたらしいっすね。どこが?
まあ余裕だと考えてられる内は食べ進められるもので、2杯目の1/3くらいまではテンポよく食べれたんですよね。でも当然壁にぶつかるわけで、ここから一気に食べるペースが落ちます。麦茶に逃げる回数が増え、(ツイキャスで配信しながら食べてた(汚い)のですが)雑談に逃げる時間が延びていきます。

すると何が起こるか?

腹が膨れます。

これは今回のチャレンジからの学びの1つなんですが、大食いで壁にぶち当たった時どこまで粘れるかって多分重要なんでしょうね。ドシロートの僕みたいにすぐに時間置いちゃうともうここからは泥沼です。牛丼は減らないのにお腹だけいっぱいになっていきます。壁を感じた時点がおそらく腹9分目くらいで、そこから膨れていく時点で10分目は超えるんですよね。それなのにそれ以上に食べなくちゃいけない。ここが、地獄です。
しかし腹9分目に到達した僕はここで「俺は食い切るんだ」という意地を張ります。絶対に食べ切ると意気込み、残り1/2の牛丼に生卵を投下します。そう、これは最後まで戦い抜くという決意表明、自ら退路を断ったのですアホバカマヌケクソボケゴミカス(任意の暴言)。

脳内を支配する満腹感、吐き気、やけにうるさい自分の呼吸音、滲む汗、そして視界に広がるのは生卵の黄身が割られぐちゃぐちゃになった、飽きるほど食べてきた牛丼。

無理だ。
お終いだ。
人生でこれほど米を掬ったスプーンを重く感じた日はなかった、これほど牛肉を噛み切るのを苦しいと思った日はなかった。辛い、誰か助けてくれ。そんな後ろめたい言葉しかもう俺の頭の中にはなかった。

でも、俺には仲間がいた。
オタクが牛丼を食べながらひたすらくっちゃべるこの世の終わりみたいな配信にも、見てくれている人がいた、増してや、コラボをして話し相手になってくれる人がいた。励ましてくれる人がいた、寄り添ってくれる人がいた。
――――――俺は、一人じゃなかった。

心の中の蝋燭に火が灯るのがわかった。俺の心はまだ折れちゃいなかった。まだだ、まだ戦える。この仲間達となら、俺は、どこへでも、どこまでも――――――

完食です。

長く厳しい戦いでした。その間なんと57分。1杯目で15分だったので、2杯目は3倍近い42分もかけていた計算になります。それでも戦い抜けたのは、紛れもなく、あの配信に来てくれていた仲間達のお陰です。

ちかだい、アルフォート、加蓮P、ふぃっと。
本当に、ありがとう。

この後も何故か息を切らしトイレで呻きながら配信を続け、夕食一食にして体重を2kg増やし、腹を突き出し、満腹感に苦しめられベッドの上で3時間眠れずに転がり続け、翌日「空腹」「満腹」という概念を完全に忘れてしまったのは、また別のお話。

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