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若者が芸人になりたがるまで(2)最初のハイスクールマンザイ

ハイスクールマンザイという大会を知り親友の春樹と「ビクトリアン」を結成するとすぐにネタを撮影しエントリーしました。動画選考を通過すると準決勝進出となりイオンモールで漫才が披露出来るのです。

数日経ってサイトに結果が掲載されるとなんと予選を通過。本気で手が震えて、自分で撮った二人の写真が掲載され「ビクトリアン」が画面の中にいることが信じられませんでした。
春樹や家族に自慢し、挙句「天才なのかもしれない」と過信してしまう始末。でも何も得意なことがなかった自分が漫才で認められたことがそれほど嬉しかったのです。
しかし芽生えた自信は準決勝の日に打ち砕かれるのでした...




準決勝は地元の北海道では行われず岩手県のイオンモールまで自腹で向かわなければなりません。高校生の僕らには手痛い出費です。
その分、練習に身が入った自分は部活で疲れている春樹に無理やりにでもボケさせて、親友の二人は漫才で仲に亀裂が生じていました。


そうして迎えた準決勝当日、朝方に起床し新幹線で
昼頃、岩手県の盛岡市に到着。会場についてもまだ今から人前で漫才するなんて考えられなくて緊張感が全くありませんでした。

開演前にリハーサルがあり舞台で初漫才を披露しようとすると舞台に立っているだけで足が震え、声が震えてまともに喋れやしない。こんな極度な緊張を体験したことがありませんでした。しかもまだ観客を入れておらずスタッフの方しかこちらを見ていない状況なのに。

今まで漫才を見てた自分は「人前で喋るだけ」と思っていましたが見られている側の恐怖がこんなにも凄まじいものだとは考えられませんでした。

リハを終えるとすぐに本番が始まり、僕らビクトリアンは後半ブロックでした。
前半組を見ているとマイクの音が響きづらいようでさらに演者も緊張して声が小さくなり、まったくネタが聞こえないという漫才では致命的なミスが見受けられました。
でも仕方がない。準決勝とはいえ、みんな高校生の素人。僕らも精一杯声を出し続け、間とかテンポとか気にしてる余裕なんてないです。
しかもマイクの調節が緩く喋ってる途中でストンと落ちるアクシデントもありました。実際、落ちた瞬間が1番ウケるという悔しいアクシデントでした。

こうして色々あったハイスクールマンザイ2018の結果は...


敗退でした。

正直分かっていたので、燃え尽きながら北海道にすごすごと帰っている途中「このまま終われない」と負ける悔しさを初めて味わい、何もなかった自分に漫才と出会えたので出場して本当に良かったと思います。



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