お父さん

いつも仕事が終わると一人で帰ることが多いのだけど、今日は会社の上司と一緒に帰った。

帰り道、どういう風の吹き回しかジュースをおごってもらった。

炭酸ジュースを飲みながら駅まで2人ですたすた歩いた。多分会社を辞めるから少し話をしたいんだろうなぁと思ったし、私もしたかった。

あんまり仕事も早くない私に丁寧に教えてくれる方で、辞めるとなっても丁寧に教えてくれる。その方は結構みんなからは、距離を置かれてたりもするみたいだけど私は好きだ。

以前、飲み会の席で隣になって話したことがあった。その時、私は大学を卒業して初めての社会人経験でいろいろ会社のしがらみとかに息苦しさを強く感じていた。その方に疑問をぶつけた。酔っていたのでなんて問いかけたのかも曖昧で覚えていないが、その方が口にした言葉に涙した。

「家族のためにそうするしかないんだよ」

みんな何かのために一所懸命に生きているんだと感じた。書いていてめちゃくちゃ当たり前のことだなと思うけど、その時からだんだん自分の中で一緒に会社で働いている人たちの見方が少しずつ変わっていったと思う。

「本当に嫌な人だな。」とか「儲けることしか脳にないのか」とか正直いっぱい思うことはあるのだけど、みんな何かのために一所懸命働いている。この会社に入って「お父さん」をいっぱいみた。

今まで、同世代の人と関わることが多かったし自分の親の世代の人と関わると言っても一緒に仕事をするようなことはないから少し遠めから「お父さん」を見てきた。

僕と似た内容の仕事をして(もちろん上司の方の仕事の量と質には追いつけない)、そのお金で家族を養っているんだということを今までより近くで感じる。

電車の中での話の流れで、その方は携帯を出してグーグルマップを開こうとした。そのときの携帯の壁紙は幼稚園くらいの男の子が運動会で鉢巻まいて走っている写真だった。いつもぐちぐち言いながら仕事をしたりしているけど、その方は小さな子供を育てている一人の「お父さん」。

語彙力がなくてうまく表現できないけど、「すごいな」って思う。

そんな方におごってもらった。ジュースはなんか嬉しくて誇らしい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?