ウイニングポスト9 2022 サイアーラインまとめ#エクリプス系

 9 2022に登場の種牡馬をまとめつつ、10も予習()しておこうというものです。登場記載については1973年スタートの10準拠記載になっています。

 初回はエクリプス系。

 9 2022において種牡馬として登場するのは、ガーサントに連なる系譜とホッカイダイヤに連なる系譜の2系統。
 2頭の共通の父系先祖は1807年生まれのWhaleboneにまで遡ります。他の系統には入れることのできない超零細血統ということで親系統エクリプス系ー子系統エクリプス系という括られ方をしていますが、同一系統感はないですね。

 10では73年スタートということで、3年間スタートが遡ることによって登場させることができそうな種牡馬が増えたということでしょう、エクリプス系の種牡馬が多数導入され、初期種牡馬7頭、SP種牡馬6頭が登場します。

 親系統エクリプス系-子系統エクリプス系のままでは分類もあったものではないので、ある程度似た系統ごとに分類します。

エクリプス系
┣ ポテイトーズ系
┃ ┣ ベンブラッシュ系
┃ ┣ タッチストン系
┃ ┗ バードキャッチャー系
┗ キングファーガス系
  ┣ サンドリッジ系
  ┗ ガロピン系


ベンブラッシュ系

 Ben Brush(ベンブラッシュ)はWhalebone産駒Waverleyから続く系統で、この系統から種牡馬の登場はありません。
 Ben Brush→Sweep→The Porterが米リーディングサイアーを獲得するなど、20世紀前半は活躍した系統です。
 2022年に米殿堂入りしたHillsdale産駒のSP牝馬Hi Q.(ハイキュー)、Acroterionの産駒であるProcne(プロクニー)が収録されています。
 9 2022には登場していなかったので、殿堂入りを機に収録されたのでしょうか。一応年齢的には種牡馬としても登場可能です。

Whalebone 1807
┗ Waverley 1817(以下4代略)
  ┗ Ben Brush 1893
    ┗ Sweep 1907
      ┗ The Porter 1915
        ┗ Aneroid 1933
          ┗ Take Away 1940
            ┗ Hillsdale(ヒルズデイル) 1955
              ┗ Acroterion(アクロテリオン) 1962

タッチストン系

 Pot-8-Osが4代父、Whaleboneが2代父であるTouchstone(タッチストン)の系統。
 タッチストンは英セントレジャーやアスコット金杯などの勝ち馬で、英ダービー馬Orlando(詳しくは第65回イギリスダービー)と英セントレジャー馬Newminsterの系統が発展しました。
 オーランドからはヒムヤー系、ニューミンスターからはハンプトン系がでており、今となってはヒムヤーの末裔ダノンレジェンド産駒しか見る機会もないですが、ハイペリオン系などウイポ序盤で血脈活性化8本の壁としてよく立ち塞がってきます。
 日本の初代リーディングサイアー(1924~1929)とされるイボアもLord Clifdenのサイアーラインです。父系としては発展しなかったものの、牝系には影響力があります。

Touchstone 1831
┣ Orlando 1841
┃ ┗ Eclipse II 1855
┃   ┗ Alarm 1869
┃     ┗ Himyar 1875 → ヒムヤー系(以下略)
┗ New Minster 1848
  ┣ Lord Clifden 1860
  ┃ ┗ Hampton 1872 → ハンプトン系(以下略)
  ┗ Hermit 1864 → ハーミット系(後述)

ハーミット系

 上記したガーサントはニューミンスター産駒のHermit(ハーミット)のサイアーライン。
 ハーミットは英ダービーやセントジェームズパレスなど23戦8勝の成績で種牡馬としては7年連続の英愛リーディングなど活躍を見せました。フィリーサイアーの気配が強く、父系としてはさほどの広がりは見せなかったものの、ガーサントまでの5世代間をG1級の勝利馬で血統をつないでおり、活力があったのはうかがえます。
 ウイポ9 2022、10ともこの系統で登場するのはガーサントの直系のみ。
 年代的には登場させられそうな馬もいますが、2歳年上の全兄Ocarinaも父系としては発展せず(乗馬用種牡馬としては2010年頃まで続いたようですが)、クォーターホース(QH)の血統を塗り替えたDash For Cash(QH)の父父Rocket Bar(1951)はサラブレッドですが、さすがに登場はなさそうです。
 なお、9 2022ではガーサントがSP種牡馬、種牡馬がニットエイト、ヨドヒーロー、現役がヌアージターフとなっているので、ダッシュリュー、ヒガシライト、オーナーズタイフウは10のみ登場です。

Hermit 1864
┗ 5代略
  ┗ ガーサント(Guersant) 1949*種牡馬
    ┣ ニットエイト 1964*種牡馬
    ┣ ダッシュリュー 1966*現役
    ┣ ヒガシライト 1967*SP種牡馬
    ┣ オーナーズタイフウ 1968*現役
    ┣ ヨドヒーロー 1970*現役
    ┃ ┣ アスコットエイト 1980
    ┃ ┗ ワンモアライブ 1988
    ┗ ヌアージターフ 1970*現役

バードキャッチャー系

 こちらも同じくホエールボーンを2代父に持つBirdcatcher(バードキャッチャー)は愛国の歴史的大種牡馬。競走成績は15戦7勝のようです。父Sir Herculesも愛国生まれの英雄ということで種牡馬入り後は期待もあり英国・愛国を転々としながら種牡馬生活を送り、英リーディングを獲得。
 孫世代のStockwellが英リーディング7度獲得の歴史的大種牡馬となり、現代競馬父系のシェアの大半はこの子孫が占めています。
 Stockwellの全弟Rataplanも兄ほどではないながら父系を発展させました。アルゼンチンに輸出されたBridge of Canny産駒のPicaceroが亜リーディングを獲得するなどしています。
 南米の種牡馬が登場するようになれば可能性はありそうです。

Birdcatcher 1833
┣ The Baron 1842
┃ ┗ Stockwell 1849
┃   ┣ St. Albans 1857
┃   ┃ ┗ Springfield 1873
┃   ┃   ┗ Sainfoin 1887
┃   ┃     ┗ Rock Sand 1900 → ロックサンド系(後述)
┃   ┗ Doncaster 1870
┃     ┗ Bend Or 1877 → ベンドア系(以下略)
┗ Oxford 1857
  ┗ Sterling 1868
    ┗ Isonomy 1875
      ┗ Isinglass 1890 → アイシングラス系(後述)

ロックサンド系

 Rock Sand(ロックサンド)は英三冠馬。英セントレジャーを勝ったTraceryやベルモントSを勝ったFriar Rockがそれぞれ勢力を発展させました。
 種牡馬として登場可能なのはSpecialmanteのみですが、キンコウやCandy Spots、Bolero、He's a Pistol、Sailor、Ahoy、Bosunは史実繁殖牝馬の収録があります。
 Candy Spotsは産駒のノーレアセが日本で種牡馬入りしていますので、代表産駒である、アンバーシャダイの勝った目黒記念2着のスパートリドンが収録されることがあれば登場の可能性もあるかなというところです。

Rock Sand 1900
┣ Tracery 1909
┃ ┣ Abbot's Trace 1917(以下2代略)
┃ ┃ ┗ キンコウ 1950
┃ ┗ Copyright 1918(以下2代略)
┃   ┗ Nigromante 1944
┃     ┣ Candy Spots(キャンディスポッツ) 1960
┃     ┃ ┗ ノーレアセ(No Le Hace) 1969
┃     ┗ Specialmante(スペシャルマンテ) 1960*SP種牡馬
┗ Friar Rock 1913
  ┗ Pilate 1928
    ┗ Eight Thirty 1936
      ┣ Bolero(ボレロ) 1946
      ┣ Royal Coinage 1952
      ┃ ┗ He's a Pistol(ヒーズアピストル) 1958
      ┗ Sailor(セイラー) 1952
          ┣ Ahoy(アホイ) 1960
        ┗ Bosun(ボーサン) 1962

アイシングラス系

 Isinglass(アイシングラス)は英三冠馬。スインフォード系の先祖にあたる系統です。
 登場はネッカーやユトリロなど、ドイツの土着父系へと発展した系統。9 2022でも登場するのはホッカイダイヤ→ホッカイペガサスのみです。
 なお、こちらのユトリロは1954年生まれですが、ダンテ系の同名馬はHawaiiの父(1958年生まれ)。
 Orsiniは種牡馬として登場しませんが、Nuclea(ニュクレア)の父として名前が残ります。

Isinglass 1890
┣ John o'Gaunt 1901
┃ ┗ Swynford 1907 → スインフォード系(以下略)
┗ Louviers 1906(以下3代略)
  ┣ Orator 1938
  ┃ ┗ Utrillo(ユトリロ) 1954*SP種牡馬
  ┃   ┗ Lord Udo(ロードウド) 1971*現役
  ┗ Ticino 1939
    ┣ Neckar(ネッカー) 1948*SP種牡馬
    ┃ ┣ Kronzeuge(クロンズージ) 1961*種牡馬
    ┃ ┃ ┗ Arratos(アラトス) 1969*現役
    ┃ ┣ Waidwerk 1962
    ┃ ┃ ┗ ホッカイダイヤ 1970*現役
    ┃ ┃   ┗ ホッカイペガサス 1984
    ┃ ┗ Tannenberg(タンネンベルク) 1970*現役
    ┗ Orsini(オルシニ) 1954

キングファーガス系

 Eclipse 産駒のKing Fergus(キングファーガス)は目立った競走成績を残したわけではないですが、英セントレジャーやドンカスターCなどを勝ったHambletonianを出し、英愛リーディングサイアーとなりました。
 この系統の行き着く先にはセントサイモンがいます。

King Fergus 1775(以下5代略)
┗ Vedette 1854
  ┣ Speculum 1865(以下2代略)
  ┃ ┗ Sundridge 1898
  ┃   ┣ Sunstar 1908 → サンスター系(後述)
  ┃   ┗ Sunreigh 1919
  ┃     ┗ Reigh Count 1925 → レイカウント系(後述)
  ┗ Galopin 1872 → ガロピン系(後述)

サンスター系

 Sunstar(サンスター)は名スプリンターSundridgeの3世代目の産駒で、英2000ギニー、英ダービーを勝った2冠馬です。
 戦前の大種牡馬シアンモアもこの系統から。シアンモア末裔で登場してもよさそうなのは(ダート改革もありますし)ダイサンコトブキでしょうか。大井盃(現:羽田盃)、春の鞍(現:東京ダービー)、ダイオライト記念、秋の鞍(現:東京大賞典)を勝っています。
 また、10から登場のPiqu'ArriereとUn Kopeck、ディクタドレークとディクタボーイもこの系統でTurn-toの母父としても血を残すAdmiral Drakeの子孫です。

Sunstar 1908
┣ Buchan 1916
┃ ┗ シアンモア(Shian Mor) 1924
┃   ┣ 大鵬 1929
┃   ┃ ┗ トシハヤ 1948
┃   ┃   ┗ ダイサンコトブキ 1957
┃   ┗ カブトヤマ 1930
┗ Craig an Eran 1918
  ┗ Admiral Drake 1931
    ┣ Piqu'Avant 1947
    ┃ ┗ Piqu'Arriere(ピカリエール) 1957*SP種牡馬
    ┃   ┗ Un Kopeck(アンコペック) 1971*現役
    ┗ Phil Drake 1952
      ┗ ディクタドレーク(Dicta Drake) 1958*種牡馬
        ┗ ディクタボーイ 1970*現役

レイカウント系

 Reigh Count(レイカウント)はケンタッキーダービー勝ち馬。種牡馬入り後はCount Fleetが米三冠馬となるなど活躍馬を輩出し、Count Fleetもまた多数の活躍馬を輩出することで父系を発展させました。
 活躍馬が1940年を超えてからの生まれということで、年齢的に登場可能な馬が多く、結果10で登場するのもこの系統の産駒が多くなっています。
 Count Fleet、Dotted Swiss、Flaming Fleet、One Count、Beau Purple、Blazing Count、Count of Honor、トリプリケートは種牡馬としては登場しませんが、産駒が収録されています。
 Better Bee産駒のビービービー(競走成績はプリークネスS勝ちなど)は種牡馬入り後日本に輸入されていますが、産駒の収録はないので種牡馬入りしない場合もありそうです。

Reigh Count 1925
┣ Count Fleet 1940
┃ ┣ Counterpoint 1948
┃ ┃ ┗ Dotted Swiss(ドッテッドスイス) 1956
┃ ┣ Flaming Fleet(フレイミングフリート) 1949
┃ ┣ One Count(ワンカウント) 1949
┃ ┣ Beau Gar(ボーガー) 1950*種牡馬
┃ ┃ ┣ Beau Purple(ボーパープル) 1957
┃ ┃ ┗ Handsome Boy(ハンサムボーイ) 1963*SP種牡馬
┃ ┃   ┗ Arbees Boy(アルビーズボーイ) 1970*現役
┃ ┣ Blazing Count(ブレイジングカウント) 1952
┃ ┗ Count of Honor(カウントオブオナー) 1953
┗ トリプリケート(Triplicate) 1941
  ┗ Better Bee(ベタービー) 1954*種牡馬
    ┣ ビービービー(Bee Bee Bee) 1969*現役
    ┗ Better Arbitor(ベターアービター) 1971*現役

ガロピン系

 Galopin(ガロピン)は英ダービーを含む11戦10勝の成績を残して種牡馬生活を送った名馬で、種牡馬生活は当初気性難で知られる4代父Blacklock、3代父Voltaireの強いクロスを持つことが懸念されたのかあまり重宝されていませんでしたが、英2000ギニー馬Galliard、歴史的大種牡馬St. Simonを出したことで状況が好転し、英愛リーディングを獲得するなど活躍しました。
 St. Simonが種牡馬入り後はリーディングを奪われましたが、1898年に再度リーディングを獲得しています。
 父系としてはセントサイモン系が圧倒的な広がりを見せ、世界中に拡散しましたが、上記のガリアール系も成功を収めています。
 10で登場するのはガリアール系のラヴァンダンとヤマニンウェーブのみ。

Galopin 1872
┣ Galliard 1880
┃ ┗ War Dance II 1887
┃   ┗ Perth II 1896
┃     ┗ Alcantara II 1908
┃       ┗ Pinceau 1925
┃         ┗ Verso II 1940
┃           ┗ ラヴァンダン(Lavandin) 1953*種牡馬
┃             ┗ ヤマニンウエーブ 1967*現役
┗ St. Simon 1881 → セントサイモン系(以下略)

 ここまで親エクリプス系ー子エクリプス系のサイアーラインを見てきました。
 10 2024が発売しない、あるいは、73年スタートなくします、といったことにならないことを祈っています。