第99回全国高校サッカー選手権3回戦 藤枝明誠vs山梨学院

山梨学院は2回戦で鹿島学園に勝利を収め、3回戦進出を決めた。
2試合続けて1対0と堅い守備をベースに勝ち上がってきた。

一方の藤枝明誠は4年ぶり3回目の出場となる。
県大会準決勝では前回大会優勝の静岡学園を下し、全国大会出場を決めた。
最高成績は88回大会のベスト8となる。
主なOBとしてはアビスパ福岡の遠野大弥選手や藤枝MYFCの杉本拓也選手がいる。
2回戦からの登場となったが、愛媛県代表の新田を逆転勝利で下し3回戦進出を決めた。

1.一進一退

スタメンはこちら。

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山梨学院は2回戦から2人。
2回戦で負傷交代となった石川選手から岩岡選手、新井選手から浦田選手への変更となった。

藤枝明誠は2回戦と同じメンバーとなった。

2回戦同様立ち上がりから山梨学院は押し込む展開を作る。

7分にはカウンターから野田選手、浦田選手と繋ぎ久保選手がシュートを放つも枠の外へ。
2回戦同様、序盤に久保選手にチャンスが訪れたが決め切れなかった。

流れの中で藤枝明誠はチャンスを作れないが、徐々にセットプレーを増やしていく。

山梨学院の長谷川監督は「扇型を作ること」、「いいポジションを取ること」といった指示を1回戦から多用している。
前線へのロングボールやカウンターが目に付くが、山梨学院として志向する形はよりビルドアップを大事にすることが伝わってくる。
ただ、一発勝負のトーナメント戦であることからリスクを回避するために前線に速いタイミングで入れ込むことが増えている。

19分藤枝明誠が決定機を作る。
右サイドからのクロスに大外でフリーとなった小林選手がシュートを放つも熊倉選手が立ちはだかった。

25分には山梨学院にチャンス。
ロングスローのこぼれ球を谷口選手がボレーシュートを放つも市川選手が防いだ。
ここまで両GKの活躍が目立つ展開となる。

活躍が光っていたGKのミスから試合が動く。
野田選手が市川選手のクリアミスを拾い、クロスを上げると浦田選手が流し込み山梨学院が先制に成功する。

試合後の山梨学院浦田選手のコメントより。

『絶対に野田からパスが来ると感じていた』

これまではセットプレーのキーマンである新井選手を起用してきたが、浦田選手の起用が当たった。

試合後の山梨学院長谷川監督のコメントより。

『中盤のこぼれ球を奪ったとき、藤枝明誠のCBとSBのところに、背後をとられる動きに弱みがあると考えていた。浦田は一瞬でラインをブレイクする強みがあり、藤枝明誠のディフェンスラインに非常にマッチすると思って起用した』

長谷川監督の起用に応える先制点となった。

しかし、藤枝明誠もすぐに同点に追いつく。
セットプレーの流れからこぼれ球にいち早く反応した賀茂選手が押し込む。
山梨学院にとっては今大会初失点となった。

山梨学院が幸先良く先制に成功するも藤枝明誠がすぐに追いつく一進一退の展開で前半を終えた。

2.試練

山梨学院は後半頭から久保選手、野田選手に代えて茂木選手、笹沼選手の切り札コンビを投入する。
1回戦、2回戦と徐々にプレータイムを伸ばしてきている。

だが、またも山梨学院にアクシデントが発生してしまう。
石川選手に代わって起用された岩岡選手がセットプレーの守備で足首を痛めてしまう。
試合をコントロールし、安定感を見せていただけに残念な負傷となった。
3試合連続でアクシデントが発生する厳しい展開となる。
代わって依田選手が投入された。
1回戦では板倉選手に代わって投入された加藤選手が決勝ゴール、2回戦では中根選手が代わって先発し安定した守備を見せた。
加藤選手、中根選手、岩岡選手と代わって起用された選手がチーム力を落とさない活躍を続けてきたことが勝ち上がってきた大きな要因である。
依田選手にも期待が集まる。

49分に茂木選手にイエローカードが提示され、勝ち進んでも累積警告で出場停止となる。

またも山梨学院にアクシデントが起きてしまう。
57分に廣澤選手も足首の負傷で新井選手と交代となった。
2回戦で決勝ゴールを挙げ、この試合でも再三左サイドからドリブル突破を見せていただけに悔しい交代となった。

代わって起用された新井選手が得意のロングスローから決定機を作る。
59分に右サイドからのロングスローに鈴木選手が走り込み、合わせるも市川選手が防ぐ。

75分に浦田選手に代えて山口選手を投入する。
今大会初先発となったが、先制点を含め素晴らしい働きを見せた。

77分に藤枝明誠は足を吊った増田選手に代わって中谷選手を投入する。
80+1分には同じく足を吊った中山選手に代わって渡辺選手を投入する。
だが、お互いに試合を動かすことまでは至らず、PK戦に突入することとなった。

80分で勝敗は付かず、PK戦へと突入する。
山梨学院:依田○
藤枝明誠:小林○
山梨学院:笹沼○
藤枝明誠:島尻○
山梨学院:一瀬○
藤枝明誠:賀茂○
山梨学院:山口○
藤枝明誠:寺田○
山梨学院:新井○
藤枝明誠:横山○

5人ずつを終えて、お互いに全員が決め、サドンデスに突入する。
山梨学院:谷口○
藤枝明誠:高野○
山梨学院:中根○
藤枝明誠:三輪×

三輪選手のキックを熊倉選手が止め、山梨学院の勝利となった。

試合後の山梨学院熊倉選手のコメントより。

『PKの練習は日頃からずっとやってきたので、PKになったら負ける気はしない。PKには自信があるので、PKになった瞬間に絶対に勝てると思った』

試練が多く訪れた試合であったが、熊倉選手が立ちはだかり勝ちを収めた。

3.あとがき

アクシデントを乗り越え、準々決勝進出を決めた。
次の相手は埼玉県代表の昌平高校。
今大会最注目と言っては過言ではない相手となる。
怪我人が多発し、茂木選手も出場停止と苦しい状況ではあるが代わった選手の活躍が続いていることから楽しみな一戦となる。

藤枝明誠はハードワークを厭わず、技術もある好チームであった。
昨年静岡学園が優勝し、第1シードで戦う難しさや王国静岡復活に向けてと大きなプレッシャーの中での大会となったが、2回戦の逆転勝ちに続き先制を許すも直後に追いつくリバウンドメンタリティは見事であった。

MOM 熊倉匠、一瀬大寿
今回は2人を選んだ。
まずは熊倉選手。
またもこの選手の選出となった。
神としか言いようがない活躍。
彼がゴールマウスを守るから安心して守ることができ、安心してPKを蹴ることができる。
そして一瀬選手。
圧倒的な空中戦でクロスを跳ね返し続けた。
背後への対応や地上戦での対応と藤枝明誠攻撃陣に自由を与えなかった。
試合を経るごとに安定感が増してきている。

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