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観戦記②

2回目の今回訪れたのはJITリサイクルインクスタジアム。
我らのホームスタジアムではあるが、今回はヴァンフォーレの試合ではない。
第100回全国高校サッカー選手権大会山梨県予選準決勝、第1試合山梨学院高校対日本航空高校の一戦。
前回大会の全国チャンピオンと第97回大会の全国ベスト8チーム。
近年山梨を牽引する私学同士の一戦となった。

1.学校紹介

山梨学院高校
全国大会成績
・全国高校選手権出場7回
優勝2回(第88回大会、第99回大会)
・全国高校総体出場5回
優勝(18年)

☆今季成績
・県下高校サッカー新人大会 優勝
・県高校総体サッカー大会 優勝
・関東高校サッカー大会Aグループ 1回戦敗退
・全国高校総体サッカー競技県予選 ベスト8
・プリンスリーグ関東 10位

☆主なOB
岡西宏祐(ヴァンフォーレ甲府)
碓井鉄平(カターレ富山)*全国高校選手権第88回大会優勝
渡辺剛(FC東京)
前田大然(横浜F・マリノス)
宮崎純真(ヴァンフォーレ甲府)*平成30年度全国高校総体優勝

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日本航空高校
☆全国大会成績
・全国高校選手権出場2回
8強(第97回大会)
・全国高校総体出場2回
3回戦敗退(16年)

☆今季成績
・県下高校サッカー新人大会 優勝
・県高校総体サッカー大会 6位
・全国高校総体サッカー競技県予選 ベスト4
・県リーグ1部 6位

☆主なOB
佐藤慎之介(元ジェフユナイテッド市原・千葉等)
望月達也(元FC琉球)
荒木翔(ヴァンフォーレ甲府)
山口和樹(長野パルセイロ)
周余冶(元水戸ホーリーホック)

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2.スタメン

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山梨学院高校
1.山田 海人【FC東京むさし】3年
2.小川 玲【田口FA】3年
3.溝口 慶人【FC多摩】3年
4.保坂 好寿【Uスポーツクラブ】3年
5.柴田 元【東京SC】3年
6.谷口 航大【鹿島アントラーズ】3年
7.長島 大翔【東急Sレイエス】3年
8.佐藤 柊椰【東松山ペレーニャ】3年
18.山口 宇汰【鹿島アントラーズ】3年
9.茂木 秀人 イファイン【FC東京深川】3年
20.小島 慈央【東急Sレイエス】3年

日本航空高校
1.小川 颯馬【FCフェルボール愛知】3年
2.鳥居 蓮太郎【荒牧中】3年
3.植松 遼【バディーSC】3年
4.小幡 來豊【FC GLORIA】3年
5.石田 快斗【ミハタSC相模原】3年
6.滝澤 成統【GRAMADO FC】3年
7.内藤 大輝【FC GLORIA】3年
8.井上 翔太【FC KASUKABE】3年
9.糸房 珠希【柏レイソルA.A.流山】3年
10.生沼 拓都【P.S.T.C.LONDRINA】3年
11.田口 靖忠【JFC Veragista】3年

3.試合展開

球際での激しいバトルを繰り広げる立ち上がりとなる。
最初のシュートは山梨学院。
最前線の小島選手のポストプレーを起点に左SBの小川選手がシュートを放つ。
すると9分に山梨学院が先手を取る。
右サイドから茂木選手がクロスを入れるとファーサイドでフリーとなっていた小島選手が押し込む。
13分に日本航空の最初のチャンス。
石田選手からスルーパスが出るとエリア内を崩し、決定機を作るが決めきれない。
このプレーの前後から航空が圧力を高め、押し込んでいく。
19分には日本航空のクリアを拾った茂木選手が左サイドからカットインし、シュートを放つ。
このシュートはDFに当たりCKとなる。
するとこのCKから決定機を作る。
左サイドから谷口選手が入れると保坂選手が合わせるもGKの小川選手が防ぐ。
その後は山梨学院のミスから日本航空にチャンスが出来かける場面もあったが、徐々に流れは山梨学院へ。
2トップを中心にゴールに迫った山梨学院が1点リードして前半を終える。
後半も立ち上がりは中盤での球際の争いが激しい展開となる。
日本航空がセカンドボールの争いで上回り、押し込む展開を作るが試合を動かしたのは山梨学院。
日本航空のDFラインの背後へ抜け出した茂木選手がGKと一対一の局面を作るが、小川選手が反応し防ぐ。
そのこぼれ球に長島選手が反応しヘディングでゴールに流し込み山梨学院に追加点が入る。
60分には山梨学院に3点目が入る。
左サイドからのFKで佐藤選手がゴール前に上げると柴田選手がヘディングで合わせ、山梨学院がリードを広げる。
飲水タイムを経て、山梨学院が続けてチャンスを作るが日本航空が防ぐ。
65分には谷口選手と共に2年生ながら山梨学院の全国制覇に貢献した石川隼大選手が大島悠斗選手と同時に投入される。
準々決勝は欠場しており、膝にテーピングが巻かれていたことから怪我によって離脱していたのではないか。
共に選手交代を行っていき、チャンスも作っていくがスコアは動かず山梨学院が決勝進出を決めた。

4.注目選手

山梨学院高校
5.柴田 元
代々山梨学院には優れたCBがいた。
渡辺剛(FC東京)、大野佑哉(松本山雅FC)、大石悠介(国士舘大学)、一瀬大寿(山梨学院大学)、板倉健太(東京国際大学)。
Jリーグや大学のトップレベルで活躍している選手達だが、その系譜を継ぐのはこの選手だろう。
圧倒的な強さと高さを誇る空中戦は全国レベルであり、地上戦でも身体能力の高さを活かしピンチを未然に防ぐ。
ビルドアップにも貢献できる足元の技術を備えており、様々のスタイルのチームに適応できるだろう。
大学を経由してのプロ入りの可能性もある選手だ。

7.長島 大翔
テクニックに優れたドリブラー。
昨年度全国優勝したチームからポルトガルのポルティモネンセに加入した廣澤灯喜を彷彿とさせる選手だ。
準決勝ではチームにとっての2点目を挙げ、日本航空を突き放すゴールを決めた。
テクニックに秀でたドリブラーは得点に無欲な選手も多いが、背後に抜け出た選手を追走しこぼれ球を押し込んだのを見ると得点に無欲なタイプでは無さそうだ。
決勝戦や全国大会で結果を残し、廣澤のようにシンデレラストーリーを描けるか楽しみである。

20.小島 慈央
フィジカルの強さを活かしたポストプレーに特徴がある選手。
献身的に守備をこなす意欲もあり、昨年度の久保壮輝(東京国際大学)と似たようなタイプの選手である。
茂木秀人イファインを活かすためにも汚れ役は厭わない。
その茂木からのクロスを押し込み、ゴールを挙げたように結果も示した。
久保は技術的に拙い部分もあり、それを懸命に走り、戦うことで補っていたが小島は技術もあるタイプである。
茂木や谷口、石川の名前が先行するが決勝戦で名前が広まる可能性はあるだろう。

日本航空高校
5.石田 快斗
最も光った選手はこの選手だったのではないか。
中盤の潰し屋は至るところに顔を出し、山梨学院の攻撃を阻み続けた。
ボールを持てばテクニックも見せ、守備だけこなす選手ではないことを示した。
フィジカルの強さを活かし、中盤で戦い続けた結果、足を攣ってしまい途中交代を余儀なくされたように体力面に課題を残したが、戦う姿に魅せられた人も少なくなかったのではないかと思う。
今後サッカーを続けるのかはわからないが、まだまだ見てみたいと思う選手であった。

6.滝澤 成統
中盤でハードワークする石田とは異なり、技術力の高いプレーメーカー。
日本航空で試合に出場しているので運動量や守備ができない選手ではないが持ち味は他にある。
精度の高いキックを誇り、セットプレーのキッカーも努め日本航空の攻撃の起点となった。
石田とのコンビは3年前に全国大会に出場した際の塚越誠也(国士舘大学)、中島偉吹(東海学園大学)のコンビを彷彿とさせた。

11.田口 靖忠
テクニックに秀でたアタッカー。
シャドーの選手としてライン間で浮く上手さを見せた。
途中からはワントップの位置にも入ったが、中央でもサイドでも活きるタイプのアタッカーだろう。
ライン間で前を向き、ゴールに迫ることもサイドに張りドリブルで打開することもできる。
山梨学院相手に結果は出なかったが、得点に貪欲に結果を出せるアタッカーになれると恐さが増す。
今後楽しみな選手である。

5.あとがき

電光掲示板の故障もあり、途中出場した選手の名前が現地ではわからなかったため割愛させていただきました。
中継もあったため、録画をしなかったことを悔やんでおります。
詳細がわかる方がいらっしゃれば教えていただきたいです。
内容も後ほど訂正できればとも思っております。

試合は非常に高い強度で行われ、全国レベルの戦いが繰り広げられていたように思う。
山梨学院はプリンスリーグの成績を見ても苦しい1年なのかと推測していたが、想像以上の出来であった。
昨年度のチーム以上にボールを大事にする姿勢を見せ、個々の能力では劣るもチーム一体で同じ方向を向く好チームであった。
全国チャンピオンとして迎えるプレッシャーは大きいと思うが、決勝進出は見事である。

日本航空はお馴染みのマンツーマン戦術を駆使し、チャンピオンチームに立ち向かった。
だが、個人での戦いでは質的優位を見せられ敗退となってしまった。
近年のチームの中ではボールを保持することにも挑戦する姿勢を見せ、過去に選手権に出場したチームの良さを併せ持ったチームであった。
ベスト4で散るには惜しいチームである。

球際のバトルは上のカテゴリーでも通用するレベルにあったように思う。
この先も楽しみな選手が多くおり、高いレベルの試合が見れて良かった。

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