J2第2節 ヴァンフォーレ甲府vsアルビレックス新潟

1.いざ川中島ダービー


約4ヶ月ぶりにJリーグが帰って来た。
長い中断も川中島ダービーから再スタート。
近年の対戦はホームで引き分けアウェイで勝つ流れで来ている。
今回の対戦ではどのような結果となるのか。また中断を経て変更点がある。
①当面は無観客で行うこととなった。
甲府はバックスタンドにスポンサー幕を掲げることとした。
Jリーグ屈指のスポンサー数を誇る甲府ならではかもしれないがその光景は壮観であった。
これを準備したクラブスタッフの苦労や物凄い数のスポンサーに支えられていることを再認識し甲府サポとして誇りに思える光景であった。
②レギュレーションの変化交代枠が5人に増えたこと、試合中の飲水が難しいことから給水タイムが設けられていること。
これらがどのような影響を及ぼすのか注目となる。

2.5バック!?


甲府の注目点は泉澤のトップ下、ドゥドゥの左サイド。
そして山田陸のスタメンとなる。
泉澤といえば左サイドに張って1対1の仕掛けを得意とする選手。
トップ下に置くことによりどのような変化が起きるのか。
また、山田陸はJ2初出場。
伊藤監督の下で中学、高校と6年間プレーしてきた伊藤チルドレンのJ2デビュー戦にも注目したい。
一方の新潟は練習再開後報道陣にも非公開を続けていたとの情報や練習時間では調子が良かったといった不気味な情報が溢れていた。

いざ蓋を開けてみたらなんと5バック!

画像1

新潟は徹底して内田の裏のスペースを狙ってきた。
新潟が5バックにしたことにより噛み合わせが悪く甲府が前からプレスを掛けられない形となる。
右CBマウロにプレスをかけたいドゥドゥ。
その背後に新井、遅れて内田がプレスに行くところをロメロがランニングで抜ける。
この形で新潟は甲府の左サイドの背後を徹底して突くことに成功。
この形は再現性もあり今後も見られそう。

画像2


また5バックで守ることによりスペースを消し、スペースで活きるアタッカーを揃えた甲府の攻撃陣を封じることにも成功する。


新潟にとって嬉しい誤算はドゥドゥが左サイドで出たことではないだろうか?
泉澤もネガトラやプレスバックが得意なタイプでは無いがドゥドゥはそれに加え前への意識は強い選手だが周りと連携して守れるタイプでは無い。
そのことから新潟が用意してきた形がより活きるやり方になった。

狙いが嵌まり先制に新潟が成功する。


3.甲府の変化


先制を許した甲府は泉澤とドゥドゥのポジションを変更する。
これにより左で幅を取ることに成功し、ボールを持てる展開にはなったがなかなか効果的に運ぶことはできず。
しかし新潟のトランジションの緩みから左サイド高い位置で泉澤が1on1を仕掛けられる局面を作り一撃で仕留めることに成功する。


バホスがマウロとゴンサロの中間ポジションに立ちマウロがカバーリングに行けないポジションを取り泉澤を援護。
狙っていたのかバホスのことだからなんとなくサボっていたら成功したのかはわからないが結果的にはマウロをピン留めすることに成功した。

1分後逆転に成功する。
キックオフの流れから後ろ3人で繋ぎ、新井へと繋ぐ用意してきたビルドアップ。
しかし、新井のバックパスが乱れ失点する。
再三上手くいっていたがその時とは状況に変化があった。
それはマウロと新井の間を守るのがドゥドゥから泉澤に変わったことである。
ドゥドゥは後ろを気にせずマウロがフリーだからとプレスを仕掛けていたがこの場面での泉澤は内田の立ち位置を確認し、プレスのタイミングを遅らせた。
その結果内田が遅れることなく新井へチェックに行くことに成功。
また、泉澤も挟み込めるポジションを取ったことによりバックパスを選択させ、ミスを誘うことに成功した。

泉澤とドゥドゥのポジションを変えたことにより攻守両面で良い効果を生み逆転に繋げた。

4.新潟の変化


逆転を許した後甲府のアグレッシブな守備の前になかなかボールが運べない新潟は4バックへ変更する。
ゴンサロの位置が変化したことにより秋山へのケアが甘くなったところを突き同点に追いつく。

5バックのままであればこの位置でボールを持っていたのはゴンサロであろう。
ゴンサロからはこのような背後への長いボールが無かったことを考えると4バックへの変更により秋山がボールを触る位置が変わったからこそ奪えたゴールと言える。

後半開始から甲府は山田に代えて前日40歳を迎えた山本を投入。
山田の出来は悪くなかった。
試合後の伊藤監督のコメントにもあるようにこの場面ではゲームの流れを読める選手が必要だと感じたことから山本への交代を決断する。

後半も新潟の狙いは内田の背後。
泉澤が左サイドに変わってからはなかなか試合開始当初のようには上手くはいかなくなったがそれでもロメロのランニングからの抜け出しは効果的であった。
一方でシンプルに長いボールを内田の背後に入れる形も増える。

後半開始から甲府は山田に代えて前日40歳を迎えた山本を投入。
山田の出来は悪くなかった。
試合後の伊藤監督のコメントにもあるようにこの場面ではゲームの流れを読める選手が必要だと感じたことから山本への交代を決断する。

後半も新潟の狙いは内田の背後。
泉澤が左サイドに変わってからはなかなか試合開始当初のようには上手くはいかなくなったがそれでもロメロのランニングからの抜け出しは効果的であった。
一方でシンプルに長いボールを内田の背後に入れる形も増える。

60分お互いに攻撃のカードを切る。
帰って来た元日本代表タシコール・マイク。
そして青赤の漢太田修介投入。
一方の新潟は本間至恩。
恐いアタッカーの登場である。

甲府は太田の登場により背後を取る動きが増え、新潟DFラインに背後を意識づける。

69分には新潟が動く。
シルビーニョと早川を投入し前半上手くいっていた左サイドコンビを解体。

72分には甲府。
金園を投入しマイクとのツインタワー結成。

80分には負傷の河田に代わって岡西。
この直後のスローインの流れから新潟が逆転に成功する。

甲府のビルドアップの乱れから嵌められ、ポジションを上げたマウロの潰しから本間のラストパスにシルビーニョ。
新潟の変化が生んだゴール。
それにしても本間至恩恐るべし…

その後の甲府も太田と松田、新井と今津のポジションを変えたりと諦めない伊藤監督。
そしてその執念はアディショナルタイムに実る。

新潟のゴールとは異なり華麗ではないかもしれない。
それでも伊藤監督と太田の執念が生んだこれまた素晴らしいゴールで同点に追い付く。

5.あとがき


驚きの5バックに始まり幾度となく繰り広げられた伊藤彰vsアルベルトの頭脳戦。
6点すべて彼らの狙いが嵌まったゴールとなった。
単純に6点も入っただけで面白いとも言えるがこのゲームをより面白くさせたのはこの2人のバトル。

レギュレーションの変更を上手く利用できたのは甲府の方であった。
給水タイムを利用し守備のやり方を整理し交代枠を活用し戦い方に変化を加えることに成功。


お互いに攻撃はJ2リーグでもトップクラスではないか。
一方の守備は改善の余地はあるだろう。
しかし、そこを改善出来れば楽しみなシーズンになるのではないか。
甲府はこの試合も良かった今津に開幕戦活躍の中塩や山田、中村の成長。
新潟はビルドアップの安定と藤田の成長等改善するための余地は残されている。
今後も楽しみな2チームといえる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?