見出し画像

甘えん坊

もともとすごく感情的な人間です。
感情的って、悪い意味で使われることが多いけど、
いい感情もあふれ出すので、
嬉しそうやね、楽しそうやね、と微笑ましく見られることもたくさんある。
そういう部分を失いたくないと、学生時代は、いつまでも子どもでいようと誓っていた。

とはいえ、大人になって働き出すと、
この感情的な部分は邪魔になることが増える。
ちくいちお客様の話に気持ちが持っていかれる。
不義理なことに腹が立って、しばらく仕事が手につかない。
金木犀の匂いをずっとぼんやり味わってしまう。
そうやって感情的な部分に蓋をして、我慢をしていくと、ストレスミルフィーユが完成する。

少しでもいいから、何か雑談をすれば、感情が帰ってくる。
でも周りの人は忙しいから、自分と違った動きをしているから、話しかけるのが申し訳ない。
ミルフィーユは高く積み上がって、何の疲れとストレスなのかわからなくなる。

そしていい年になってきたので、年下のお友達が増える。
年下のお友達、おないもそうだけど、その前で
甘え、本音を晒すことがあまりできない。
ちゃんとしなきゃ、が勝ってしまう。
だから、少しでも酔った次の日は、何の失敗はしてなくても、死にたくなってしまう。
たぶん「ちゃんと」できてなかっただろうから。

最近は、頼る寄辺ができた。
もともとの性格が、ポメラニアンのように、
大好きな人間に尻尾フリフリ甘えるもので、
隠していた感情は少しずつ出すようになってきた。
甘えだったり、嬉しいとか、楽しいとか、そういうの。
そのせいか、甘えん坊がドンドン顔を出してきた。

久しぶりに大好きだったお店に行った。
この地のお父さんみたいな店主と、
死ぬほど美味しいご飯、ビール。
同じ仕事のお姉様達と久しぶりにご飯。
甘え倒した。
うまく言えない仕事の困りをわかってくれ、
アドバイスとねぎらいをたくさんくれ、
仏みたいな顔で美味しいご飯を出してくれ、
喜びいっぱいの顔を、かわいいよーと言ってくれるお姉様達。
感情的で良かったなぁ。気持ち良かった。

ちゃんとしないで良いタイミングがもっとほしい。
寄辺の側が居心地良いのは、
別に私がちゃんとしなくていいから。
たぶん自分で、もっとちゃんとしなくていいと思って振る舞っていいのだろうけど、
それにはもう少し時間がかかりそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?