当記事の読み方の説明
経緯を含めた浅く広い概要は前回記事参照
以上が判決文記載の事案及び理由のまとめである。
【日刊ゲンダイの主張と争点】
※三崎氏の反社との関係を指摘する日刊ゲンダイ掲載記事(仮に「反社記事」と呼ぶ)
『ド派手実業家「青汁王子」のマズイ素顔…反社との関係発覚』
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/278063
☆重要ポイント「違法性阻却事由を主張する日刊ゲンダイ」
公共性・公益目的・真実性または真実相当性が揃っていれば、日刊ゲンダイの反社記事は違法性が阻却される(=原告が敗訴し、被告が勝訴する)
被告は、本件記事は有名人で会社経営する人物の犯罪になりかねない行為なので、市民の知る権利のために報道した、と主張した。よって、公共性と公益目的はあまり争いがない。
今回、特に重要なのは真実性または真実相当性である。書いた記事が真実であると立証(街宣車を送った)、または真実であることは立証できなくても、真実と信じられるだけの根拠があって判断したことを立証(街宣車を送ったようにしか見えなかった)できれば、本件記事は違法ではないと判断される。各事由を述べ、日刊ゲンダイは記事に違法性がないことを主張していく。
(「違法性阻却事由」についてのより詳細な解説は以下ページなどを参照)
https://www.shinginza.com/db/01976.html#:~:text=%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%EF%BC%8C%E2%91%A2%E5%90%8D%E8%AA%89%E6%A3%84%E6%90%8D%E3%81%A8,%E3%81%AE%EF%BC%92%E7%AC%AC%EF%BC%91%E9%A0%85%EF%BC%89%E3%80%82
①<日刊ゲンダイ「違法性はない」>
②<日刊ゲンダイ「街宣車事案について」>
以上が被告の日刊ゲンダイ側の主張の要約である。
【三崎氏の主張と争点】
☆重要ポイント「違法性阻却事由を崩す」
三崎氏が日刊ゲンダイの「真実である、または真実と信じる根拠の存在=真実相当性があるから違法ではない」との主張へ反論。まず真実ではないし、真実と信じても仕方がないような理由もなかったのだから、日刊ゲンダイに違法性阻却事由はなく、記事は違法であるという反論。
①<三崎氏「違法性阻却事由なし」>
②<三崎氏「見解記事で更に名誉毀損」>
※見解記事とは、反社記事に続いて掲載された記事を指す。
『“青汁王子”こと三崎優太氏のYouTubeでの主張に対する弊社の見解』
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/info/278876
【その他細かな主張と争点】
判決文記載の本筋ではない部分について、一部省略し、簡単にだけ紹介する。
【裁判所の見解 ①主張の整理】
裁判所はまず原告と被告の両者が証拠を出し合って主張していること(以下、主張の整理(1)~(12))を整理し、それからそれら主張の整合性や合理性を判断し、証拠として採用した主張を並べて法律に照らしてどのように判断するか(以下、争点(1)~(3))を検証していく。
特に本件について裁判所は、街宣車事案の真実性または真実相当性を重要視している。要するに裁判所は「原告の三崎優太氏が街宣車を押しかけさせたか否か」で、「押しかけさせたor押しかけさせたと考えることも妥当」ならば真実性または真実相当性があるため名誉毀損にあたらず原告敗訴(=請求棄却)、「押しかけさせていなさそう」ならば真実性または真実相当性がないため、名誉毀損にあたるため原告勝訴(=被告は賠償金〇〇万円)、という判断を行う構図である。
(1)「原告の当時の周辺事情」
(2)「C社の街宣車事案1と妨害工作」
(3)「越山証言、街宣車事案1」
(4)「S社について」
(5)「S社で発生した街宣車事案2」
(6)「原告、C社への恨み」
(7)「和解契約書」
(8)「原告と越山の関係」
(9)「被告Y記者の取材方法」
(11)「日刊ゲンダイのチェック体制」
(12)「見解記事」
【裁判所の見解 ②争点(1)】
a.「違法性阻却事由等の有無」
【裁判所 ②争点(2)】
a.「和解契約書のリスク」
b.「越山証言は信用できるかどうか」
c.「原告と反社の繋がり」
【裁判所の見解 ②争点(3)】
a.「違法性の判断」
【裁判所の見解 ③④争点】
重要でない部分なので省略する。
・「本件見解記事が原告の名誉を毀損するものとして違法であるか」
→見解記事はただの意見表明なので違法ではない。原告の主張は採用しない。
・「善管注意義務違反ではないか」「その他争点」
→上記のとおり、そもそも反社記事も見解記事も違法性がないので、善管注意義務違反はないし、その他の争点も判断するまでもなく、原告の請求には理由がない。
【裁判所の見解 ⑤結論】
よって、原告の請求をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第31部
裁判長裁判官・金澤秀樹
裁判官・俣木泰治
裁判官・若山哲朗
【質問コーナー】
※注意→以下は筆者と読者の間で交わされた一問一答式の質疑応答である。本件判決文とは直接的には関係なく、あくまで新潮社判決文と日刊ゲンダイ判決文を読み込み、いくつかの証拠資料を収集した筆者が独自に質問に対して私見を示す。よって誤りを含む場合、今後訂正される場合がある。また当事者にとっては見解の相違も含まれる場合がある。
Q.和解契約書の存在がなぜポイントだったの?
A.「唯一の直接的な証拠だから」
週刊誌と越山氏が「三崎氏が街宣車を送った」ことを立証する直接的な物的証拠はこれが唯一であるため。他の証拠は、街宣車を撮影した動画、越山氏の証言、関係者の証言、などあくまで状況証拠に過ぎない。なので和解契約書が超重要。
なお、本件裁判の結果とは無関係に、三崎氏は以前から「脱税は国策捜査だ、陰謀だ、悪質性はない」などと主張してきたが、これはいわば嘘だったと自ら認めたようなものではある。「証拠を捏造して国税庁を欺こうとした悪質な脱税事件だった」と自ら裁判で言ってしまっているので、そうなると証言の価値も低くなりそうな気がするが……。もちろん当然ながら、あの脱税で逮捕は妥当でしょうね、と私見。
Q.和解契約書の作成された経緯は?C社の主張は?
A.脱税逃れのためで間違いないが、経緯が複雑すぎる
原告三崎氏側は「国税庁を騙すため架空の内容を捏造した」と主張し、被告側は「実際に街宣車を送って揉めて和解した内容」と主張。
新潮社判決文では「捏造っぽい」、日刊ゲンダイ判決文では「経緯は怪しいしそこまで判断しないが、信用なくはない」と判断。つまり両判決とも脱税逃れのために作成した経緯は認めていて、その上で中身の信用性があるかで判断が別れている。
またC社側登場人物は二人いる。一人は内容を本当と認めていて越山氏に売ったC社Kc氏。もう一人、C社オーナーのT氏がいる。
ある日、Kc氏は急にやっぱり捏造だったと翻意。裁判では「陳述書」と「確認書」で念押しで架空の内容という主張を強調した。
また、C社もサイバー攻撃の実行犯などは特定できていない。警察にも犯人は不明で話は通している。しかし越山氏とKc氏の会話録音データによれば「三崎氏がやったと思う、確証はないけど」という温度感がうかがえる。つまり、必ず三崎氏がやったというほどC社側は証拠をもっていなかったが、三崎氏から頼まれて和解契約書を作成するにあたり「やっぱりね、まぁもう過去のことだし、和解契約書を作ることでこっちにメリットあるなら和解ってことで書類にハンコ押すよ」という気持ちだったのかもしれない。逆に、本当に架空だけど何かしらの利益のために捏造の協力をしたのか、真意は裁判では不明。またオーナーT氏とKc氏の意志が同じとも限らない。もしかしたら越山氏と接触したKc氏は三崎氏をよく思ってなかったのかもしれないし、T氏は三崎氏と懇意だったからKc氏に指示を出して和解契約書を作成させたのかもしれないなど、様々なパターンは考えられるが真実は不明。
新潮社判決文ではこのKc氏の翻意をそのまま受け入れ「和解相手のC社も架空の捏造と言ってる」という説を採用し、和解契約書は架空捏造説に傾く。日刊ゲンダイ判決文ではそもそもC社のごちゃごちゃした見解を採用していない。なぜなら日刊ゲンダイ判決文では「そもそもリスク高い架空の文書を捏造する合理性がない」と判断しているのであって、もしC社協力で架空の捏造をするにしても街宣車とは書くわけないだろ、と判断したのではないかと私見。つまり裁判所は、C社の意向は和解契約書に影響していない、と判断してそう。そもそもC社を「三崎氏や越山氏の説得で動く信用ならない証言者」と思っている可能性もある、と私見。
あくまで個人的な仮説であるが、実際に三崎氏は街宣車は送っていて、後に脱税事件で調査され焦って相談した三崎氏相談役X氏が奇策「実際に三崎氏がやった妨害工作の件だったら、警察も特定できなかったわけだし、税務当局も裏取りできなそうだし、時効だし、弁護士に書類作らせても真実だから証拠偽造にならないし信用度も増すし、和解契約書って体裁で間接的に経費を証明すれば、あれ、これってもしかして完璧なんじゃね?」と非常にまわりくどい素人騙し的な脱税誤魔化しプランを思いつき、三崎氏は藁にもすがる思いでX氏のプランを実行、しかしまともな刑事弁護人の齋藤弁護士や税務当局と検察からはX氏の奇策の杜撰さを看破されて諦め、街宣車を自白するゲキヤバな書類だけが残って脱税も失敗、そこを越山氏が見逃さずC社に交渉して物的証拠として和解契約書を入手し会社の経営権争いに突入し、慌てた三崎氏はC社や新田龍氏と協力して和解契約書の信用性を崩す反対の証拠作りに励み、本件裁判に至ったのではないかなと思った。裁判所の判決の行間を埋めてストーリーに仕立てるとこのようになり得る、という個人的な感想であるが。(仮にdjaa仮説と呼ぶ)
Q.街宣車は誰が呼んだ?本人も認めている?
A.新潮社裁判「不明」 日刊ゲンダイ裁判「第三者の反社」
和解契約書には「(三崎氏とメディアハーツ社が)街宣車を押しかけさせた」と記載。ただし「(なお、三崎氏は、街宣車の所属等を一切覚知していない)」という注意書きも記載されている。つまり和解契約書の内容だけでは、誰がどうやって送ったかまでは明らかではない。
この依頼プロセスを補足する説明が越山証言であり、△◇組舎弟の反社会的勢力の仲介者がいたと主張。なので、三崎氏はあくまで仲介者に「なんか妨害しておいて」というような相談を行い、仲介者が右翼団体に「街宣車いってきて」と依頼したのかもしれない。このような依頼プロセスであれば、三崎氏はどこの右翼団体の街宣車かなどと所属を覚知せず押しかけさせることが可能であり、また街宣車についてよくわかってないけど迷惑かけてしまった依頼者としての責任として和解契約を結んだ、と解釈することは可能である。 だが判決では判断が分かれる。
新潮社判決文では「和解契約書は架空の内容である可能性がある」「依頼プロセスは真実と認められない」、日刊ゲンダイ判決文では「和解契約書は経緯は怪しいが信憑性なしとは言えない」「越山証言は信用できるので、恐らく何かの仲介者に依頼し、街宣車を押し掛けさせた」と判断。
なお、ここでまた注意すべきことは、日刊ゲンダイ判決文でも「△◇組の仲介者」までは事実認定しておらず、あくまで「何かしらの第三者」となっている。たしかに日刊ゲンダイ記事でも「反社とも関係」と、特定の暴力団の具体名は出していない。裁判所からすると仲介者の本当の所属が住●でも稲●でも●●連合でもどうでもいい話で、日刊ゲンダイ記事の違法性判断に関わってこないため、「何かしらの第三者」とぼかしたものと私見。
対して新潮社記事は暴力団「△◇組」の具体名を記載。特定人物が特定の組に所属しているという事実を証明することは大変であり、実は新潮社は組の名前と人名を間違えてしまっていた(後に訂正)。つまり、新潮社の反社記事は街宣車依頼プロセスにおいて部分的に正しくない。(といっても△◇組か、または他の組か、などという細かな情報をどこまで裁判所が重要視したかは不明)
この差が判決の差であるかもしれない、とも若干思わなくもないと私見。
Q.誰が何の目的で街宣車の動画をアップロードしたの?
A.新潮社裁判「不明」 日刊ゲンダイ裁判「依頼プロセスの関係者」
新潮社判決文では判断していない。日刊ゲンダイ判決文では「いやがらせしていた人間の誰かが対象企業への風評被害を拡大させるために字幕を付けて見やすいカメラアングルでアップロードした」というように読めるような解釈が示されている。恐らく他に示唆されるスパムメール等と並び、「俺がC社に対してなりすましメール、サーバーへの攻撃、あと現地に街宣車送付して、更に街宣車から発せられる暴言の様子をアップロードして拡散してやる!」などと画策し実行した人間がいたのではないか、と判断されている、と私見。
Q.三崎優太氏にあった反社との人脈って具体的にどのようなもの?
A.判決文で採用されていないが、複数の証拠が提出されている。例えば△◇組など。
・越山氏の証言
・メッセージ履歴
・動画3つ
以上から、少なくとも暴力団の構成員、特殊詐欺グループ首謀者、薬物使用で逮捕された吉澤和真など、反社性を有する人物らといくらかの交際関係が複数回あったことにはほとんど疑いの余地はない。ただしどこの組であるかなどは完璧に特定できていなかった部分があり、実際に新潮社は部分的に間違っていたため、三崎氏側は「越山氏が証言する反社会的勢力は存在しない」などと当初は反論している。(後に訂正され、どこの組か判明したようである。)
直接的に「三崎氏が反社の人物に街宣車を依頼した場面、文面、支払い契約書」など、一発アウトとなる証拠までは存在しないが、反社会的勢力に繋がることのできる「人脈」はあったのだろうと思われる。ただし、提出された証拠によって三崎氏の周辺事情は考慮された可能性はあるが、判決文においては明確に事実認定されてはいない。
Q.越山氏が街宣車の状況証拠を捏造した可能性もあるのでは?
A.ゼロではないが、その可能性は非常に低い。
三崎氏側も、越山氏が証拠を捏造できた可能性から信憑性を崩そうとはしていない。ある意味、完全に空想ではあるが越山氏が街宣車を手配した人物であれば、当然ながら2つの街宣車事案について深く知り得、うまく三崎氏に疑いが向くようにしかけることも不可能ではないだろう。だがこれは空想でしかない。
現実的に考えて、2016年、街宣車事案1の発生当時は越山氏と三崎氏は蜜月の時だった。またC社の青汁商品と競合する商品は三崎氏のメディアハーツには存在していても、越山氏のアスクレピオス社には存在しない。越山氏はC社と直接的な競合関係にない。
また2017年、街宣車事案2の当時も同様に越山氏と三崎氏は蜜月の時期と言える。しかもメディアハーツ内部の経営権争いという公表もされていないような事情を、いくら三崎氏の近くにいたとはいえ別会社の越山氏が深い事情を把握し、忖度または罪をなすりつけるために三崎氏と敵対する人物にまで犯罪行為を行うとは考えづらい。
威力業務妨害罪になりえる犯罪的行為を、2017年当時の経営者として順調だった越山氏が、独自に三崎氏の敵対者を攻撃するために実行する可能性はとても低いだろう。
またC社との和解契約書についても、越山氏とC社Kc氏との間で引き渡しに関する録音データが証拠として提出されている上に、秘密保持を破って和解契約書を流出させたKc氏は処分されているとのことなので、経緯に関して個々の人物の法的また道義的な責任はありえるが、少なくとも越山氏が証拠を捏造できるような可能性はほとんどないだろう。
仮にありえるとすれば、越山氏または周辺人物に街宣車情報マニアがいて、YouTubeの街宣車動画を収集していたらたまたま三崎氏と争っている2社でたまたま同じ街宣車がたまたま似たような撮影手法で動画を撮影し、たまたま匿名アカウントでアップロードしていることを発見し、この奇跡的偶然を活かして会社乗っ取りをしようとした、というストーリーを想定する必要がある。しかしこのような空想を認める人間はほとんどいないだろう。
Q.日刊ゲンダイは新潮社よりも取材方法がおかしいのになぜ勝てたのか?
A.取材方法は主に真実相当性の問題
新潮社側また日刊ゲンダイ側の両被告側は、裁判上、体裁として「取材は適切に行った」ことを主張している。なぜならもし真実性を立証できれば当然勝訴するが、仮に立証できなかった場合、取材方法が適切であれば「真実相当性(=誤認相当性)」が認められ、真実かどうかはわからないが違法ではない、という勝ち方も狙えるため。そのため一般的には、実際問題は取材したところで大して情報を得られるわけではないとわかっていても、一応は何らかの取材をしたという体裁を主張しようとするものである。
日刊ゲンダイは、三崎氏が疑惑を否定する主張を併記する新潮社記事を参照した上で、そこから何も取材せずとも今ある証拠資料だけで真実性を立証できると踏んで記事を掲載したのだろうと思われる。
新潮社側は当初、三崎氏と越山氏の主張を両論併記したのでそもそも三崎氏の社会的評価が低下する内容ではなく、単に裁判の過程を紹介しただけであって名誉毀損にはあたらない、と主張していた。対して日刊ゲンダイ側は「社会的評価の低下」について特に争っている形跡がない。
また新潮社側は真実相当性による勝ち筋も主張するために、取材方法についてもしっかり行った旨を主張している。(ただし判決では、全然足りないと判断された)。対して日刊ゲンダイ側はあまり熱心に真実相当性を主張するつもりはなかったようで、「新潮社の記事を読んだら新潮社が取材しているようだったので、改めて取材する必要はない」という旨を主張している。やや苦しい言い訳であるが、何も言わないよりは、という考えでとりあえず形式上だけの主張をしたのかもしれない。
もっとも本件において日刊ゲンダイは、「真実相当性(=誤認相当性)」という言い訳をせず、真実性一本で立証することができたため勝訴した。言い切ると表現に問題はあるが「どのような取材方法を行ったか、という議論は、真実相当性による違法性阻却を狙う時にだけ意味がある」という風に本件ではわかりやすく考えていいかもしれない。そして恐らく新潮社裁判ではそもそも越山証言と和解契約書の評価が芳しくなかったため、まるで真実性の立証を認められておらず、仮に取材方法をより厳密に行ったとしても違法性阻却(=請求棄却)とはならなかった可能性がある。
Q.他裁判で三崎氏が勝訴しているのだから、総合的には勝ってるのでは?
A.裁判はそれぞれ別々に見るべき
週刊誌と越山氏側が現在敗訴している訴訟は、議決権行使停止の仮処分、アスクレピオス社の経営権をめぐる訴訟、新潮社裁判などあるが、三崎氏の反社との関係、特に街宣車事案を中心とした裁判は新潮社裁判と日刊ゲンダイ裁判だけである。他はアスクレピオス社の会社の資産や権限なども含まれる更に複雑な事件であり、仮に三崎氏の反社との関係が立証できたとしてもそれだけで越山氏側が全体的に勝てるようなものではない。
よって、「青汁王子こと三崎優太氏は反社と通じ、ライバル企業に街宣車を押し掛けさせた」という事件の真実性は、新潮社と日刊ゲンダイの裁判が特に専門的に扱うものである。
この数々の裁判の中で、新潮社裁判他は「三崎氏が反社と通じて街宣車を送った」ことを立証できなかったが、日刊ゲンダイの裁判ではこれを立証できた。「新潮社他では立証できなかった=真実でない」というわけではない。あくまで新潮社他が立証できなかっただけである。日刊ゲンダイ裁判とほぼ同じ証拠とはいえ、弁護士の立証の仕方や、尋問の心証、記事の若干の表現の差なども考慮されたことだろう。
よって、より正確には「新潮社は立証に失敗した」「日刊ゲンダイは立証に成功した」と表現すべきである。繰り返し述べるが「新潮社に勝って日刊ゲンダイに負けた三崎氏は、一勝一敗なので反社とのつながりは立証されていない」という解釈は誤りである。「新潮社は立証に失敗したが、日刊ゲンダイは成功したので、結果的に、三崎氏と反社とのつながりは立証された」と解釈する方が普通だろう。
三崎氏にできる限り擁護的な見方をするとしても「裁判所でも判決がわかれるほどギリギリの難しい裁判だったが、惜しくも日刊ゲンダイでは敗訴し、反社とのつながりが真実であると認定されてしまった」と言うべきだと思われる。ただし、今後もし控訴され高裁判決で逆転した場合はこの限りではない。
※(個人的な)時系列まとめ※
ここまでの主張を簡易にまとめる。なおあくまで双方の主張を考慮してまとめただけであり、個別事案の正しさは保障しない。
2014年?頃 三崎氏、越山氏と知り合う
2016年7月 C社で街宣車事案1発生(越山氏が知ったのは8月6日)
2016年8月 三崎氏、アスクレピオス社株式60%取得(越山氏は街宣車既知?)
2016年11月 三崎氏が街宣車事案について新田龍氏から取材受け、否定
2017年4月 S社Ks氏の周辺で街宣車事案2発生
2018年1月 三崎氏、税務署から狙われる
2018年5月 和解契約書を作成する(成川弁護士)
2018年6月 和解契約書について相談する(齋藤弁護士)
2019年2月 和解契約書は捏造だったと説明(齋藤弁護士)
2019年4月 三崎氏、暴力団関係者と複数回会食?
2019年9月 三崎氏、脱税で執行猶予付きの有罪判決
2020年1月 越山氏がC社のKc氏から和解契約書コピーを入手
2020年1月 C社Kc氏が見解180度変更