YouTuberはみんな躁鬱
YouTuberはみんな躁鬱だと思う。
知っている人も多いと思うけど、僕はふだん、自分一人で撮った動画を自分一人で編集して自分一人でネットに上げてお金を稼いでいる。登録者は14万人。多すぎも少なすぎもしない。
躁鬱じゃないとYouTubeなんてできない。……というのはさすがにちょっと盛りすぎてるけど、何かしらの躁状態じゃないと、自分がひとりでペラペラ喋ってる動画を自分で編集して誰かに見てもらいたいなんて思えないだろう。
周りのいわゆるYouTuberを見ていても、成功している人はわりと繊細で、精神的なアップダウンの激しい人が多いように思う。もしくは24時間ずっとパワフルな最強人間。そのどちらかが多い。
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ちょうど昨日、YouTuberのコスメティック田中も、動画を上げていないときは鬱のようになっている、と言っていた。これだけのペースで活動している優秀な人が……!と驚かされるが、そういうものなのだろう。それはYouTuberに限らない。僕たちはみんなどんどん躁鬱になっているんじゃないか、とすら思う。
僕たちのやっていることは、24時間365日数値で計量されていて、YouTubeはじめ、SNSではそれが苛烈に可視化されている。動画をアップすると、YouTubeのアプリからその動画の再生回数のパフォーマンスを数値で確認できるのだが、その数値は異常にわかりやすく自分のしたことの「需要のあるなし」を教えてくれる。
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SNSはいつも僕たちを躁鬱にする。憂鬱にするんじゃなくて躁鬱にする。
あたりまえといえばあたりまえだ。人間に脳内麻薬を出させて依存させるのがSNSという商売のメインの趣旨だから。いいねもRTもスキもシェアもとにかく僕たちを依存させるためにデザインされている。
SNSのおかげで嬉しくなることもいっぱいあるし、SNSのせいで悲しくなることもいっぱいある。怒ることもあるし、バカにすることも、されることもある。
アメリカの巨大企業の超エリートが、僕たちに脳内麻薬を出させるためにいつも頑張ってくれている。いつも脳内麻薬をいっぱい出させてくれてありがとう♡
とりあえず、ここから抵抗を始めなくてはいけない。方法はあまりよくわからず、とりあえず今なにかを書くところから始めようとしている、のだが、その媒体がnoteというSNSしかないのが辛いところだ。
ここから出してくれ!!!僕たちは閉じ込められている!!!!!
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僕は12の時から2ちゃんねるを見ていて、14の時からずっと廃人みたいにSNSをやっている。
いま24で、中1か中2くらいの頃にスマホが周りで流行りだした世代なので、たぶん、幼少期からスマホが当たり前な今の10代と、大人になってスマホに触れた今の30代の、はざまの世代なんだろうなと思う。
たぶん中学生のときに永遠に2ちゃんねるを見ていた(まとめサイトから始まって、最後の方は普通に書き込んでいた)時間がなかったら、今こんな生き方もしていないだろう。あのときの2ちゃんねるは今のTwitterよりもキモくてアングラくさくて面白かったけど、あれを見てしまったせいで不幸になっている予感も強くある。
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正直に言って、この話に結論はない。結論があればその結論一個で、世界を変えられるだろう。
知り合いを見ていても、詩人も漫画家もフリーターもメンタルクリニックに通ってるし、サラリーマンも大学生もYouTuberも、調子が悪くなったらずっと家で寝ている。べつにSNSに関係なく誰だって気分の浮き沈みくらいはあるだろう。僕だってある。
ただ、今この2022年に、大人が「SNSから距離をおいて健康になろう」とか言うのは嘘くさすぎると思う。だからそうは言えない。
物心ついたときからずっとSNSが当たり前の世代にはたぶん、SNSから離れる選択肢がない。俺は中3でLINEを始めたけど、小2からSNSやってるやつはどうしたらいいんだ。そういうのはおじさんにだけ許されたズルだと思う。
そもそもSNSがなかったら僕らは出会えなかったのに、文句だけ言うのもずるい。たくさん嬉しいことがあった。数えていけばきりがないはずだと思う。
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だからとりあえず、いまの僕はYouTubeもTwitterもInstagramもやめるつもりはないし、頭がおかしくなっても死ぬまで続けようと思っている。別にみんなにそうしろ、って言うつもりはない。
ただ、SNSがやめたくてもやめられない、みたいなことで苦しんでいる人がいるとすれば思う、別にSNSやめなくていいよ、無駄なことなんかなくて、ぜんぶが無駄だから。死ぬその瞬間まで、だれも生きることをやめられない。
2022.12.09 青松輝
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