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針の種類、糸の種類

「あのね、手をちょっと見せてもらえる?…あら、私とあんまり変わらないわ、じゃあ同じ『しのさん』で大丈夫かな~」

佐古先生はすらすらと、また不思議な事を言った。

『しのさん』? 人の名前ではなさそう。発音が違ったし。そう思っていると、佐古先生が流れるように説明を始めてくれた。

曰く、和裁に使う針はその太さと長さが漢数字二つで表されているそう。『しのさん』は『四ノ三』と表記され、最初の数字が針の太さ、二つ目の数字が針の長さを指すという。一般的な和裁で使われる針の太さは『三』か『四』、教科書的には『三』が木綿などの反物用で、『四』が絹の反物用だそうだ。

「でもね~私、『四』の針の方が使い勝手がいいし、すいすい縫えるし、木綿も絹も全部『四』の針で縫ってるのよね~」と佐古先生はさらっと言う。だったら別にそれでいいやと思って始めたので、私も今でも全部『四』の針で縫っている。最初の師匠の影響はすごい。

二つ目の数字が針の長さ。『三』が最も一般的なようだけれど、『二』とか『四』とかもあるらしい。殆ど見たことはありませんが。

先生から針の説明を受けてから、実家の祖母の裁縫箱を探してみたら、わさっと針が見つかった。外国製の針には『No.9』とか書いてあって、和製の針には、先生が仰っていたように漢数字表記のものもあれば『つむぎえりしめ』とか『きぬくけ』とか名前がついている針もあった。使う予定は無いけれど、何となく処分する気にもならず、そのまま裁縫箱に仕舞ってある。

クローバー社製の針、金亀社製の針が有名らしいのだけど、私が持っているのは佐古先生のお気に入りだった「藤七」社製の『四ノ三』。手持ちの針が無くなったら、次に購入できるかはわからない…という事で大事に使ってはいる。

糸は、基本を言えば反物の材質と合う糸を使うそう。絹の反物は絹の糸で縫い、木綿の反物は木綿の糸で縫うといったように。絶対にそうでなければいけない訳ではないけれど(木綿の反物を化繊のミシン糸で縫うとか)、出来る限りは都合をつけるようにはしている。

絹糸はタイヤー社製かオリヅル社製が殆ど。手縫糸は見ていて美しく、色合わせが楽しい。糸を全部購入するのは大変なので、一応、糸色見本は持っている。趣味が高じてというやつですよ、実際は使う機会が殆どなくて、ちょっと悲しい。一度はありとあらゆる糸を広げて、加賀のゆびぬきの色合わせとか友達としてみたい。

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