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変わる、変わっていく
朝の薬がなくなった。
今日、病院に行ったら、いつもの受付の人(みなさんご存知の)が、妙に機嫌が良かった。
私を診察室までわざわざ案内してくれて、どうぞ、と扉まで開けてくれた。こんなことをしてくれたことは、2年間通ったけど一度もなかった。今日はなんだか、いい風が吹きそうだなあ、と、いい気持ちで、診察室に入った。
そしたら先生が、調子はどうですか、という。
寝れてますか、食べれてますか、楽しいことはありますか、笑うことはありますか、お友達と話すことはありますか、いろいろ。私は、すべての質問に元気に、はい、はい、と答えた。
すると、先生は
お薬減らしてみますか。という
え、先日減らしたばかりなのに?と不思議に思うも、何かの手違いかなと思い
はあ
とかなんとか言ってみる。先生は、最近の微熱さんの様子がよろしいようなので、思い切って朝の薬を全部無しにしてみてはどうか、という。
ええ、そんなことってできるの?
少なくする、だと思っていた。びっくりした。全部なくなるなんて。もちろん夕方のお薬はそのままなんだけど、朝のがすっぽりなくなるなんていうのはちょっとびっくり。
じゃあ、そうしてみます。お願いします。と、とりあえず言ってみた。
薬局に行くと、薬剤師さんが驚いていた。
微熱さん、先生から朝の薬の連絡がありませんが、これで正しいんですよね?と聞かれる。私もよくわかりませんが、これでいいみたいです、と答える。
きっと、いい調子ということなのでしょうね、と私と同じ歳くらいの薬剤師さんはニコニコしていた。
この方は、私にとっていつもまぶしい存在だった。いい仕事があって、毎日働いて、必要とされて。髪型もいつも整っていて、メイクも可愛い。優しくて、丁寧に対応する。私と同じくらいの年数生きているのに、こうも違うか、と落ち込んだ時もあった。こういう人間になれたらよかったな、と薬局にくる度に思っていたものだ。
そんな憧れの人が、私の薬の量を見て、喜んでいる!
私は有頂天になって、薬局を飛び出した(イメージ)。家に電話をかけて、ばあちゃんにすぐに伝える。ばあちゃんは、朝の薬が全部ない、ということがピンとこないみたいで、うーん?という感じだったが、家に帰って改めて説明したら納得した。
明日の朝から飲む薬がない、なんて。不思議な感じだ。もうルーティンになっていた朝の薬。2017年からだから、5、6年飲んでいたことになる。それがなくなる。
夫にいうと、いつものように「いいね!」と言われた。夫は何を言っても「いいね!」という。痩せた、というと「いいね!」といい、太った、というと「いいね!」という。
脚の毛を剃ったよ、というと「いいね!」というし、また毛が生えてきた、と見せると「いいね!」という。今回もそう言った。
お祝いに近くの和菓子屋に饅頭を買いに行くことにした
麦こうせんという。みなさんはご存知だろうか。ちょっとしょっぱい、塩まんじゅうというところ、麦の味がして美味しい。
意気込んで行くと、なんと、閉業していた!なんてこと。ずっと通っていた店なのに。それこそ、もう2年間くらいお世話になっていた、なじみの和菓子屋だったのに。
2年間のルーティンがまた一つなくなった。色々が変わって行く。今と同じではいられない。
何事も変わって行くものなんだなあ、と夫と話しながら川辺を歩いた。
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