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ヒトが苦手な夫のはじめての友達

夫に仕事をやめるように言いました。そして、まずは一人で日帰り旅行にいくようにいいました。


夫はいつも私と行動を共にしています。好きでそうしているようで、私が友人と会うとちょっと悲しそうな顔をして見送ってくれます。うちの夫は顔がとうもろこしに似ているので(本人もそういっています)、遠くから見るとしょんぼりとしたとうもろこしのよう。


夫は中学、高校と不登校で大学は人と極力話さずに過ごしたようです。たまにグループワークなどがあり本気で悩んでいて、成績はいいしなんでもできるのに、人と交流しながら仕事を進めていくということがどうしてもできずにいました。


その話をすると、今でも私たちがどうやって出会って交際に至ったのかと不思議に思う人がたくさんいるようですが、なんでも私がリードした形で、夫はそれに従い、今日まで楽しくやってきました。


私は夫を「マイスちゃん(Mais:ドイツ語でとうもろこし)」とか「コーンスープ男」とか呼んでいます。ちょっとからかいたいときは「もろこし野郎!」とか言います。夫はとてもうれしそうにしていて、私がしばらく呼ばなくなると「最近、あまりとうもろこしらしくない」と言って髪を切りに行きます。昨日もいっていました。


そういうわけで私と離れないので、一度ちょっと離れて誰かにあってくるといい、と提案しました。夫はそれを聞いて少し寂しそうにしていました。自分に離れてほしいってこと?もう嫌になったのかな、とすこし落ち込んでいたのです。


するとすごいタイミングで、前の会社の社長から連絡が来ました。名古屋に行く用事があるからよかったらお茶でもしないか、ということでした。


実は驚きませんでした。実は私の夫は、けっこう人気者なのです。



近所のパン屋は夫と行くと必ず1つサービスしてくれます(私が一人で行くと気づくことさえしない)。近所の銭湯ではサウナでありとあらゆるおじさんに話しかけられ、出てこれずにのぼせたこともあります。美容師さんは「本物の金髪を切るのは初めて!」と大興奮し、カットモデルを頼んでくれたりヘア製品をプレゼントしてくれたりします。


その他も、会社の面接をしたりすると「残念ながらご期待に沿うことはできませんが、もしよろしければご連絡先を教えていただけませんか。長野に行くときにはぜひお会いしたいです。」みたいな、つまりは内定だせないけどトモダチになろーぜ的なメッセージが寄せられることが多いのです。


だから夫のラインには元面接官のみなさんがずらり並んでます。クリスマスとかに「メリークリスマスです」「ドイツのクリスマスが恋しいですか」とかきます。なんだよこれは。


そういうわけで、今年の3月まで働いた会社からの連絡にどぎまぎしていた夫でしたが意を決して名古屋でお茶をすることにしたそうで。日本で初めてのオトモダチなわけです。


おしゃんつなナイキのシャツとチノパンを買い込み、破れた財布(何で小銭が落ちないのか本当に不思議)を新調(ダイソー)しました。いま、バスにのって出かけていきました。私も夫も、久しぶりの一人時間を過ごしています。


そういえば、夫は長野県のある会社で働いていたことがありました。日本に来て初めての仕事で、長野の北の方にある大企業の下請け会社でした。半導体とかなんとかいってたな。


そこでは本当によくしてもらったようで、夫はいまでもその会社の話をします。外人で背が高くて金髪、ということだけではなく、その割には物腰がやわらかかったり、外人の顔なのにいきなり敬語で話したりするから面白がられてかなりちやほやされたよう。


その話がなんだか愉快なので、次の記事で書きたいと思います。こうご期待!






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