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歴史考察 #147『顔が人間で下半身が鳥の絵』

ね、ちょっと見て!すごいの発見!
娘が指をさした方向へ顔を向けるとそこには...

「顔が人間で下半身が鳥」の絵がありました。
おおっ、昔はこんな動物もいたとか???

それは豊臣秀吉の正室「北政所(ねね)」が、秀吉を弔うために創建したお寺・高台寺に新しく建てられた利生堂(りしょうどう)の「涅槃図(ねはんず)」に描かれてありました。

「涅槃図」とはお釈迦さまが入滅(お亡くなりになる事)した時の様子を描いたもので、様々な形をした人間はもとより、象や虎等の動物達も悲しみにくれている様子が描かれていました。

それにしても気になるのは「顔が人間で下半身が鳥」の絵です。
あれはいったいなんなのだろう?と調べてみました。

するとそこから思わぬ展開となりました。

まずわかったことは、「顔が人間で下半身が鳥」の絵は「迦陵頻伽(かりょうびんが)」という想像上の鳥であることです。

「迦陵頻伽(かりょうびんが)」とは、サンスクリット語kalaviṅka(カラヴィンカ)の音訳で、 インド神話に登場する極楽浄土で法を説く美声の鳥とされ、美声ゆえに「仏の声」とも言われるそうです。

美声の鳥、そして、かりょうびんが...

ここで私はある音楽グループを思い出したのです。
それは...上田知華 + KARYOBIN(かりょうびん)です。

上田知華 + KARYOBINは、70年後半から80年前半にかけてヒット曲を生み出したバンドで、80年の三洋電機のCMに使われた「パープルモンスーン」が有名ですね。

上田知華さんのヴォーカルとピアノ、そして音大時代の後輩で構成された弦楽四重奏団というバンドで、知華さんの透明でパワーを感じるヴォーカルとシンプルな弦楽四重奏がとても心地よく大好きなアーチストの一組でした。

話は KARYOBIN(かりょうびん)に戻りますと、当時の私には耳慣れないワードで、どんな意味があるのだろうと思いながらも調べることもなく40年が過ぎました。

まさか高台寺の涅槃図にそのヒントがあったとは...

ちなみに四人舞の雅楽の演目に「迦陵頻(かりょうびん)」というものがあり、現在のインドにあたる天竺(てんじく)の祇園寺(ぎおんじ)供養の日に、極楽浄土で仏を供養すると伝えられる鳥、迦陵頻伽(かりょうびんが)が集り舞うのを見て、音楽をつかさどる女神・妙音天(みょうおんてん)がこの曲を奏したといわれ、京都には妙音天を祀る神社(白雲神社)もあるようです。

いずれにしましても涅槃図は、描かれているひとつひとつにストーリーがありそうでとても興味深いですね✨

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