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【ラ・トラヴィアータ 誕生の秘密/その③】

下記の手紙は、《ラ・トラヴィアータ》の台本作家となるフランチェスコ・マリア・ピアーヴェが、1852年10月20日にフェニーチェ劇場に宛てた手紙です。

この中でピアーヴェは、今度ヴェルディがフェニーチェ劇場のために書く新作オペラの題材がようやく決まったことを知らせていますが、手紙にあるように当初ヴェルディとピアーヴェは別の題材によるオペラの台本を完成させていたことが分かります(一説にはこのオペラは《運命の力》とも言われています)。

ヴェルディがそのまま《運命の力》とも言われる台本に作曲をしていたら、ひょっとしたら《ラ・トラヴィアータ》は生まれていなかったかもしれないという事実を伝えるとても興味深い手紙です。

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サンターガタの人里離れた土地より
 親愛なるブレンナ、今や私たちにとって対面の時です。
台本は既に素晴らしくそして完成していて、私は帰りがけでしたが、その時ヴェルディは他の題材に燃え上がり、そして私は・・・、そして私は5日間、黙って静かに今この瞬間に書き写し終えたメモを取らなければならず、そして彼は資格を与えるために、明日それを理事会に送るでしょう。
 私はヴェルディがこの作品を立派なオペラにしてくれると信じています。なぜなら、これはとても興奮させるものだと思うからです。それゆえ、時間が迫っていますので、他の皆さんに物事を急かして下さい。そして私もアーメンと言うのを楽しみにしています。
 それゆえマルツァーリの田舎の楽しい優雅な暮らしよさようなら、親愛なる愛すべきトルニエッロよさようなら・・・世界もさようなら!私はここに長く滞在しなければなりません(永遠にではないので、神に感謝します)。
 全てがうまくいき、そして私たちは、この現代和声の真の魔術師の新しい傑作を手にすることができるでしょう。

(「Marcello Conati著『Verdi e La Fenice』/1983年」より)

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