見出し画像

【四季を生きる vol.6】

こちらはおよそ3年前の晩秋のある日に、品川駅の歩道橋からJRの横浜方面に向いて撮影したものです。

『ことばの歳時記』で10月14日のページを紐解いてみると、そこには「道行き」というタイトルがありました。
なんでも、14日は鉄道記念日のようです。

明治5年9月13日(旧暦)に、新橋から横浜までの約25キロにはじめての鉄道が開通した。

明治5年は西暦でいえば1872年で、今から148年も前になります。

当時の人々はこれを「陸蒸気」と呼び、これに乗ろうとする者は、二度と会えない現世の別れを涙とともにした、いってもあながちオーバーな話でもなかったようだ。

との記述がありました。
今では技術の進歩のおかげで鉄道に限っても様々な交通網が発達し、新橋から横浜であれは通勤通学圏内と捉える人も多く、日帰りでも楽な距離のように思えます。

交通手段が違えば人々の生活もそれはそれは変わるのだろうなあ。
きっと今よりもっと地域密着型な生活をしている人が多かったんだろうなあ。
そこに優劣の差はないだろうけれど、どちらの生活が私の性にあってるんだろうなあ、なんて考えました。


話を鉄道に戻すと、金田一先生は「鉄道」と聞くと誰でも思い浮かべるであろう曲として大和田建樹作詞の『鉄道唱歌』を挙げています。
この歌では新橋を出発して東海道線に沿って神戸まで延々と歌が続くそうです。
新橋から横浜までを聴いてみたら、なんとなく聞き覚えのあるメロディーに合わせて、駅名とそれぞれの特徴が歌われていました。
私は新橋から品川は一時期通学圏内であった上に、横浜という地が大好きで年に2,3度は足を運ぶので歌に耳を澄ませるのが正直すごく楽しかったです。
この『鉄道唱歌』は、1899年に発表されたみたいなのですが、121年も前の地理が歌われているので、今の光景とは全く違う特徴も歌われており、それも興味深かったです。

歌で沿線の地理を覚えさせようとしたのだろうと記述されていましたが、いいアイデアのように思えます。
文字を基調とした文献にも同じことが言えますが、このように歌として現存していることで、言い回しや表現が時代を経てどのように変わったのかを知ることができたり、この歌に限っていえば地理がどのように変化したのかさえも垣間見ることができます。
思えば幼い頃、『きらきら星』のメロディーに合わせてアルファベットを覚えた記憶があります。また、中学校での英語の授業や高校での古文の授業でも、先生がメロディーに合わせた覚え方などを教えて下さったおかげでスラスラと覚えられたような気がします。

音楽と言語教育の関係って面白いし、色々なところで活用できそうだなあ、と思ってワクワクした1日でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?