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その144 国盗り合戦 偵察

会社の同じ部署に20年以上いると、その部署の改善、改革、発展・・・よくしたくなるという思いが自然と湧いてきます。それなのに、途中から異動できた人が、彼の出世欲でかき回し始めることがあります。最初のうちは彼らは改善、改革の協力者の姿をしていますが、実は腹黒く自らの出世の足場にしようというものが見えてきます。

WIN95以前の頃、業務用システムは一部の頭脳集団によって作られていました。集団ならまだいいと思うのですが、個人に頼ってしまうことが多かったです。最初の担当者TNはコンピューターにはめっぽう強いのですが、実務の経験がほとんどなく、実務者へのヒアリングをしただけでシステムをどんどん構築していきます。
結局、形はできて、上層部はシステムができたので業務効率ははかどるはずと勘違いして実務に降りてきます。痒いところに手が届かないシステムなので、仕事はシステムに合わせざるを得ません。使うはずのシステムなのですが、システムに使われるようになります。

そこにリーマンショックなどのリストラがあると、最初に手を挙げるのはコンピューターに強い人たちです。TNは自分に自信があるのでしょう。より条件のいい会社に移っていきました。するとシステムのメンテナンスは滞ります。
WIN95以降になると、専門家だけでなく一般社員にもシステムを作ることはさほどハードルは高くありません。実務者の中でコンピューターに自信のあるものが増えてきて、実務者自らシステムを作ってしまいました。実務者が作ったシステムなので、痒いところに手が届きます。システムの改善も簡単にできるようになりました。

今度は、時が経っていくと実務の作ったシステムでは、対外的に開示するのに信用が担保できないとか、作った人がいなくなったらどうなるか保証がないといったことを言う人がでてきました。
それではと、社内のシステム専門部署に、ほぼ同じシステムを作ってもらい、社内管理状態にしようということになりました。

TKという人物が、システム管理部署の実務代表として私たちの部署に一時的に異動してきました。目的は、せっかくシステムを作るなら、更に使いやすいようにいろいろな機能を付加しようというのが目的のようでした。TKは部門のそれぞれの部署にヒアリングをしたり、代表を集めそれぞれに関連する流れを把握していきました。

TKは、人当たりも良く、腰も低く、部門に溶け込んでいきました。飲み会なども率先して設定したり、花見などのイベントでも幹事をしたり場所取りなど、気の使いようはすごかったです。いつのまにか部門内の何でも屋、便利屋という存在として認知されるようになりました。

TKはシステムをつくることが業務上の目的でしたが、彼としては会社の中枢であるこの部署の業務について学習することが目的だったようです。システムをつくることには自ら手を挙げたようです。

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