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【ラジオ出演】Vegetable Record × J-WAVE GOOD NEIGHBORS 2021.10.14

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写真左よりクリス智子氏、Vegetable RecordのSyotaro HayashiとRyota Mikami。J-WAVE「GOOD NEIGHBORS」にSyotaro HayashiとRyota Mikamiが出演しました。

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Vegetable Record / ベジタブルレコード
「音楽の新しい楽しみ方・価値観を創る」をコンセプトに掲げた、音楽レーベル。ソロアーティストのSyotaro Hayashi(写真左)とRyota Mikami(写真右)により設立。デジタル/商業空間/プロダクトなどあらゆる対象を、CD/カセット/レコードと同じ音楽のメディアとして捉え、建築空間やプロダクトに対して音楽作品をリリースするように「音楽を使った空間デザイン」「音楽を使ったプロダクトデザイン」などを手がけている。ワークショップやライブ、インスタレーションも多数開催。

音楽レーベル「Vegetable Record」について

クリス智子:J-WAVE「GOOD NEIGHBORS」。J-WAVEも後援している墨田区のアートプロジェクト「隅田川 森羅万象 墨に夢(すみゆめ)」にて、音楽のインスタレーション「Songs for すみだ名所 ~東京スカイツリーを音楽で表現する~」を発表される、Vegetable Recordの三上僚太さんと林翔太郎さんをお迎えしました。よろしくお願いいたします。

林・三上:はじめまして、よろしくお願いいたします。

クリス智子:Vegetable Recordは音楽レーベルなんですよね。お二人はベジタブルレコードにそれぞれ所属をされているという事ですか?

三上:そうですね、ただ僕らしかいないので笑、音楽ユニットとかブランドみたいな感じのイメージの方が近いですね。

クリス智子:なるほど笑 それでは、お二人がベジタブルレコードであり、所属アーティストでもあると。

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空間やプロダクトなどあらゆるものを音楽メディアと捉える

クリス智子:「音楽の新しい楽しみ方・価値観を創る」がレーベルコンセプトということですが、どういう新しさだったり、どういったものを作っていこう、発表していこうとしているんでしょうか?
 
三上:音楽にまつわる色々なことをやっているんですけど、「音楽を使った空間デザイン」という考え方で、ホテルや銭湯の館内音楽や、個室トイレだけで流れる音楽を作ったり、あとは「音楽を使ったプロダクトデザイン」として、専門店とコラボレーションして音楽付きハーブティーや音楽付きコーヒー、音楽付きビールなどを制作したり、空間やプロダクトなどあらゆるものをCDやカセットなどと同じ音楽メディア(記録メディア)のひとつと捉えて、様々な音楽作品のリリースをしています。

クリス智子:うんうん。

三上:ストリートアートとかにも近いですね。美術館やギャラリーではなく、街中にアート作品を発表されてるような。

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クリス智子:何かモノと呼応するように音楽が存在するというか、空間や物ありきという事ですか?

三上:音楽作品をリリースする記録メディアの新しい選択肢というか、「CD、カセットやレコードで音楽をリリースしています」と同じように、「(音楽メディアと捉えて)空間やプロダクトで音楽をリリースしています」みたいな感じですね。

一般的な音楽作品もテーマやコンセプトを設定して作ることがあると思いますけど、僕たちは空間や物から着想を得て音楽を作っています。

Songs for すみだ名所 ~東京スカイツリーを音楽で表現する~

クリス智子:なるほど。それで今回は、お二人が手掛ける音楽のインスタレーション「Songs for すみだ名所 ~東京スカイツリーを音楽で表現する~」ということですが、具体的にはどういった作品なんでしょうか?

林:今作は、葛飾北斎が「冨嶽三十六景」などの「名所絵」で風景を捉えたように、特定の視点から見る景色を音楽で表現する「名所音楽」を制作して、東京スカイツリーを望む3つの場所(東京スカイツリー 天望デッキ、すみだ北斎美術館、小梅橋船着場)に音楽のQRコードを設置して、新しい「音楽の表現方法」「名所の見え方」を探る、といった展示です。

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北斎は富士山を共通テーマにして、色々な場所で絵を描いていますよね。それに倣って、僕らも「東京スカイツリー」を作品の共通テーマにして、今回は3ヶ所から見える風景に対して僕たちは音楽を作りました。

カバーアート_東京スカイツリー®︎天望デッキ
カバーアート_小梅橋船着場
カバーアート_すみだ北斎美術館

クリス智子:3ヶ所はどういった基準で探したんですか?

林:先ず考えたのは、スカイツリーを望む「近景」「中景」「遠景」で選んでいこうと思って、それで幾つか施設や公園など回って、最終的に、遠景が「すみだ北斎美術館」、中景が「小梅橋船着場」、近景が「東京スカイツリー 天望デッキ」で選定しました。近景に関しては、スカイツリーそのものの中に入って内側から見るっていう事なんですけど笑

Songs for すみだ名所 ~東京スカイツリー 天望デッキから東京スカイツリー〜

クリス智子:面白い発想ですね笑 それぞれの現場に行くとQRコードがあって、スマートフォンでかざすと聴けるという。本日はその3つの曲から1曲お持ちいただきましたが、どちらの場所のどういった楽曲なんでしょうか。

三上:こちらは、東京スカイツリーの天望デッキの名所音楽で、「Songs for すみだ名所 ~東京スカイツリー 天望デッキから東京スカイツリー〜」という楽曲です。今回の3地点の異なる3曲には、北斎の「富嶽三十六景」にサイズや構図を変えながらも必ず富士山が入っているように、音楽の共通モチーフ「Motif for 東京スカイツリー」が曲ごとに形を変えて隠されています。

ベジタブル展示02
ベジタブル展示03
ベジタブル展示05

林:例えば中景の「小梅橋船着場」の楽曲は、共通モチーフが近くに聴こえたり、遠景の「すみだ北斎美術館」の楽曲は、共通モチーフが遠くの方で聴こえたり。これからお聴きいただく「東京スカイツリー 天望デッキ」の冒頭に流れるマリンバのメロディが、いまご説明した3曲の共通モチーフ「Motif for 東京スカイツリー」です。「自分がスカイツリーの中にいる」ように、共通モチーフを耳元で鳴らしています。

クリス智子:それでは東京スカイツリーの上にいる、中にいる気持ちで聴いてみたいと思います。Vegetable Recordで「Songs for すみだ名所 ~東京スカイツリー 天望デッキから東京スカイツリー〜」。

クリス智子:なるほど、こんな風に流れるんですね・・・。15分ほどあるんですね。楽曲の中のマリンバとか楽器はご自身で?

林:そうですね。ゲストミュージシャンを呼ぶこともあるんですけど、この曲に関しては僕たちで弾いたり叩いたりして作ってます。

クリス智子:東京スカイツリーってこうかなりドーンってしている感じですけど、その先ほど仰っていた3曲の共通モチーフ(Motif for 東京スカイツリー)はどういう風に作られたんですか?

三上:このモチーフは東京スカイツリーの丸と三角の組み合わせみたいな構造を譜面上で模したり・・・、あとはスパイラル状というか螺旋状みたいになってる雰囲気を上昇フレーズで表してたり・・・笑 かなり抽象的な部分もあるので説明するのが難しいんですけど、一応自分たちの中では腑に落ちるポイントがあって作曲しています。

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クリス智子:そういうのを話し合いながら作ってると。3ヶ所では、場所ごとに展示方法や大きさ、素材が異なる、音楽を視覚化した展示を行っているんですよね?

三上:音楽って目に見えないので、どうやって視覚的に表現しようっていうのはこれまでも色々な方法で試してきたんですけど、今回は北斎が着想源ってこともあって、絵巻物とか浮世絵などの雰囲気も参照しつつ、1枚の絵画の中で同時に色々なことが起きていて、鑑賞する人によって見るポイントが異なる「洛中洛外図」のような僕らの音楽の特性、Aメロ・Bメロ・サビが全部同時に存在しているみたいな・・・、そういった楽曲の雰囲気をビジュアル面でもわかるようにデザインしました。

洛中洛外図右
展示品_東京スカイツリー®︎天望デッキ

クリス智子:音楽のインスタレーションって、視覚化をする・しないを含めて、色々な方法が今はあって面白いですよね。

音楽を視覚化した展示

林:スカイツリーでは3m級の、大きめなぼんやりと風景が透けて見える布にプリントしていて、小梅橋船着場だとターポリンを柵に取り付けていたり、北斎美術館だとコンクリートの地面に敷いて展示しています。

展示風景_東京スカイツリー®︎天望デッキ
展示風景_小梅橋船着場
展示風景_すみだ北斎美術館

クリス智子:そういったデザインもお二人でやっているんですか?

林:はい、自分たちでデザインしています。

サイトスペシフィック・ミュージック

クリス智子:こういう空間の音楽を作るとか、特定の場所の音楽っていうのは、作っていてどのあたりが一般的な作曲と違ったり、面白いですか?

林:周りの環境や土地ならではの背景を僕らなりにリサーチして、汲み取ってからそれを音楽で表現しようっていうところがあるので、例えば地域の民謡から着想してメロディーを作曲したり、その旋律やフレーズに意味を持たせることが多いですね。

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クリス智子:沸き上がってくるものもあるけど、リサーチをして、場所をよく理解して作ると。

機能性のある音楽

三上:僕らは「サイトスペシフィック・ミュージック」っていうのをひとつのテーマにして活動をしていまして、現代アートのサイトスペシフィックアート(=特定の場所に存在するために制作された美術作品および経過のこと)と同じように、その場所ならではの着想源や活かせるポイントを探して、そこから作ったり。「小杉湯」の館内音楽は実際に楽器を浴室内に入れて、銭湯空間の残響を曲に反映させています。あと、最近は「機能性のある音楽」を作ることもあります。

クリス智子:「機能性のある音楽」ってどういう事ですか。

三上:その曲があることでその空間が成り立つというか、特定の空間でこそ一番真価を発揮する曲というか。例えば、「足立慶友リハビリテーション病院」の院内音楽を作った時は、リハビリに使用する長い廊下の中央と両端の3ヶ所に小型スピーカー3台を設置して、同じ調性の尺と内容が異なる3曲を同時に再生することで、歩きながら音楽がグラデーションのように変わっていく、自然と歩き出したくなるような空間を作りました。

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ジュエリーブランドのjanukaと「音楽付きブライダルリング」を作った時は、リングを買うという体験に、音楽を使って「結婚した時の記憶」を付加価値として足したり。

ヤヌカ14

建築とか家具とか照明とか制服とかサインとかと同じように、デザインとしての音楽があっても面白いんじゃないかなと。

クリス智子:ひとつの機能としてそこに音楽がある、と。

三上:そうですね。作曲する側としては、自分だけでは思いつかないような、色々なバリエーションの着想源を得ることが出来るので、単純に楽曲を作るプロセスとしても面白いですし、まだまだ可能性があるというか。

クリス智子:「音楽」という枠の中で、色々な場所に行ったりしながら、様々な活動をされていると。今回のインスタレーションもその一環としてあるんですね。

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三上:音楽のインスタレーションというと、少し難しい印象もあるかもしれないですけど、風景と音楽を一緒に楽しむという、シンプルな作品です。散歩や買い物のついでに、気軽に自由に楽しんでいただけたら嬉しいです。

鑑賞マップ、音楽付きポストカード

林: 3ヶ所は徒歩でも回れる距離にあるので、ぜひ音楽と一緒に名所巡りを楽しんでいただければと思います。鑑賞マップも作ったので、HPのイベントページからアクセスできます。各会場では「音楽付きポストカード」も無料配布していますので、そちらもぜひ探してみてください。

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クリス智子:街を歩くのにも気持ちのいい季節になりましたので、音楽での名所巡り、ぜひお楽しみください。J-WAVE GOOD NEIGHBORS、この時間は、Vegetable Recordから三上僚太さんと林翔太郎さんをお迎えしました。本日はありがとうございました。

三上・林:ありがとうございました。

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<2021年10月14日 J-WAVEにて>

カバーアート_3景

◎企画名
Songs for すみだ名所 〜東京スカイツリーを音楽で表現する〜

◎開催日
2021年10月18日(月)~10月31日(日)

◎会場
東京スカイツリー® 天望デッキ(墨田区押上1-1-2)
すみだ北斎美術館 屋外(墨田区亀沢2-7-2)
小梅橋船着場(墨田区向島1-23番地先)

主催:Vegetable Record、「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会
共催:墨田区
特別協賛:YKK株式会社
協賛:株式会社東京鋲兼
メディア・パートナー:J-WAVE 81.3FM
※「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会事務局は(公財)墨田区文化振興財団が担っています。

夜景撮影:工藤 葵/写真家
https://aoikudoaonisai.wordpress.com

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