0円移籍は悪なのか

「0円移籍は悪」という風潮に違和感を感じるようになった。というか度が過ぎている気がする。

きっかけはある選手の移籍に際して、本人に直接「移籍金は置いていったんだろうな」という声があったこと。明らかにやりすぎだと思う。

もちろんクラブに移籍金を置いていってくれることはありがたい。資金力のないクラブにとっては育った選手が移籍する代わりに即戦力を確保するのは資金的に困難で、せめて移籍金でまかなえたらというのが現実。

ただ移籍金はあくまで「クラブとの契約期間の途中で移籍」するために必要なもので、0円移籍が起きる時は「契約期間を全うした状態」でしかないということ。
この前提を無視すると契約がおかしなことになってしまう。


選手の中で「移籍金を置いていくべき」ということを公言している選手もいる。これ自体は素晴らしいと思う。個人的に大好きな選手である佐藤寿人選手も近い言葉を残しているし、過去実際にベガルタも助けられていることにも感謝しかない。
けどそれは一選手のポリシーで、その選手が称賛されこそしてもサポーターがその言葉を武器に他の選手を叩いていい理由にはならない。


さらにある程度キャリアを積んだ選手はクラブと契約を結ぶ時に契約年数を話す余地があるけど、新卒の選手はどうか。

例えば高卒で4年契約をした選手の4年目。
年齢的にはU23世代のオリンピック前の今のタイミング(仙台でいえば2016入団の椎橋や常田の昨シーズンや2015年入団の西村の2018年のタイミング)

このタイミングでブレイクする選手は珍しくない。にも関わらず途中で延長をしていなければ0円移籍になってしまう。
何が言いたいかというと選手によっては移籍金を残すという手段がないということ。

じゃあ移籍したらだめなのか。
契約が切れるタイミングで他のクラブから声がかかっても、断って複数年結び直して、さらに契約の途中で移籍するのか。
それでは契約の意味がない。

最初に触れた通り移籍金に頼るクラブもある。ただどのような契約を結んでいくかはクラブの戦略と評価にもよるし、選手ばかりを縛ることはフェアではない。

理想論かもしれないけど、主力の移籍で終わらないためにどうクラブが発展していくかの戦略やそれに伴った育成の充実・適切な評価がされるようにクラブに期待するしかない。
選手が迷った時に最後の最後に「このクラブでもっとやろうかな」って思ってもらえる応援をするしかない。

少なくともオファーがくるということはそれに見合う活躍があったはず。助けられたはず。
その時の感謝を忘れないようにしたい。

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