南樺太地名集 〈地名篇野田町〉
本記事では以下の古地図・資料を用いる。
⑴ 樺太庁「野田市街圖」1928
野田
のだ(のた)
帝:Нотосанъ ノトサン / フ' Нутосамъ ヌトサム
現:Чехов チェーハフ
N:47.4386 E:141.9743
アイヌ語由来。野田川、鉢子川の河口部に位置する。野田町役場所在地。旧名ノダサン。地名改正時に定められた地名は野田寒。
[個人的見解]当初は野田寒の名が与えられたが、小田寒と紛らわしいために語末の「寒」が外されたのかも知れない。
|⑨:野田寒(ノダサン) ハ,エ',ヱ:ノタサン ホ,へ,ト,チ,ヌ,ル,ラ:野田寒 オ:ノダサン セ:Нотахсамъ(ノタフサム) い,ろ,に,る,た,つ:ノタツシヤム は,ち:ノタサン ほ:ノタシヤムヘツ へ,を,か:ノタシヤン ぬ:ノタツサン わ:ノチツシヤム よ:野田崎(ノダサン)
浜町
濱町 はままち
帝:ー
現:ー
N:47.4387 E:141.9729
日本語地名。野田市街地内の町名。鉢子川以南を指す。キ-p.55,メ,⑴に見える。
大通
大通󠄁 おおどおり おほどほり
帝:ー
現:ー
N:47.4425 E:141.9740
日本語地名。野田市街地内の町名。鉢子川以北の大通に面した市街地を指す。この大通を以て野田市街地は東西に分かれていた。キ-p.55,メ,⑴に見える。
王子
おうじ わうじ
帝:ー
現:ー
N:47.4499 E:141.9802
日本語地名:王子製紙工場に因む。メに、またキ-p.55に字名として見える。野田市街地の北傍の王子製紙工場地一帯を指す。
南沢
南澤 みなみさわ ーさは
帝:ー
現:Болотная バロートナヤ
N:47.4342 E:142.0256
日本語地名:野田川(南沢)流域に位置することに因む。野田の東3.8km、野田川中流部に位置する。
|⑧:南沢(みなみのさわ)
南豊
南豐 なんぽう?
帝:ー
現:ー
N:47.4353 E:142.0276
日本語地名。学校地名:南豊国民学校。南沢に存在した。
[関連]南豊山
上南沢
上南澤 かみみなみさわ ーさは
帝:ー
現:ー
N:47.4277 E:142.1972
野田の東16.5kmの処、野田川第二支流の流域に位置する。
北沢
北澤 きたさわ きたさは
帝:ー
現:Чеховの一部
N:47.4480 E:142.0011
日本語地名:鉢子川(北沢)流域に位置することに因む。王子製紙工場の東傍、鉢子川の中流部に位置する。
|⑧:北沢(きたのさわ)
梅香
梅󠄀香 ばいか
帝:Байкосакси バイコサクシ
現:ー
N:47.4506 E:141.9679
アイヌ語由来。野田の北傍に位置する。旧名バイカサブシ。地名改正時には売花の字が当てられていた。
|イ,ネ:バイコサクシ ホ:賣花(ハイカサブシ) ホ':バイコサクシ(賣花) へ,ト,チ,シ:賣花 オ:バイカシヤクシ(バイカサブシ) ヱ:バイカシヤクシ セ:Пайка сабуси(パイカ サブシ) い:ハエカルシヤムシ ろ:ハニカルシセムシ は:ハイカラサムシ ほ,ち,を,か:ハイカルサン へ:ハイクルサン ぬ:ハヱカルサムシ る:ハヱカルシヤム わ:ハヱカムシヤムシ
杖遠
杖遠󠄁 つえとお つゑとほ
帝:ー
現:Байково バーイカヴァ
N:47.4633 E:141.9673
アイヌ語由来。梅香の北傍に位置する。旧名チエトウシナイボ。
|⑥:Дзуэто ヅエト ⑨:チトシナイボ オ:ツエトーカンナイボ(チウエトウシナイボ) ヱ:チウエトーウシナイポ ほ:チウへトフサンナイ
久良志
くらし
帝:Красинайбо クラシナイボ
現:Новосибирское ナヴァシビールスカイェ
N:47.4719 E:141.9658
アイヌ語由来。杖遠の北傍、久良志沢の河口部に位置する。旧名クラッシノナイボ。
|⑨,イ:クラシナイボ ホ':クラシナイボ(久良志) ネ:クテシナイボ オ:クラシノナイボ ヱ:クラシノナイポ ほ:クラシノナイホ た:トラシノナ井ボ
小霜
おしも をしも
帝:Битаренрунъ ビタレンルン
現:Байково バーイカヴァ
N:47.4849 E:141.9633
アイヌ語由来。久良志の北傍に位置する。旧名ビタラエンルム(オシモナイボ)。
[参考]この地名の場所は本来ビタラエンルムに当たるので次項の美多良が当てられるべきであり、また美多良の場所はオシモナイボに当たるのでこちらにこそ小霜が当てられるべきであったが何故か逆転している。
|⑨,ネ,ヱ:ビタレンルン イ:ビタルレンルン ホ':ビタレンルン(小霜) い:イエタラインル は:ヒタレヱンルモ ぬ:ヒタリヱンルン る:イタラインル た:イカリヱントモ
美多良
びたら
帝:Осимонайбо オシモナイボ
現:ー
N:47.4934 E:141.9627
アイヌ語由来。小霜の北傍に位置する。旧名オシモナイボ(ビタラエンルム)。
[参考]小霜の項の参考欄を見よ。
|⑨:オシモナイボ/ウシモナイボ イ:オシモナイボ ホ':ヲシモナイボ(美多良) ネ:ヲシモナイボ ヱ:ヲシモナイポ セ:Туммакай(トゥッマカイ) ほ:ヲシユマテウナイ
亜牛
亞牛 あうし
帝:ー
現:Минеральное ミニラーリナイェ
N:47.5114 E:141.9626
アイヌ語由来。美多良の北2kmの処に位置する。旧名アウシニエカンナイボ。
|⑨:アウシカナイボ ヱ:アウシカンナイポ は:アニシ子ナイ た:アユシノツカンナ井ボ
アイトマリ
ー
帝:ー
現:ー
N:47.5204 E:141.9599
アイヌ語由来。⑨,ヱに見える。亜牛と荒鯉の間に位置したが、後世には忘れ去られた。
|⑨,ヱ:アイトマリ
荒鯉
あらこい あらこひ
帝:Аракой アラコイ
現:Выселки ヴィースィルキ
N:47.5245 E:141.9659
アイヌ語由来;arakoy-usi-nay:キュウリウオの沢山いる川。亜牛の北1.5kmの処に位置する。旧名アラコイ。
[類]真岡町荒貝、北樺太アルコイ(Арково-Берег)
|⑨,イ,ハ,ネ,オ:アラコイ
ホ':アラコイ(荒鯉) エ-p.461:荒越(アラコエ) セ:Аракой(アラコイ) ほ:アラコエウシナイ へ,を,か:アラココウシナイ ぬ:アラコベシナイ る:アケコイ た:アルコ井
初志
はつし
帝:Хаппасуси ハッパスシ
現:Сусанино スサーニノ
N:47.5354 E:141.9591
アイヌ語由来。荒鯉の北傍に位置する。旧名ハツパスウシナイボ。地名改正時に定められた地名は初蓮(はつはす)。
|⑥:Хоцухасу ハツハス ⑨,ヱ:ハッパスシ イ,オ:ハツパスシ ホ':ハツパストン ト,チ,ヌ,カ:初蓮 リ,ル,ヲ,ワ,ヨ:初子 ネ:ハツパスーン ほ:ハツハクシ た:ハツパシユシ
桑間
くわま くはま
帝:Гуаманайбо グアマナイボ
現:ー
[1]N:47.5591 E:141.9628
[2]N:47.5424 E:141.9613
アイヌ語由来。[1]昭和期の桑間は初志の北2.5kmの処に位置する。[2]初期の桑間は初志の北傍に位置していた。旧名クアマナイボ。
|⑨,オ:クワマナイボ イ:グアマナイボ ホ':グアムマナイボ(桑間) ネ:グアムマナイボ ヱ:クハマナイポ ほ:コアマナイホ
小岬
こみさき
帝:ー
現:Сергеево スィルギェーイヴァ
[1]N:47.5742 E:141.9604
[2]N:47.5649 E:141.9622
アイヌ語から日本語への翻訳地名;mo-enrum-nay-po:小さな岬の小川。[1]昭和期の小岬は有部沢河口の南傍に位置する。[2]初期の小岬は(初期)桑間の北2.5kmの処に位置する。旧名モエンルンナイボ。
|⑨,オ:モエンルンナイボ ヱ:モエンルンナイポ ほ:モエンルンホ
有部
有󠄁部 ありべ
帝:Чикайнайбо チカイナイボ
現:ー
N:47.5804 E:141.9613
アイヌ語由来。有部沢の河口部に位置する。旧名チーカイナイボ(アリベウイボ)。
|⑨,イ:チイカイナイボ ホ':チカイナイボ(有部) ネ:チカイナイボ オ:チーカイナイボ エ:近󠄁內󠄀保󠄀(チイカイナイボ) ヱ:チーイカイナイポ セ:Чикай найпу(チカイ ナイプ) い,ほ,る,を,か:チイカイ ぬ:チヱカヱ た:ホロチ井ーカ井
埼越
さきこし
帝:ー
現:ー
N:47.5908 E:141.9654付近
アイヌ語由来。有部の北傍に位置する。旧名サキーカルー。
|リ,ル,ヲ,ワ,ミ:崎越 ほ:サキイカコ
知登
ちと
帝:ー
現:ー
N:47.6048 E:141.9665
アイヌ語由来;kamuy-nay-po:神の小川 / chitukan-pira:我らの射る崖。埼越の北傍に位置する。旧名カモイナイボ。
[個人的見解]この地名の直接の由来はほに見えるチトカンピラであろう。
|⑨:知登(カモイナイボ) オ:カモイナイボ ヱ:カモイナイポ ほ:チトカンヒラ ぬ:カムイヲマナイ
辺宇気
邊宇氣 へうけ
帝:ー
現:ー
N:47.6153 E:141.9636
アイヌ語由来。知登の北傍に位置する。旧名ペウケテシカ。
|は,た:ヘウケテシカ ほ:ヘウレテシカ
鵜巣
鵜巢 うす
帝:Уссу ウッス
現:ー
N:47.6301 E:141.9781
アイヌ語由来。鵜巣岬の北東1.5kmの処に位置する。宇巣とも。旧名ウッス。
|⑨,イ:ウッス ホ':ウツス(鵜巢) ネ:ウツスー オ,ヱ:ウツス セ:Уссу(ウッス) ほ:ウチシユツ た:ウツシユツ
釜牛
かまうし
帝:ー
現:ー
N:47.6431 E:141.9850付近
アイヌ語由来。鵜巣の北北東1.5kmの処付近に位置する。リ,ル,ヲ,ワ,ヨ,ソ,ツ,シに見える。旧名カマウシペツ。
[参考]旧名を見れば分かるが西海岸において貴重なpet地名である。
|ほ:クカマウシヘツ
野田町終り
真岡郡終り
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