南樺太地名集 〈地形篇山系の部 知床村・遠淵村・長浜村〉

 本記事では以下の文献を参照した。

★   益富寿之助編集・発行『地学研究』第7巻第6号収録の北原順一「南樺太中知床半島江瀨地方における砂礦床の地球化學」附図


山系の部 凡例

・説明欄では最初にいずれの市町村に属するのかを示す。
・帝政ロシア時代の地名(「帝:」)及び現在の地名(「現:」)の項では以下の路符を使用した。
 гора(山):г.
 хребет(山脈):хр.
 перевал(峠):пер.

ーーーーー

本篇

中知床山脈

なかしれとこさんみゃく 
帝: Тонино-Анивский  хр. トーニナ-アニーフスキー
現:Тонино-Анивский  хр. トーニナ-アニーフスキー       
中知床半島を貫く山脈      
知床村、遠淵村、長浜村及び富内村に跨る。南は知床山、北は豊舞山と中知床半島を南北に貫く。
|イ,ホ:トーニノアニフスキ山脈 ニ:とにのあにふすきー山脈 エ:兄輪山脈


南白浦山

みなみしらうらやま 
帝:ー       
現:г.Анива  アニワ        
N:46.0397 E:143.4160     
知床村域内。アイヌ語由来;sirar:海岸の磯岩。中知床岬の北2kmの処に位置する。標高409m。ツ及びコ-p.188に見える。
[個人的見解]白縫村東白浦、名寄村西白浦との区別の為に「南」の字を冠したのであろう。
[類]白縫村東白浦、名寄村西白浦
|ほ:ホロシラヽエンルン・ホンシラヽエンルン


知床山

しれとこやま 
帝:ー       
現:г.Крузенштерна  クルジンシチェールナ
N:46.0877 E:143.4209     
知床村域内。近泊の北東2kmの処に位置する。重蔵山とも。標高670m。
|⑦:知床山(重藏山) レ,テ,ヒ:重藏山 は,ぬ:シレトコ山

 

三角山

さんかくやま 
帝:ー       
現:г.Обзорная アブゾールナヤ
N:46.1905 E:143.4260
知床村域内。日本語山名:山の形状からこの名が付けられたものか。白岩の北北東5kmの処に位置し、亜庭湾に面している。標高256m。
※④に於いて、恰も中知床山脈に直接連なる山の如く示されているがこれは誤り。


遠登岳

遠󠄁登嶽 とおのぼりたけ とほー
帝:ー       
現:г.Корнелия   カルニェーリヤ
N:46.2119 E:143.4472
知床村域内。アイヌ語由来;wen-nupuri:悪い山。三角山の北東2.8kmの処に位置する。金華山とも。標高544m。
[個人的見解]「ウェン」に「遠」の字が当てられ、後に「とお」と読まれるようになったものか。
|レ,ヒ:金華山 ★:札塔岳 い,ろ:ホヲル山    は:ミヤトホ山 ほ,と:ウエンノホリ を,か:ウエン岳

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