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Old Blood Noise Endeavors Dark Star Pad Reverb レビュー

最近、MNGしたリバーブ、Old Blood Noise Endeavors Dark Star Pad Reverbですが、最高でした

ただ、日本語のレビューがほとんどないので、購入前に知りたかったこと等をここにレビューしておきます
できる限り詳細に機能を紹介することを目指しています。
インプレッションだけ知りたい人は、下の動画を見てください。

とりあえず、下の動画みて、カッコイイ!欲しい!と思った方は買いです

何も考えなくともこういう音が出ます。
もはやインプレッションとしてはこれで十分です。

ちなみに、以下のアルバムは全編を通してDark Starを用いており、主要なサウンドを作り上げているので、聴いてみていただけると雰囲気が分かるかもしれません。


リバーブとしての素性

まず、クリーントーンに薄くかけてイイ感じに響かせようとか、他の音となじませよう、という使い方は出来ません
ジャンルとしてはリバーブなのですが。

理由は、
①プリディレイ(最初の残響音が返ってくるまでの時間)が固定で非常に長く設定されている※1
②リバーブを最小に設定しても、ディケイ(残響音が消えるまでの時間)が結構ながめに設定されている
③ミックス(残響音と元の音のバランス)のつまみを少し動かすと残響音がかなり大きくなってしまう
の3つ。

というわけで、最も基本的なリバーブとしての性質は、かなり大きい場所を想定したホールリバーブorプレートリバーブといったところかと思います。

ちなみに、電源入れてなくてもバイパス音が出たので、トゥルーバイパスだと思います。
っていうか、最近、トゥルーバイパスが当たり前すぎて、あんまり売り文句として出てこないですね。

あと、デジタルものだと「原音はAD/DA変換していません」みたいなことが書かれていたりしますが、Dark Star Pad Reverbについてはどうなっているかは分かりません。


つまみは4つ、モードは3つ

まず、つまみは4つあります。

基本のリバーブに関わるのは先述のミックス(残響音と元の音のバランス)とリバーブ(=ディケイ、残響音が消えるまでの時間)の2つ。
ミックスは最小で元の音のみ、最大で残響音のみになります。
リバーブは最小でも少し長めの残響、最大で発振し無限に残響音が続きます。

注意が必要なのは、リバーブのつまみ。
説明書には、「最大にすると、直前の残響音をロックする」とあります。
そして、もとに戻すには、「90%以下に下げる」必要があるようです。
ともあれ、最大にしたその瞬間に出ていた音が無限に続くイメージですね。
これ、私の個体では3時以降に回すと残響音がロックされました。
恐らくですが、正確にはリバーブのつまみを90%以上にすると残響音をロックし発振させ、90%以下にすると元に戻る、ということでしょう。
ハンドメイドものなので、個体差がある可能性は捨てきれませんが。

そして、このリバーブには①ピッチ、②ディレイ、③クラッシュという3つのモードがあります。
これらはすべて残響音にのみかかるエフェクトで、それを制御するのに、CTRL1と2のつまみが存在します。
ちなみに、このCTRL1と2のつまみには弱めのセンタークリック(真ん中でカチっとなるやつ)があります。
それぞれみていきましょう。


①ピッチモードについて

これは、残響音にのみピッチシフターがかかります。
CTRL1と2はそれぞれのピッチを変化させることが可能です。
最大はどちらも±1オクターブ※2。

つまり、上手くやればCTRL1は完全4度下の音、CTRL2は完全5度上の音をリバーブとして鳴らすことが可能です。

この辺が"Pad Reverb"たるゆえんでしょう。
DTMerなら、シンセパッドでフアーっと音を埋めたことがあるかと思いますが、あれにかなり近い効果が得られます。

あと、ピッチシフターとしての素性はかなり良いかと思います。
和音で弾いてもエラーを起こしてギュルギュル鳴ることはありませんでした。
レイテンシはリバーブという音が遅れるエフェクトの特性上、気になりません。


②ディレイモードについて

このモードは、リバーブ音にのみディレイがかかります。
逆のケースはよくありますが、注意してください。
ディレイ音にリバーブがかかるのではなく、リバーブ音にディレイがかかります。
サウンドのイメージができないと思いますが、ズアッとした音になります。
特に歪ませた後に使うとズアッとします。

CTRL1でディレイタイムを、CTRL2でフィードバックをコントロールすることができます。
公式の言及は見当たらないのですが、ディレイタイムは最小でほぼ0、最大は……分かりません。
残響音というフワッと立ち上がってくる音に対するディレイなので、公式で言及してくれないと分かりません。
が、感覚的には調整幅は狭め……です。

フィードバックも同様の理由でよく分からないのですが、ともあれ最大にしても発振はしません。

ともあれ、ディレイモードはリバーブ(=ディケイ)のつまみと影響しあうので、最もセッティングを詰めるのが難しいと思います。

ただまぁ、どのようなセッティングにしてもナイスな音しか出ないので問題はないのですが。


③クラッシュモードについて

最も変なモードがコレ。

残響音にピッチシフターをかけたうえで、さらにその音にビットクラッシャーがかかります。

ババババ、ボボボボって感じの音が後から付いてくる感じの音になります。
これもまた、"Pad Reverb"たるゆえんですね。

多分、一番使いどころが難しい。

CTRL1でピッチを変えられます。
最小で-1オクターブ、最大で+1オクターブ。
つまり、ピッチモードでは2音重なりましたが、こちらでは1音重なることになります。

CTRL2でビットクラッシャーのかかり具合をコントロールできます。
最小でほぼかかってないくらい、最大で音程が分からないくらい。


フットスイッチ・エクスプレッションペダルについて

さて、フットスイッチとエクスプレッションペダル(EXペダル)について。

まず、オンオフのフットスイッチの他に、HOLDというフットスイッチがあります。
さらに、EXペダルをつなぐことができます。

EXペダルにはCTRL1とリバーブの2つを割り当てることができ、内部スイッチで切り替えることができます。

それに伴って、HOLDスイッチの機能も変化します。
EXペダルがリバーブに割り当てられていると、HOLDスイッチは踏んでいる間、CTRL1が設定値から最大まで移行し、離すと戻っていきます※3。

EXペダルがCTRL1に割り当てられていると、HOLDスイッチを押している間は直前の残響音が無限に続くようになります。

日本語のサイトでは、HOLDスイッチで残響音をロック(後者の用法)としか書いてなかったりしますが、2つの機能を割り当てられます。
もっというと、少なくとも私の個体は最初、CTRL1が上下する前者の用法にセットされていました。
この点は注意が必要です。

ちなみに、私はEXペダルを持っていないので、どのメーカーのものが使用可だとか、そういったことは分かりかねます。


サンプルセッティング

最後に、簡単にサンプルセッティングを。

まずピッチモードでは、

①CTRL1は最小(-1オクターブ)、CTRL2は最大(+1オクターブ)。
ミックスとリバーブはお好みに応じてで大丈夫だと思います。
幻想世界にぶっ飛べます。

②12時を境にすこーしだけCTRL1、2を左右に振ってあげる。
残響音がグワングワンします。
いわゆるモジュレーション系のリバーブに近い効果ですが、よりグワングワンするので異なった印象になると思います。


次にディレイモード

③CTRL1(ディレイタイム)が10時、CTRL2(フィードバック)が1時、ミックスが3時、リバーブが1時。
説明書にあったMichael Nicosiaさんのお気に入りセッティングです。

こんな感じの人。音量注意です。

ちなみに、上記のセッティングでミックスとリバーブを調整すれば、多分つかいやすい感じでナイスなズアッとした音を楽しめます。


最後に、クラッシュモード

④CTRL2(ビットクラッシャー)をマックスにして、後はもう適当で。
迫りくる怪音から逃げるように弾きまくってると楽しいです。

⑤CTRL1(ピッチ)を12時から少しだけ左右に振り、CTRL2は9時くらい。
怪音モジュレーションリバーブの完成です。


どうしても、普通のリバーブとして使いたい場合

STRYMONのblueSkyを買いなさい。

というのはおいておいて。

次のようにすれば、ギリ使えなくもないかもしれません。
ピッチモードなら、CTRL1も2もセンターにしましょう。
ディレイモードなら、CTRL2(フィードバック)はほぼ0に、CTRL1は何でもいいんですが、上げれば上げるほど残響音が長くなります。
クラッシュモードなら、CTRL1(ピッチ)はセンター、CTRL2(ビットクラッシャー)はゼロに。
リバーブは最小、ミックスはアンサンブルでギリ聞こえないくらい。
ただし、やっぱりこれはこれで独特の音がします。

でもまぁ、STRYMONのblueSky買った方がいいと思いますよ。
あちらにもシマーとモジュレーションのモードがありますし。
Dark Star Pad Reverbに比べればずいぶん優等生な音ですし。


おわりに

とまぁ、長くなりました。
最後に、私の演奏も乗っけておきます。
2分と少しなので、最後まで聞いていただけると幸いです。


ともあれ、Old Blood Noise EndeavorsのDark Star Pad Reverbは、刺さる人には最高にぶっ刺さるリバーブだと思います。
よくあるリバーブにモジュレーションかけました的なやつではない点が素晴らしい。

ただ、シンセパッド的に残響で空間を埋めることを目的としたエフェクターなので、隠し味的に使うことはまず不可能と考えてください。
その意味では、使いどころを選ぶリバーブです。
ただ、エフェクターの設計思想にあった使い方をするなら、どうやってもナイスな音が出るので、とても使いやすいリバーブだと思います。

あと、ステッカーに缶バッジなど、エフェクターフリークにはうれしいおまけつき
説明書の裏が一枚絵になっているという贅沢。
私は壁に張って飾ってます。

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※1 内部に半固定抵抗があり、それで操作できる可能性はあります。私は怖いので触ってませんが。

※2 「1オクターブ上と1オクターブ下のトーンを独立してコントロールできます」と書いてあるサイトがありますが、いわゆるトーンはコントロールできません。コントロールできるのはピッチです。

※3 ※1にある半固定抵抗は、CTRL1が上下するスピードかも……。
私は怖いので(略)





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