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水平歩道・下ノ廊下ハイキング02

寒さで起きる。まだ23時とか。寝袋にこもり直して寝るが、膝が寒い。ダウンパンツしか履いてなかったので、睡眠用に持ってきたステテコを履いてまた寝る。
3時起き。普段のテント泊に比べるとよく寝られた。標高が低いからか?
最近はテント泊でも朝は食欲が無い。
味噌汁とコーンフレークと魚肉ソーセージとゆで卵を食べる。充分だな。
トイレ行ってテント撤収。5時ぴったりに出発。まだ周りは真っ暗。
小屋からすぐは激登り。しばらく登ると平坦な道になる。

水平歩道に比べると幅のある道。暗いからわからんけど、左手は崖か。
歌を歌いながら歩くと下りになる。沢と同じ高さまで下ると、大きな建物が見えてきた。

これが関電人見平宿舎だ。厨房らしきところで朝食を作っているっぽい動きが見える。
足元には線路。昨日乗ってきたトロッコ列車が「高熱隧道」でおなじみの横坑を通ってここまで来ているのだ。凄い。

行けるとこまで進むと、トンネル入り口があるが、鍵がかかっていて入れない。どうやら手前の入り口が正解のようだ。
少し戻り、コンクリートに鉄門が構えられた入り口を入る。

年代を感じさせる通路を歩いていくと、突然に硫黄の匂いと熱気に包まれる。これが高熱隧道か。感動する。

さらに先へ進むと、仙人谷ダムに出る。大量の水が放流されている。ダムの上を通って向こう岸に渡り、沢沿いに歩くと、細い吊り橋が。

この吊り橋が今回の山行で1番の高度感がある、タマヒュンスポットだった。手の上で何かを弄んでスリルを味わいたい衝動に駆られる。

渡り終えると対岸に大きな人工物が見える。山肌にコンクリートで作られた大きな穴が二つ並び、穴からは電線が鉄塔に向かって張られている。

おそらくこの奥に発電所があり、ここから下界に電力を送っているのだろう。スケールのデカさに感動する。
ここからはまた断崖絶壁に作られた細い道を歩く。しかし紅葉の具合は最高だ。赤朱黄色緑のグラデーションにのぞく灰色の岩肌、まるで絵画のよう。
そこに流れる黒部川の水は飛沫を立てて白く、写真を撮りまくってしまった。

川がS字に曲がっているS字峡、折れ曲がっている半月峡を越えると、黒部川の両脇に沢が流れ込む十字峡に到着する。
流れ込む沢にかけられた吊り橋を渡っていると、川岸近くの大きな岩の上に人がいる。
吊り橋を渡り終えると、なるほど昨日のおじさんが言ってた、テントが張れそうな広場があり、そこに赤いザックが置いてある。
ここにザックを置いて下に降りるわけか。下り道はロープが張られていて、足場が不安定。
20メートルくらい下りると、広場のようになっており、さっきのお兄さんがいた。ここには何度か来ており、今回は黒部ダムからのピストンらしい。ダムが放流しているため、水が少し濁っているとのこと。
それでも黒部川と沢の合流地点は滝になっていてダイナミック。

足下の岩は濡れている部分が滑るので注意が必要。あまり川岸に行くと落ちそう。
阿曽原温泉小屋のブログによると、数日前に実際落ちて、自力で這い上がったものの、足を痛めた人がいたらしい。周りを見渡しても這い上がれそうなところは見当たらない…。凄い。
赤ザック兄さんが、高いところから写真を撮って欲しいとiPhoneを渡された。快く引き受けたものの、ロープの張られた岩をiPhone片手に登るのは難儀した。
写真を撮り、赤ザック兄さんが帰ってくる間、女性が1人降りてきた。数日前にここから落ちた人がいたみたいですね、と話し、女性はさらに降りていった。
ザック置き場に戻り、赤ザック兄さんにここから黒部ダムまでどのくらいか聞いたところ、ゆっくり行っても5時間くらいとのこと。今は9時前。全然余裕だ。キャンプ場6時発でも良かったな。
ここからの道は相変わらずの崖沿いだが、今までよりは沢までの距離が近い。それほどの高度感が無く、日も当たるようになり、紅葉した木々がますます輝く。
この辺りは白竜峡と呼ばれる。赤ザック兄さんに軽快に抜かれた。
途中で休みながらパン食べてたら、十字峡にいた女性(白メット姉さんと呼ぶ)に軽快に抜かれた。皆早い。
しかしこのあたりからもう山肌の紅葉がたまらなく美しく、写真を撮りまくっていた。もうほとんど黒部川と同じくらいの高さで、危険な部分もなく、鼻歌混じりで歩いていた。さすがにすれ違う人も多い。


途中の対岸に立派な滝が見えるスポットで休憩中の白メット姉さんを追い越すが、その先の内蔵助谷出合という三叉路で休憩中に再び白メット姉さんに抜かれた。ここまで来れば黒部ダムはすぐそこ。
1時間ほど歩くと巨大なコンクリート製の壁から大量の水が出てくるのが見える。放水中の黒部ダムだ。


ダムに向かって登り始めるところにある小屋の前で、赤ザック兄さんと白メット姉さんと、作業員らしきおじさんが話をしている。近づくとどうやら白メット姉さんが下山後のご飯のおすすめを聞いているようだ。
会話に加わり、この時間だと駅そばかな、でも信濃大町の駅そばは生そばだから美味いよ、とのこと。
ここから黒部ダムまでの登りは、赤ザック兄さんと白メット姉さんと話しながらだったので楽しかった。
2人ともベテランで、赤ザック兄さんは雪が残ってる日電歩道を釣りのために来るらしい。
白メット姉さんも会話の節々から上級者の貫禄が漂う。
急坂を登り終え、鉄扉を開けるとトンネル内に。ついにダム到着。今回の行程が終わった。
少しあるけば電気バス乗り場だ。
ここで2人とは別れ、黒部ダムを少し見学。黒部の太陽のセットを再現した施設を見たりして、2時半の電気バスに乗り、扇沢へ。
さらに路線バスで信濃大町駅へ。教わった駅そばをいただく。濃いめのお出汁が身体に染み渡る。
そして高速バスに乗り、新宿へ。案外眠くはならず、休憩ごとにお菓子食べて帰った。
一年分の紅葉を見たな。今度は反対方向に歩きたい。

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