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e-Sports の発展を妨げる3つの法律

今回はいつもの副業に関する記事ではなく、esportsに関する記事を書いていきたいと思います。

海外では、大きな盛り上がりを見せているe-Sportsですが、日本ではまだまだ課題が多くあります。

例えば、日本では高額な大会を企画するのが非常に難しい現実があります。企業が大きな大会を企画すれば、できるのではないか。と思われるかもしれませんが、そんな簡単な話ではありません。

そのため、日本ではプロのゲーマーの数が海外、アジアの中では非常に少なくなっています。なぜなら、ゲームだけで生活していくのが難しいからです。

賞金が少ない日本では、esportsのチーム戦で勝利したとしても、分割することによって、お小遣い程度にしかなりません。これでは、業界が発展するのは無理でしょう。

今回は、海外の勢いに乗り遅れることなく、日本もesports業界で活躍していくための課題について言及していきたいと思います。

日本のesportsが発展していくためには、下記の3つの法案を乗り越えていかなければなりません。

1)刑法賭博法

2)景品法

3)風営法

この3つの法案が、ゲームの大会を企画する、ゲームの大会で賞金を出すということを難しくしています。それでは、一つずつ見ていきたいと思います。

刑法賭博法


→賭博をしたものは、50万円以下の罰金、または科料に処する。ただし、一時的に娯楽に供するものを賭けた場合は、この限りではない。

刑法賭博法の記載はこのようになっています。その中でも「一時的に娯楽に供するもの」という記載があいまいであると思います。

この定義は一般的に次のように解釈されます。

1)1万円以下の日用品が景品である場合

2)その場で消費される飲食店などの支払いである場合

このようなケースでは、この法律にひっかかることがないので、問題はありません。しかし、esportsの大会であれば、賞金であるため、この2つの条件に当てはまることはありません。

では、次に賭博の定義をみていきます。賭博の定義には3つあるとされています。

1)偶然の勝敗があるもの

2)財産、財物上の利益になるもの

3)得喪を争うものであること

この3つの定義があって初めて、「賭博である」とみなさます。逆に言うと、この3つのうち、一つでも当て嵌まらなければ、それは賭博ではないと言えます。

一つずつesportsの場合を考えていきたいと思います。まずは一つ目の条件ですが、「偶然の勝敗があるもの」の条件を抜けることは不可能であると言えます。なぜなら、囲碁や将棋のような、技術の勝負と言われているものですら、この条件に当てはまると言われているからです。

それでは、次に2つ目の条件「財産、財物上の利益」についてみていきましょう。

仮に景品が、お金である場合、この条件と突破することは、できません。なぜならお金自体が財産的価値があるからです。

ですが、お金以外のものである場合、可能性は残っています。例えば、ゲーム内において交換不可能なアイテムが景品の場合、そのアイテムは金銭的価値にならないため、この条件をクリアすることができます。

逆に、アイテムを金銭的に交換できるのであればこの景品の場合であっても回答はグレーであると言えます。例えば、RMT(リアルマネートレード)等で、アイテムをお金に変えることができる場合が考えられます。

この抜け道において、仮想通貨が景品の場合、法律的に問題ないという主張がありますが、仮想通貨は、法律上で「準貨幣」という位置づけになっているため、現在は限りなく黒に近い、グレーであると言えます。

つまり、お金、もしくはお金に変えるアイテム等が景品の場合2つ目の条件をクリアすることは難しいという結論になります。

それでは、最後に3つ目の条件「得喪を争うものであること」を見ていきます。

この条件の意味は、プレイヤーのうち一方は得をし、もう一方は損をするという状況であると言えます。

つまり、参加者が誰も損をしない仕組みであるならば、この問題を解決することができる。

「参加費が無料であり、賞金が出る場合」だ。

その場合、一方のみが得をするため、大会を開催することができる。しかし、「参加費を徴収して大会を開催する場合」は話が難しくなります。

もし、参加費を直接、人件費等の運営に回すお金に回しているのであれば、問題ありません。ですが、参加費をそのまま賞金に充てている場合、この3つ目の条件に当てはまってしまうため、大会を開催することは、できません。

抜け道としては、第三者機関よりお金を捻出している場合は、参加費をとっても、大会を開催できるという話になります。

しかし、次に景品表示法の問題を解決しなければなりません。

景品表示法

この法律は、消費者の適切な行動を保護するための法律です。つまり、過剰に消費者を惑わせる景品は規制されています。

ここでの景品の定義は以下の3つです。

1)消費者を誘惑する手段である

2)事業者が自己の商品やサービスに付随するもの

3)金銭的利益になるもの

この3つによって「景品」という言葉が成り立っているため、どれか一つでも崩れると、景品表示法における「景品」では、ないとされる。

簡単に言ってしまうと、高額な賞金自体は、それだけで消費者を煽ってしまうためNGであると言えます。

では、「商品を開発した会社が自社製品を利用した大会を主催し、賞金を出すという場合」、どのようになるのか見ていきましょう。

要するに、任天堂が開発したゲームを任天堂が主催でゲーム大会を開き、賞金を任天堂が出す場合です。

消費者庁の判断であれば、まずは一つ目の論点としては、「ゲーム自体が課金制、課金制ではないか」が上げらます。

ゲームを購入、もしくは課金したプレイヤーの方が有利である場合、景品を目当てに消費者の課金行動を刺激することになるからです。

つまりお金を払っていなくても、ゲームで勝てる要素がある場合、(基本無料ゲーム)は景品法の一つ目の問題をクリアすることができます。(Fortniteなど)。

次の条件は「事業者が、自己の供給する商品サービスの取引に付随して提供するもの」との条件であれば、この問題は、「事業者が、自己の供給する」という部分を回避すればいいのです。

簡単な解決方法としては、ゲームを提供している会社と利害関係にない機関が賞金を捻出すればよいとされています。

しかし、この問題がある限り、現在の開発側が自社サービスのゲームの賞金を出す大会を企画することは難しいです。

一般的な解決法として、よくあるゲームセンターが主催で行われる大会はどうなのかという命題があります。つまり、ゲームセンターはゲーム自体が自分たちの商品ではなく、課金制ではないゲームの場合可能性はあるのではないかという話です。

しかし、風営法がこの問題を難しくしているのです。

風営法

風営法において、第5号の営業を営む事業者は景品を提供してはならないとの記載がある。そして、ゲームセンターは第5号に該当する事業です。

つまり、ゲームセンターにおいて賞金を出す大会は企画できないのです。

ですが、この法案には抜け道があり、法律上は事業者のみを規制しているため、第三者機関がゲームセンターを借りて大会を行う場合、規制の対象にはならないとしています。

また、風営法自体は営利目的である事業者を規制する法律であるため、「参加費が無料」である場合、風営法の規制を抜けることができます。

お金が発生する場合のみ、様々な規制が入りこむのです。

ここで注意しておきたいのは、「ゲームセンター」という定義は、法律上かなり広い範囲を網羅しているという点を注意してください。

アーケードゲームや家庭用ゲームを有料で提供した場合、それはゲームセンターという定義になってしまうのです。

この規制を抜けるためには、消費者が自分のデバイス(携帯ゲーム機、スマートフォン)などを持ち込むような仕組みがゲームセンターとはみなされないとしています 。

この風営法をまとめると、まずは事業者を対象にした規制であるため、事業者以外には適用されない。また、参加費を取らない場合、風営法の規制は受けないと言えます。

まとめ

様々な規制が入り組むesports業界ですが、刑法賭博法の観点から、参加費を直接賞金に回すことはできないので、その第三者機関のスポンサー、もしくは、主催者が賞金を用意する必要があります。

次に景品表示法の問題ですが、主催者が賞金を用意する場合、主催者自体がゲームの利害関係において無関係であれば、問題ありません。

そしてゲーム自体が、課金の有無によってプレイヤー間で差が生まれないものである必要があります。

ですが、むやみに高額であるとここで引っかかる可能性が出てきます。

最後に風営法ですが、開催する場所は、ゲームセンターに該当しない場所、もしくは参加費無料のゲームセンターで行うことが求められます。

しかし、ゲームセンターの意味はかなり広義であるため、開催する条件が「ゲームセンター」に該当するものかどうか判断する必要があります。

長くなってしまいましたが、要するに高額な賞金を出して、参加費を徴収する大会は簡単には開催できないということになります。

ここまで読んでくれてありがとうございました。よろしければフォロー、スキのアクションをお願いします。



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