宝石の国感想とわからない所

宝石の国を10巻まで読んだ

わからない所と、自分ではわかっていると思うところと、いろいろ考えたので、書いていきたいと思う。


なぜフォスは「人望がない」と言われるのか

フォスはいろんな場面で「人望がない」と言われる。なぜなのだろうか。フォスは、何もしていない。初期は役立たずだけど、別に人をだましたり、悪口を言ったり、嫌われるような事をしていない。それに、先輩達とキャッキャやってて、「人望がないとか言われる割に、普通に受け入れられてるじゃん?」って思う。
人望が無いなら、冗談を言い合う事ができないと思う。だけど、宝石達は普通に冗談を言い合っている。なぜ人望が無い人望がないといわれるのかわからない。

なぜエクメアはカンゴームに接近したのか

エクメアとカンゴームのラブラブ生活は、醜悪に描かれていると思う。『愛し合って幸せ』の記号として繰り返し描かれている。けれど、読者の誰があの二人の生活を本当の愛だと思うのだろうか。
エクメアとカンゴームの生活はハイテンションな虚構にしか見えない。「こんなの、いずれ駄目になるよ・・・すぐ別れるよ・・・」という嘘っぱちのカップルにしか見えない。物質と享楽しか描かれていないから。穏やかな感情的な慈しみがお互いから感じられないから。カンゴームからもエクメアからも、双方向から穏やかな思いやりが感じられない。

そもそも、エクメアの意図がわからない。なぜ、宝石のカンゴームを妻にしたのか???何の意味があるのか???気に入ったというけど、お前の計画のなかではフォスを大事にした方が合理的なんじゃないか???宝石達が金剛に親に対する愛を向けたように、フォスに元気になってもらって、宝石達が月人の思う「成仏」を成功させる協力をさせた方が良いんじゃないのか???そこで利用価値の低いカンゴームに接近する意図は何なか????
エクメアは合理的なように描かれているけれど、カンゴームに接近するメリットがあんまり思いつかないので、不思議に思う。
ダイヤでも、イエローでも、他の宝石でも代替可能なのでは?と不思議に思う。
美少年(宝石は無性だけど)をコレクションしたい変態だったら、宝石全員をコレクションすればいい。そういうわけでもなく粉にして月面にばらまいているわけで。なんでカンゴームだけは特別に気に入ったのか、意味がわからない。
考えてみたのだけど、フォスの最も近くにいた人物だったから、という価値しかないように思う。フォスの元気を失わさせるために、最も近い人物を奪いたかった、という事なのではないか。エクメアはフォスを精神的に弱らせた方が月人達の成仏に一歩近づくと考えているのかな。

カンゴーム


そこで、私はエクメアの能力は、「心理の中に数パーセントはあるけど理性で押さえている本音(だけど別に本心じゃない)」という部分を増幅さえて揺さぶる能力があるんじゃないかと思う。例えば「あー残業疲れた。もう死にたい・・・」という時の気持ちみたいに、本音だけど本心じゃない気持ちというのはある。
カンゴームはフォスの事を疎ましく思ってたのは事実であったと思う。だけど、別に本心ではない。本音は愚痴を言いたい。だけど愚痴は本心ではない。自分の気持ちの数パーセントだったんじゃないかなあ。自分の兄弟を殺し、大切なラピスの頭を譲らなければならなかったことを、本心から苦々しく思っているなら、茶化したり冗談を言い合ったりできないのが人間なんじゃないかな。
エクメアはそのパーセンテージの部分を感じ取れなくする能力があって、


そこにとりわけ耐性がないのがカンゴームだったので、共鳴してしまったということなんだろうか。これは「本当の自分を取り戻した」とは言わない。「自分を見失っている」という状態だ。今のカンゴームは躁状態に依存的だ。それこそ文字通り『我を忘れて』いる。 


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