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抜歯後血が止まんなくなっちまって、色々あってありがてぇなって話。

親知らずを抜歯した夫の出血が続いていた。コットンを渡し、横になろうとするのを制して、頬を冷やすよう保冷剤を渡しておいた。

晩ご飯の片付け、洗濯物を片付けてと、夜の家事のルーティンをこなして、娘こだぬきの歯磨きを手伝い、息子こだぬきに夜の薬を飲ませて、寝床について行く。

こだぬきずらと一緒にしばらく寝床で横になって、スマホを触りながら「つまんねーな」と、最近めっきり動きの悪い自分の心を思い、何でだろうなーなどとゴロゴロしていた。

そういえば出血は止まったかと夫の様子を見に行くと、状況は変わっていなかった!え?気づけば3時間が経過している。まぢかよ。

昔、息子こだぬきが赤ちゃんたぬきのとき、離乳食の練習で初めて食べた牛乳で発疹が出て、急ぎ#7119に連絡した経験があった。(1歳で克服しています。)

急なケガや病気をしたとき、救急車を呼んだが方がいいか、今すぐに病院に行った方がいいかなど、判断に迷うことがあると思います。
そんなとき、専門家からアドバイスを受けることができる電話相談窓口が救急安心センター事業(♯7119)です。

総務省消防庁

時計は22時を回っている。相談者が多いのだろう、なかなか電話が繋がらない。2度、3度とかけ直し4度目で録音した音声から、生身の人間の声に代わった。

「どうされましたか?」

ことの顛末を伝えると、医者に相談すると言って一旦電話口にいた看護師さんが席を離れる。しばらくして「医師と相談した結果、今から病院へ行くことをおすすめします。お住まいから近い今開いている病院をお伝えします。」と、夜間診療をしている大学病院等を3軒教えてもらう。

(えらいことになった。もっと早く状況を確認しておけば良かった)と後悔しても先に立たず。寝入ったばかりのこだぬきずを言葉通り叩き起す。

熟睡していてなかなか目覚めない2人をなだめすかして、無理やりウィンドウブレイカーを着せ、混乱する2人を連れて外に出た。

「自転車でおじいちゃん家に行くで。」

まだ半分寝ぼけたまま息子こだぬきが一生懸命自転車を漕いでくれた。(ごめんよー。)娘は電動自転車の後ろの子ども椅子で再び眠りだす。事前に連絡していたので、義母が玄関を開けて待っていてくれた。

2人を預けて急ぎ家に帰り、1つ目の大学病院に電話をかける。こちらも3度目でやっと呼び出しコールが鳴る。当直の歯科医師が対応してくれ、受け入れ可能と応えてくれた。

「先生寝てたんかな。」寝起きの声で受け付けてくれた先生に感謝。

次はタクシーを呼ばなければ。普段タクシーに乗ることが無いのでどこにかければいいか分からなかったが、よく最寄り駅に止まっている電鉄系列の会社に電話し、配車を頼んだ。

「10分ほどでお迎えに伺います。」

程なくして、タクシーが来てくれる。地域のことをよく知っているであろう運転手さんは、ナビに頼ることなく、住宅街の信号の無い道を選んで素早く目的地に運んでくれた。

病院に着いたら電話してと言われていたので、スマホを握りしめていたが、玄関では警備員さんが待ってくれていた。
「たぬきちさんですか」とすぐ受付まで案内してくれ、少し待ったが、処置席に通された。

すっかり意気消沈した夫が口を開けると、全く止まる気配のない血まみれのコットンが取り出された。(あーやっぱり病院に来て良かった。)

手早く看護師さんと歯科医が傷口を縫ってくれ、程なく血が止まった。出血から4時間は経っただろうか。やっとうがいをして口をゆすぐことが出来たようだ。あとから聞けば、口中に広がる血の味で吐きそうだったそうだ。

歯科医が処置後にこう告げた「明日、抜歯した歯科医院にもう一度行って診てもらっておいてください。」

「はい」と応えつつ、たぬきちの悪い癖「なんで歯医者に行くんだろう」疑問に思ってしまって、「なんで明日歯医者に行った方がいいですか」と聞いてしまった。すると先生は、

「日曜日挟みますし念のため。1週間後とか次の診察時に、痕が縫われてたら先生もびっくりするでしょうしね。よろしいでしょうか。」と言われ、「わかりました。」と返した。

帰りのタクシーを待つ間、誰もいない、日中はたくさんの人でごった返しているであろう薄暗いカフェスペースの椅子に腰かけた。

夫に「別に1週間後に縫われた歯茎見せてびっくりされてもいいよな。」と話しかけた。

やっと出血が治まって少し元気になった夫が「ぶっ」と吹き出して笑った。そして「別にびっくりしとけばいいよな。」とほっとしたんだろう、4時間ぶりに夫が喋った。

タクシーで帰る道すがら、もうすぐ日が変わるというのに、幹線道路は煌々と明るく、駅にも、飲食店にもまだたくさんの人がいるのが見える。

こだぬきずと同じようにさっさと就寝するたぬきちが24時に外に出歩くなんていつぶりかと思う。

「つまんねーな」なんて平和と安全を貪っていた数時間前が嘘のようだった。家に着いて夫が「お世話になりました。」とペコッと頭を下げた。

「お大事に」

たくさんの人に支えられて今がある。1人っきりでは生きてはいけない。ありがたいなあ。手を合わせずにはいられない。助けられて生きている今をしみじみと感じた夜でした。

皆様も親知らずの抜歯にはお気をつけくださいませ。そしてお世話になったプロッフェショナルの皆さん、頑張って自転車漕いでくれたこだぬきず、義父母にも感謝感謝です。

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