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幸せは細部に宿る

厨房で働くアルバイトをしていて
仕事がハードなのもきつかったけれど
もっと精神的にダメージがあったのは
爪が痛んでいくことだった。

別にそれまで長くのばしていたわけでもないし
ネイルサロンできれいにしてもらっていたわけでもない
普通の爪だったんだけど
仕事をしているとどんどん痛んでしまう。
つま先が二枚爪になって、剥がれて、割れて
割れたところが拡がらないように短くしているうちに
どんどん爪が短く、深爪になった。

爪の白いところが無くなり
指より爪の方が短くなる(爪の先端の先に指先がある)
透明のものなら良いと聞いて
保護用の下地材やネイルなど塗ってみるも全くもたない。

ネイルはお店でやってもらえば通常4週間ほどもつし
自分でやっても10日から2週間くらいはもつ。
それが1~2回シフトに入った程度で
ぽろぽろと剝がれてしまう。

最後は諦めの境地で、自爪のまま過ごした。
辞めるまでこれ以上痛みませんようにと祈りながら。

退職して真っ先にしたことはネイル。
自分の爪が痛んでいるので、ポリジェルという方法で
長さ出しをした。
不器用なのですごく厚くなったりもしたけど
パッと見、傷む前の爪の長さを取り戻すことができた。

不器用な出来栄え以上に
キレイになったことが本当に嬉しかった。
最近ようやく深爪から脱却して、自分の爪に直接
ネイルができるようになった。
嬉しくて自分の指先を日に何度も見てしまう。
別に派手な色でもない、キラキラしたアートも乗せてない
薄い、ほとんど自爪にしか見えない色を塗っているだけなんだけど。

爪がきれいっていうのはこんなにも心を豊かに
幸せな気持ちにさせてくれるものなんだと
一度痛めてしまったことで、強く思うようになった。
自分の爪を見ているだけで幸せになるって
すごいことだよね。

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