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【10本目】丹下左膳余話 百万両の壺

※ネタバレ

構成

3幕

起:婿養子にはいった源三郎は兄から茶壺を結婚祝いとしてもらう。しかしその茶壺は百万両のありかが示された地図を塗り込んである壺だった。それを知った兄は慌てて壺を取り返しにいくが、源三郎はそんな兄を怪しいと思い兄の口車には乗らない。源三郎は兄の部下からその茶壺が百万両の値打があることきくが、時すでに遅し。茶壺は源三郎の妻・萩乃によって屑屋に売られていた。
その頃、売られた茶壺は屑屋の隣にすむ幼い安吉の手に渡っていた。(開始12分)安吉の父・七兵衛はその夜、弓屋へ遊びに行く。その弓屋の女将はお藤。そして居候兼用心棒が主人公丹下左膳である。その晩、七兵衛は弓屋でチンピラに目をつけられ殺されてしまう。お藤と左膳は七兵衛の死に際に安吉を頼むと言われる。
:源三郎は百万両の壺を探しに街へ出る。が、本人は本気で探しておらず人を金で雇い、自身は弓屋の女と浮気していた。そのやとっていた人物は実は兄の方でも雇われていたずる賢いやつだが、源三郎は全く気づいていない。
そのころ街では左膳とお藤が安吉を探している。安吉を見つけた二人だが、なかなか真実を言えず、しまいには安吉を弓屋で育てることになる。
一ヶ月が過ぎ。左膳と弓屋の客源三郎は仲良くなっている。左膳、安吉、金金魚釣りをしにいったところを萩乃に見られる。その日にようやく源三郎はあの茶壺が安吉の手に渡っていたことに気づく。が、浮気がバレたため茶壺を手に入れられないまま源三郎は外へ出歩くことができなくなってしまう。
街中では兄の部下のはからいで町中の茶壺を1両で買い取る動きが出る。
そのころ、ひょんなことから安吉は60両の小判をもらう。値打ちが分からず持って帰ってきた安吉にお藤は返してくるように指示。しかしその道中でその小判が盗まれてしまう。責任を感じた安吉は家を飛び出すが、お藤と左膳が安吉を探し出し、3人は家族になる。
:左膳は盗まれた60両を調達するために道場破りをすることに。その道場は源三郎の嫁ぎ先だった。源三郎と左膳は60両で手をうち、左膳はわざと負け、60両を手に入れる。そこで左膳は百万両の壺の秘密を知る。
数日後、百万両の壺は左膳が持っている。その近くで弓屋で遊ぶ源三郎の姿が。茶壺はお金に変えず、みんなで楽しそうに遊んでいるのだった。

3行

百万両の壺だと知らず屑屋に売ってしまった源三郎は茶壺を探しに街へでる。
茶壺を探す振りをして遊び呆ける源三郎、しかし萩乃に浮気がバレ出歩けなくなる。
茶壺は見つかるが、お金には変えず、楽しく暮らすことを選択する。

公式化

セリフ

  • 「10年かかるか、20年かかるか。まるで敵討ちだ」:嘘をつくときに言う言葉。多用される

キャラ

  • 丹下左膳:腕のたつ侍。言葉はきついがとにかく優しい男

  • お藤:言う事とやることが真逆。その点は左膳と似ている

  • 源三郎:なまけもの。100万両ときいても、妻に浮気がバレてもやる気はない。やる気が出るのはずる賢いことを思いついた時だけ

  • 萩乃:賢い。源三郎をうまく転がす。上昇志向。

ストーリー

  • 次のシーンに行くつなぎがうまい:だるまからだるま。セリフがかぶる。話題になってる人が歩いているところから始まる。等

  • 安吉を探しているとき。一度は人違いだと帰ろうとしたあと、安吉の発言により、この子だ!となる。(ハラハラさせる)

  • 種明かしはすぐ次のシーンで!:お藤「あんな汚い子家にあげない」→次のシーンで安吉が家でご飯を食べている。

構成

  • お藤の歌の最中にモノローグをいれて話を進ませる

小道具

  • 茶壺:とにかくずっと見えるところにある

  • だるま:弓矢を思い出させる道具

シナリオにおこしてみる

安吉のたった一人の家族である父七兵衛が昨晩死んでしまったことを伝えなければいけない丹下左膳。伝えきれない優しさを表現

○安吉の家・前
茶壺を大事そうにかかえる安吉は父の帰りを待っている。
左膳がやってきて
左膳「おい。おい」
安吉「おじさん、なにか用かい」
左膳「お前、おっかあいねぇのかい」
安吉、うつむき
安吉「うん」
左膳「そうかい。じゃあ、ねえやんとかにいやんとかいねぇのか」
安吉「おとうと二人っきりだよ」
左膳「そうか。実はな、おいちゃん、話があるんだよ」
安吉「話ってなんだよ」
左膳、安吉から目をそらし
左膳「おめえの……おめえのな」
左膳、安吉の顔を見て
左膳「なぁ、おめぇ、腹が減ってるかい」

○お藤の家・縁側
茶壺で遊ぶ安吉のところへ左膳がよってくる
左膳「おめえ……なんて名だい」
安吉「安吉だよ」
左膳「そうかい。安吉かい。やすぼうだな」
安吉「(聞き取れず)」
左膳「おいやすぼう。……(茶壺をみて)だれだい。これは金魚かい」
安吉「子供の金魚だよ」
左膳「もっと大きいのほしかねぇかい」
安吉「(聞き取れず)」
左膳、立ち上がる
左膳「やすぼう。おめえつええだろう」
安吉「うん」
左膳「つええから、泣かねえだろうな」
安吉「いっぺんもないたことねぇ」
左膳、決心し、安吉の隣に座る
左膳「今まで、一度も泣いたことねぇのか。ほんとに一度も泣いたことねえのか」
安吉「うん。……あ!一度泣いた!」
左膳「いつでぇ。どうしてないたんだい」
安吉「……おっかあが死んだときないた」
左膳「……」

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