ライバル現る⁈宮崎の平和は誰が守る⁈ 

研修前半を終えて宮崎に帰ってきた俺は宮崎の平和を守りながら勉学に励むという相変わらずな日々を過ごしている。変わったことと言えば、前ほど浮き足立った感じがないところだろうか…。日々着々とヒーロー業務を進めている。それから、大ニュース!今回研修を頑張った甲斐あって本部から新たなアイテムが支給された!その名も『かっ飛びマント』ダサいネーミングだが…、このマントのおかげで俺は現場までひとっ飛び!ここ最近、着実にヒーローとしての階段を登っている感じがしていた。
『コケッ、コケーッ』
「ハイッ、こちらヒナタ!分かりました!直ちに現場に向かいます!」
鵜戸神宮かぁ〜⁈ちびっと遠いけど、マントんおかげで早えかぃ助かるなぁ〜。

鵜戸神宮に着くと、そこは宮崎有数のパワースポットだけあってたくさんの観光客で賑わっていた。
「わぁ〜お母さん見て〜!何あれ〜⁈」
「ん?どこ?エッ?エッ?鳥?エッ?人?こっわっ!」
「あっ、ヒナタじゃね?」
そう…、悲しいかなこんマントを着けてからちゅうもん、未だかつてカッコいいと言われたことがねぇ。他んヒーローはカッコようマントを使いこなしちょるのになんでやろ?まぁ…、マントに慣れちょらんのもあるし仕方ないか!とりあえず、あん飛び回っちょる運玉怪獣をなんとかせんと!!
「おい、そこん運玉怪獣!俺が来たかぃにはこれ以上好きにさせんぞ!エイ、ヤァ、トゥ!」
俺は研修で学んだ技をここぞとばかりに披露して、あっという間に敵をやっつけた。
あれ…?歓声がねえ?
あまりの反応のなさに俺がキョトンとしていると…。
「あの…⁈」
ウヒョッ、俺んファンか〜?
「お疲れのところすみません!」
「ハイッ!なんでしょう⁈」
こんげ可愛い子が俺んファンかぁ〜。いやぁ〜とうとう俺もここまできたかぁ〜!
「…ヒナタさんってしばらく研修に行っちょったよね?そん間来てくれちょったヒーローって帰ってしまったんですか?」
俺ん代わり⁈あ〜、キシィんことか⁈
「キシィって言うんですけど、アイツは俺がいない間だけだったので、もう本部に帰っちゃったんですよ!」
「キシィ…残念やなぁ〜。」
「…ハイ。でもまぁこれからはいつも通り俺がちゃんと県民のみなさんを守るので!安心してください!」
今んセリフカッコよかったっちゃない⁈いや〜俺がカッコいいかぃ仕方ねえよなぁ〜⁈
ん?ん?ん?ん⁈あれ…⁈さっきん可愛い子ちゃんどき行ったん?…⁈まぁ、いっか⁉

また別の日
『コケッ、コケーッ』
「ハイ!こちらヒナタ。平和台ですね?すぐ向かいます!」
急いで平和台に行くと、いつも訪れた人を穏やかに見守ってくれているハニワが群れをなして平和の塔を占拠していた。
平日でよかった〜!人も少ねえし被害は最小限に抑えらるやろ⁈
「キャー、助けて〜!」
「今行きます!待っててください!!」
声のする方に駆けつけてるみると、小さな子どもとお母さんらしき女性がハニワに囲まれて泣き叫んでいた。
「大丈夫!すぐ助けますからね!」
「必殺、ハニワパンチ〜!じゃなくて、こちょこちょパ〜ンチ!」
大好きなハニワちゃん達を傷つけっとは嫌やかぃ、ここはでくるだけ穏便に…。
「ハニハニハニ〜!」
今日も俺ん敵捌きカンペキッ!キラッ!
「ヒナタさん、ありがとうございます!研修から帰って来てから大活躍やね〜!」
「ハイッ!そうなんですっ!テヘッ。」
「そう言えば、研修ん間いたヒーロー⁈なんて名前やったかな…⁈」
「あっ…、キシィっす!」 
「そうそう、キシィ!彼はもうこっちに来んのかな〜⁈娘が大ファンで!ねっ⁈」
「うん!キシィ大しゅき〜!」
「ハハッ、あっあいつカッコいいし優しいんっすよね⁈」
「そうそうそう!私もタイプで〜!」
「へッ、ヘェ〜。俺もタイプっす〜!」
「フフフフフッ!何言いよっと〜!やっぱ、ヒナタはおもしりぃね〜!」
「…じゃあ、俺はここで!」
「うん、本当ありがと〜!」
何ちゃキシィ…チクショ〜!
またまた別の日
『コケッ、コケーッ』
「ハイッ!こちらヒナタ。動物園ですか⁈分かりました!ヒェッ⁈何でですか⁈俺だけで大丈夫ですけど…⁈はぁ〜不満ではないですけど…。ハッ、ハイ!向かいます〜!」
エッエッエツ⁈何で何で何で〜⁈キシィいらんしぃ〜!

動物園に着くと、すでに黄色い歓声が飛び交っていた…。
ったくなんやっちゃろ〜こんげ中行くん嫌なんやけど〜!ブツクサブツクサ…。
俺がイヤイヤキシィのヘルプに行くと、キシィは眩しいほどのキラキラオーラをまとっていた。
「あっ、ひなた先輩!」
「おっおう!今日は応援ありがとな!」
「いえいえ、宮崎のみなさん温かくて大好きなんで、また来れて幸せですよ!」
「ギャ〜!!」
おいおいおいっ、なんやこの歓声?ここは宮崎やぞっ!どんげしたらあんげ短期間でここまで人気者になれるとよ⁈
「先輩!スミマセン。もう敵は全部倒したと思うんすけど、一応チェックして来てもらってもいいですか⁈僕今サインしなきゃいけなくて…。」
「ヘッ⁈サイン⁈」
サイン会場は人であふれていましたとさ…って何だよ⁈ 俺はこんげサイン会なんてさせてもろうたことねえぞ⁈ブツクサブツクサ…。

イラスト:ciel

(3時間後)
「先輩⁈ありがとうございました〜!」
「ハハッ、今日の俺ん仕事は何やったんやろうね⁈キシィ君⁈」
「本当、まいっちゃいますね〜!天候にも恵まれていいサイン会になりました〜!」
「…もう宮崎には来んでいいかい!」
「もう、嫌だなぁ〜先輩ったら!後期研修の間もちゃ〜んと留守を守りますから!!安心してお任せくださいね!」
「研修なんか行かん!」 
「またまたぁ〜!あっ、そう言えば聞きました⁈」
「…何んをや⁈」
「今度全国ヒーローコンテストを開催するらしいっすよ⁈」
「…ヒーローコンテスト⁈」
「ハイッ!優勝者には…なんだったっけ⁈確か…等身大パネル⁈でしたっけ⁉」
「エッ⁈等身大パネルが全国各地に飾らるるってこと⁈マジで〜⁈それでそれで、いつから⁈コンテストん方法は⁈」
「えっと〜、ネットで投票だったと思いますよ⁈ってか、先輩ってコンテストとか好きっすよね〜⁈」
「…ハッ⁈ 別にそんなん興味ねえし!キッシーこそ上位狙うてんじゃねえん⁈」
「アハッ⁈分かります⁈一応僕たちのような臨時ヒーローも対象らしくて、上位入りしたら希望の都道府県のヒーローになれるらしいんですよね〜!」
「…エッ⁈もしかしてやけど、希望のとこって…⁈」
「…み」
「…み⁈」
「宮崎なわけないじゃないですかぁ〜!アハハハハッ!あれっ⁈先輩⁈いないし…⁈あちゃ〜勘違いしたな先輩…。」
キシィん野郎、負けてらるっかぁ〜!とりあえず、コンテストについて詳しく本部に聞いてみよっかな!

「あっ、こちらヒナタです!」
「ヒナタ君⁈お勤めご苦労様!今日は何かな⁈」
「あの〜、キシィ君から全国ヒーローコンテストについて聞いたんですが⁈」
「…聞いたのかね⁈それで⁈」 
「このコンテストで上位になったら、全身パネルが全国で飾られるって本当ですか⁈」
「まぁね…。」 
「じゃあ、じゃあ、キシィ、いやキシィ君が上位入りしたら、宮崎のヒーローになったりなんて…⁈」
「…なくはないとも言い切れないとも言い切れない。」
「…⁈どっちっすか⁈」 
「バッカも〜ん!!任務に集中せぃ!」
「すっ、すみません!あと、ひとつだけ聞いていいですか⁈」
「…本当に君は中身が変わらんな⁈」
「あっ、ありがとうございます!」
「ほめてないぞ〜⁈で、なんじゃ⁈」
「その〜どういった方法でコンテストは行われるんでしょうか⁈」
「ネット投票じゃよ!大まかに言うと、ネットで投票して、その数が一番多かった者が入賞する!」
「分かりましたっ!頑張ります!」
「ん⁈ヒナタ君⁈君はこのコンテストの意味を理解しているのかね⁈」
「もちろんです!」
「ほほぅ〜⁈言ってみたまえ!」
「…。」
「さぁ、言ってみたまえ!」 
「ハイッ!ヒーローたる所以を再確認し、よりヒーローらしくあるためです!」
「バッカも〜ん!上手いこと言ったつもりかヒナタ⁈研修に行って少しはまともになったと思ったけど、何も変わらんな⁈」
「すっ、すみません!出直してきます!」
あ〜また怒らせちゃったな!懐かしいような気もするけど…、何やろこん感覚⁈…まぁ、いっか!
後日送られてきたヒーローコンテストのパンフレットにはデカデカとアジアンが載っていた…。その後ヒナタが新たな苦しみを抱えることになったことは言うまでもない。それでも、目の前に苦しむ人がいる限り、ヒナタは行く!行かなければならないどこまでも!頑張れヒナタ!負けるなヒナタ!!

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