メットインにはご用心(後編)

 部屋に戻りどうしようか考えていると、目の前にパソコンがあった。そういえばパソコンにスマホのLINEを同期していたことを思い出した。連絡が!!できる!!

 というわけでまず原付の元所有者、姉に連絡することにした。そしたら、

「確か実家にスペアがあったはず」

と返事がきたので、次は母にLINEで電話した。事情を説明すると、「バカ!」って言われた。めちゃくちゃ言われた。その後速達でスペアを郵送する前に保険会社に連絡するということで決着した。

 時を同じくして、LINEに友達(朝押しかけた人ではない)から連絡が来ていた。そのため図書館で落ちあうことになった。その子のスマホを借りて、保険会社に連絡した。事情を説明すると、オペレーターの人は「メットインの鍵開けですね」と返してきた。荷物入れのあの空間、メットインっていうんだ。かっこつけちゃって。

 しかし鍵開けは保険適用外だったようで、解決には至らなかった。次はJAFに連絡した。そちらの方では鍵開けの費用として1万3000円かかると言われたので、速達でやってくるスペアを待つことにした。

 スマホを貸してくれた友達とはその後ガストで食事をした。初めこそ今日の出来事をべらべら喋っていたが、話は二転三転し、最終的にお前は彼女を作った方がいい的な話になってFinishした。ほっといてくれ。

 帰宅するとLINEが自動ログアウトしていた。たぶん外出のせいでWi-Fiが切れたせいだろう。いつもスマホ側から操作することでログインしていたので、ついに自分はLINEすらできなくなってしまった。

 と、まあここまでが昨日の話である。今日は鍵を待ちながら寝たり、靴を洗ったり、寝たり、自炊したり、寝たり、寝たりした。今日という日を意地でも有意義なものにしたかったが、無理だった。

 午後3時ごろ、遂に鍵が届いた。自分はすぐさま原付のもとへ行き、鍵を左に回した。座席が開いた。荷物を回収し、家に入った瞬間、膝から崩れ落ちた。

 こうして自分の日常は戻ってきたわけだが、こんなしょーーーもない理由のせいで、今日が卒業式だということに気づかず、先輩を見送り損ねてしまった。時間が経ってじわじわ傷が深くなっている。

 今回の事件を通じて、かなりの数の友人、大人を巻き込んでしまった。自分は定期的にこういうことをやらかしてしまい、その度に自分のことが大っ嫌いになる。しかし、なんだかんだでみんな助けてくれたので、この一件を経てこうも思った。

私は自分のことが大嫌いだけど、周りは自分をそうは思っていないみたい。

みなさん、本当にありがとうございました。

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