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第3回内科専門医試験を終えて

 第3回内科専門医試験お疲れ様でした。無事に合格していました。
 勉強したものや頻出問題など、来年度以降受験する方の参考になればと思うので、いろいろ書いていきます。

私の勉強方法

 Twitter(X)でも書きましたが基本的に私がやったのは、最新版のイヤーノートを参考書にしながら、
・内科学会から出ている過去問題集×2
・内科専門医のクエバンオンライン(1週だけ)
・先輩方の再現問題2年分
・長門先生の出るズバ
・ケアネットのバーチャル模試
です。

 過去問題集の第1集は内容も古く解説もないため、やらなくてもよいかもしれません。第2集は似たような問題も出ていたので絶対にやりましょう。ただし認定医試験の問題は医師国家試験レベルであり、本番に比べて簡単すぎるので注意が必要です。
 セルトレは買ったもののちょっと眺めただけでまったく手をつける時間はありませんでした。またクイックチェックも一問一答形式が合わず全くやっていません。
 最優先・最重要は再現問題かなと思います。全く同じ問題が出るということは少ないですが、問われ方を変えて重要な疾患が毎年出題されています。早めに難易度や傾向を知っておいたほうがいいです。
 クエバンオンラインはかなり難しめでしたが、新しい問題も多く勉強になりました。
 長門先生の出るズバはまとまっていて知識の整理や非専門分野の重要事項確認に重宝しました。試験直前の最終確認にも使えます。
 ケアネットの模試は過去問や過去問の類題から出ていて、これもやってよかったと思います。(2024年4月追記:再現問題が手に入りにくくなってしまい、ケアネット模試は第1-3回の傾向を知るにはとても良いと思うのでオススメです!) 短期間ケアネットに課金(月5500円)するか、株をやっている人は時期によりますがケアネット株100株で無料で他の動画含めて見られるようになります。

 だいたい3-4ヶ月前から上記勉強を始めて、これで本番はちょうど8割の点数でした(平均は69%)。本番は結構難しく感じて体感7割取れていればいいな、くらいだったので多分削除問題や調整などはあったと思います。試験時間は120分×3(85問+85問+80問の全250問)で、それぞれ時間は結構余裕がある感じでした。ただ3限目終わる頃にはもうヘトヘトでした。分野はやはりメジャー内科がやや多かったですが、まんべんなく出ていたと思います。

問題の難易度

 一緒に受験した方はだいたい同じ認識だと思いますが、問題はかなり難しかったと思います。初めての問題が多いので難しく感じるのは当たり前ですが、実際に総合内科専門医試験やセルトレの問題に近いような問題が複数ありました。割と新しい知識・深い知識も問われていたように思います。私は呼吸器内科専攻ですが、例えば呼吸器領域だと、
・慢性過敏性肺炎の原因で最も多い原因→鳥関連
・2型炎症に関連しないもの→lL-17、IL-33が選択肢にある(lL-17が正解選択肢)
・胸腺腫瘍の正岡分類やWHO組織分類
・EGPAで使用しない薬剤
など、専攻してても間違えそうな問題がちらほらありました(実際呼吸器の点数低めでした笑)

 昨年までだと合格率は9割overなので、医師国家試験のように基本的には他の人が解ける問題を落とさないことが大切だと思います。総合内科専門医試験のように合格率下げられるとかなり大変ですね。そうならないように祈ってます。
(2024年1月追記:第3回の合格率が発表され、まさかの85.3%でした!第1回は94.5%、第2回は90.0%でした。受験者数が年々増えており全体の合格者数自体は増えてはいるものの、やはり早めの試験対策と油断せず勉強することが重要だと考えます。来年度の合格率も気になるところです。専門医機構は内科専門医を減らしたいのかと思ってしまいますね。。)

問題内容+頻出問題

 問題内容としては、MCVの計算を2-3回させられました。肺炎のA-DROPも2回聞かれましたね。MCVやA-DROP、qSOFAなどは必ず計算できるようにしておきましょう。急性膵炎の重症度判定も聞かれていました。
 流行りの梅毒が3問くらい出てたように思います。前述しましたが、今まで問題で見たことのなかった胸腺癌の問題のほか、むずむず脚症候群、難聴の問題(ウェーバー法とリンネ法?)、多嚢胞性卵巣症候群なんかが出ていました。総合内科領域と思われます。あとはバレット食道患者の胃カメラの画像が提示され、食道胃接合部はどれか?という問題が記憶に残っています。非専門医にはキツイ問題でした。
 今年は公衆衛生的な問題や治療史の出題は少なかったかなと思います(第2回で患者の権利→リスボン宣言の出題あり)。その代わり国試のように英語で文章を読んで、同時に統計の知識を問う問題がありました(確か相対危険度か寄与危険度求める問題)。過去問だと陽性・陰性尤度比を答える計算問題はよく出ていたので、ここら辺まで勉強しておくとよさそうです。

 新しい問題が出ているとはいえ、3回分の新内科専門医試験をみると、毎年出やすい問題はあるようです。例えば、
・喘息の生物学的製剤(のターゲット)
・好酸球性肺炎の慢性と急性の違い
・特発性肺線維症の治療薬
・アレルギー性気管支肺真菌症の診断基準
・A〜E型肝炎の特徴
・急性肝不全の診断基準
・体質性黄疸
・ウィルソン病
・胆管癌のリスク(印刷業での1,2ジクロロプロパン、ジクロロメタン)
・シベンゾリン(Ⅰa群不整脈)の副作用
・心臓MRIの特徴
・心不全の予後を改善させる薬剤(Fantastic4)
・レニン・アルドステロンの問題、バーター・ジッテルマン・リドル症候群
・成人スティル病と血球貪食症候群
・再生不良性貧血の治療(自分でstage考えて)
・血友病(先天性、後天性)
・髄液の特徴や腰椎穿刺の問題
・神経伝導路の問題(延髄外側症候群や亜急性連合性脊髄変性症と絡めて)
・ALSの初期症状や陰性症状
・アナフィラキシーショック時の対応
は概ね毎年のように出題がありました(来年度も出ると保証するものではありません)。
 メタボの診断基準や、糖尿病・腎不全の患者の目標栄養量(カロリー、蛋白、塩分、カリウム)、認知症や高齢者の目標HbA1cを答えさせる問題も多いですね。あとはなぜかレプトスピラ症やファブリー病も定期的によく出ている印象です。

 また3限目最後の10-11連問のように、内科救急的な問題も結構出題されている印象です。1次・2次トリアージ、START法、RRS、CSCATTT、胸骨圧迫の深さ・早さを知らないと解けない問題が出ています。私は確認していなかったのですが、内科救急診療指針2022はチェックしておけばよかったと思いました。内科学会の公式で内科救急診療指針2022の掲載内容から出題しますと書いてますし、最近2022年版に新しくなりましたからね。

 試験については以上です。
何はともあれ無事に合格していて本当に安心しました。合格率がどうなるかわからない以上、早めに勉強を始めるに越したことはないと思います。少しでも参考にしていただければありがたいです。来年度以降の受験生の方、頑張ってください!

すべて無料公開ですが、note作成のモチベーションアップにつながるので、参考になった方は応援の意味で寄付いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

※以下2024/2/25追記

 第3回の再現問題については諸事情あり公表を停止しました。どのような問題が出たか詳しく知りたい方は、個別で対応はできますので、X(Twitter)のアカウント@vol_respiratoryをフォローいただき、コメントまたはDMください。

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