漁師さんに学ぶ
こんにちは、ありんこと申します。
「自然環境リテラシー学」第5回に感じたこと、わかったこと、綴っていきたいと思います。もしよければお付き合いください。
「自然環境リテラシー学」第5回
自然環境リテラシー学と海と漁業
テーマ: 「魚が食べられなくなる?」〜海とともに生きる姿を知る
日にち: 2022. 10/29-10/30
場所: 株式会社GATE二木島ラボ
〒519-4202 三重県熊野市二木島町530-3
今回、株式会社GATEさんに先生となっていただき、私たちが漁業について学ぶ手助けをしていただきました。ありがとうございました。
…GATEさんってすごいんですよ。今回のヒーローとしてこのお話にたくさん登場するので、ご期待ください。
舞台は二木島
今回の舞台は二木島です。駅を降りてすぐに海が広がっており、二木島漁港もすぐ近くにあります。まさに「漁村」という言葉がぴったりの、どこか懐かしさを感じる町です。ネコも心地よさそうにしていました。
GATEさん
GATEさんは、女性4人で定置網漁を運営する漁師さんです。今回は4人のメンバーのうち、リーダーを務めていらっしゃる田中りみさん(以下、りみちゃん)、西地絵美さん(以下、にしちゃん)のお二人と、中学生のゆうのすけくん(以下、博士)にお世話になりました。
GATEさんの「定置網漁を変えたい」という思いは、漁業に対する情熱と誇りを感じさせ、すごくかっこいいのです。
以下、株式会社GATEさんのホームページリンクを貼っておきます。よければこちらもご覧ください。
http://gateinc.jp/
ゆっくり流れる時間
1日目、漁船に乗らないチームは、博士について磯場を散策することに。ここで、ゆうのすけくんを博士と呼ぶ理由についてですが、彼は、本当に物知りなのです。魚や貝などの生き物の名前を始め、それらがどこにいるのか、捕まえ方など応用しており、さらには魚を捌き、食べるところまでばっちりなのです。何もかも完敗していた私たちは、彼に尊敬の意を込めて「博士」と呼ぶことにしました。
「夕飯の貝を獲る」という名目でやってきたものの、海にふれられる事がうれしくて、みんな思い思いに動き始めます。釣りをしたり、散歩したり、のびのび過ごしました。
私は友人と、沿岸に沿って散歩しました。海を覗き込んでみると、過去の回では見られなかった鮮やかな魚が!水族館でしか見たことがないような種もいたため、「きれいだね、やっぱりこっちの海はすごいね!」と、思わずテンションが上がって喜んでいました。
しかし、後から先生の話を聞いていると、過去と比べればこの地域の生物多様性も低くなっているとのこと。そして海水温上昇などにより、今までいなかった暖水域の生き物も生息するようになり、生態系は変化し続けているそうです。「自分たちが暮らす地域の海と比べてきれいだから、生き物が多いからという理由で、『きれいな海だね』で終わりにしないでほしい。この海も同じように変化しているし、問題も抱えているのだから」という先生のことばが、強く印象に残りました。
船に乗って海へ
今回はGATEさんが行なっている「小型定置網漁」、「超小型定置網漁」を体験させていただきました。私は「超小型定置網漁」の方に連れて行ってもらったのですが、それは小規模である代わりに、機械なしに人の手だけで操業できるという強みがあります。
私たちが乗せてもらう船は、朝7時に出艇でした。どんな魚が取れるのか、船からの景色、網の重さなど、気になることばかりでドキドキの出発です。
魚を獲る
上にも書かせていただきましたが、超小型定置網漁の特性は、人の力だけでできること。「女性の力でもできる」ことがGATEさんの運営には大切ですが、実際の重さや大変さは、あまり想像できていませんでした。しかし実際に体験してみると、網は重く、全然進まないのです。りみちゃん、にしちゃんは、それらを慣れた手つきで進めていきます。私はぽんこつすぎて何もできませんでしたが、2人がとてもかっこいいと思いました。
体験しなければわからないことがありますが、場数を踏まなければわからないこともあると思います。私はこの1回、船に乗せてもらい体験をすることができたので、「知らない」→「入り口を知る」の状態にレベルアップできたと思います。しかし、これを毎日続ける上での苦労、楽しさ、発見は、1回きりの私にはもちろん分かりません。GATEさんが今の状態に持っていくまで、どのような挑戦をしてきたのか、漁師として送る日々はどのようなものであるか、もっと知りたい、学びたいと思えました。
魚を食べる
獲った魚はおいしくいただきます。もちろん漁は大切ですが、獲りっぱなしでなく、おいしく食べるというのも、大事な過程です。今回はキビナゴという魚が大漁であったので、素揚げ、煮つけなど、料理担当を決めて思い思いに料理しました。途中でなんとGATEさんにカジキをいただき、冷蔵庫から登場した秘伝の特製漬けだれに漬けて、カジキフライとしていただきました。…最高でした。スーパーで並ぶお魚ももちろんおいしいのですが、自分たちが漁に携わった魚をその場で捌いて食べるのは、格別のおいしさがありました。
理想と現実
最後の取り組みとして、「ワークショップ体験」というものをさせていただきました。テーマを決めて、グループに分かれ議論し、発表して共有するまでが一連の流れです。今回テーマに選ばれたのは、「漁業を通じた地域の活性化を考える」というものでした。
実際に議論をする中で、たくさんのすてきなアイデアが挙がりました。「近くの廃校を活用してお客を呼び込む」、「漁業体験で獲れた魚を調理してもらえるごはん屋さんをつくる」など、本当に様々であり、自分だけでは思いつかなかったものばかりでした。一方私は、「地域の人は本当に活性化してほしいのだろうか、こんな企画をいきなり持ちこんで、地元の方がすきな『二木島』を変えてしまうのではないだろうか」と悲観的になり、テーマを見失ってしまい、議論でほとんど意見を出せませんでした。それだけが心残りです。
「活性化」とは、どういう状態を指すのでしょうか。生活は便利になってほしいけれど、大きなショッピングモールを建てればよいという訳では決してありません。地域をよく知り、地元の方とよく話し、寄り添った発展が大事なのではないかと思います。…これが難しいから、テーマになっているのかもしれません。
この取り組みで特に印象に残ったのは、「理想」と「現実」の差です。「こうしたい、こうなってほしい」というやる気やポジティブな気持ちは、周りを動かす原動力となるので不可欠です。しかし、その気持ちをアイデアに変えることができても、「実際にそれが行えるのか」、「誰が、いつ、どのお金で」といった、目を背けられないたくさんの現実の壁にぶつかってしまうことがあります。この学びから、「現場の声を聞く」ことがいかに大切であるか再認識することができました。
少し難しい内容が続きました。
そろそろまとめに入りますね。
この町をいつまでも
楽しいだけではない社会の現実を知り、少し元気のない私たち。最後に1分間スピーチで自分の分かったこと、感じたことを共有している間、GATEのみなさんは、とても真剣に、丁寧に話を聞いてくださっていました。そして最後に、りみちゃんが「何もなくなったら、ここに来たらいいよ。おいしい魚とごはんをふるまいます!」と言ってくれました。なんか泣きそうになってしまいました。そして、この地域のあたたかさや心地よさがずっと続いてほしいと、強く思いました。
最後に
今回もたくさんの方にお世話になりました。
GATEさん、先生方をはじめ、先輩、一緒に参加した受講生の方、町でおしゃべりしてくれた方。
この場をお借りしてお礼申し上げます。
ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?