見出し画像

ところてんは、酢醤油派

私は生粋の関東人なので、ところてんは酢醤油を掛け、カラシをつけて食べます。

一番美味しかったところてんは、真夏に箱根の茶店で外の腰掛けで食べたもの。昔ばなしに出てくるような茶屋でした。真夏だったけれど、木陰の風通しの良い場所で、気持ちよかったなぁ
もうウン十年前だけど、よく覚えています。

そして、もう一つ忘れられないのは、昔友人たちとの関西旅行のときのところてんです。
大阪の甘味屋で、ところてんが「甘い蜜」で食べることに驚いたんです。
当時、ケンミンショー的な番組もなくて、関西の食に関する情報が少なかったのでした。

先入観が邪魔して、甘いところてんは無理、と思いました。その後、大阪に行っても、ところてんをたべることはなく。
でも…思い切って「甘いところてん」を注文すれば良かったなぁ、と今となれば思うのだけど。

そして、ところてん好きの母の話。
私たち姉妹が学校に行っている間にこっそり、母の子ども時代の夢「どんぶりで、ところてん」を実現したそうです。"スーパーの安っい"ところてんで。
で、わかったことは、(原材料は海藻のテングサ)寒天でつくるシンプルなものである、「"ところてんの美味しさ"は値段に比例する」とのこと。

その教えを私が大人になってから聞いてからは、スーパーのところてんには手が伸びなくなりました。(いや、適量なら問題ないと思うけど)
私は近所の豆腐屋で夏になると売っていたところてんが、程よい値段で美味しくて好きでした。でも、その店は代替わりせずに廃業してしまった。

おまけ話ですが、母は友人の旅行(三宅島と聞いたかな)のお土産にもらったテングサで寒天を作ったことがありました。野性味ある(素人が作ったからね)、でも味わい深い美味しさでした。
けれど、母が言うには、恐ろしいほど面倒くさい作業なんだそうです。単純な作り方ではあるけど、”面倒”という作った人にしかわからないものなのか。残ったテングサを前に「もう、作らない」と宣言していました。

さて、上野みはしのところてん。
キリッとした酢醤油のタレ。ツルッとした舌触りのところてんの心地良さ。
ところてんは、シンプルなだけに、きちんとした材料と丁寧な手順で作られたものじゃないといけない、としみじみ思うのです。
まさに、「母の教え」通り。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?